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紺碧の採掘師2

第8章 04

2023.03.17 12:00

夜9時。

夜の闇に包まれた死然雲海の中、遺跡の広場だけが採掘船のライトで明るく照らされている。

そこへ黒船がやって来ると、空いている場所に着陸する。

真っ先にタラップから降りて来た護を駿河や武藤たちが出迎える。

護「ただいまー!」

駿河「お帰り。メシ食った?」

護「黒船でご馳走になった!ちなみにターさんは家に帰った。」

駿河「なるほ。じゃあこれからミーティングするかー!」と言い広場の中央へと歩く。小さなコンテナがいくつか円状に並べられていて、既にカルロスがその中の一つに座っていた。

駿河「立っても座ってもいいんで適当に集まって」と一同を促す。

各船メンバー、それぞれ適当に位置取りする。一同が落ち着いた所に黒船の方からジェッソや総司達がやって来る。

分厚い封筒を三つ抱えたジェッソは一同を見て「お。集まってる」と言うと「3隻の採掘監督に渡すものがあります。」と言い、満、サイタン、陸にそれぞれ封筒を渡しつつ「源泉石選考採掘の要綱とカメラが入ってますので。」

満「カメラ?」と言って封筒の中を見ると、番号の付いた薄いスマホのようなものを中から取り出す。

ジェッソ「それで現場の様子を撮る。撮り方は中の冊子に書いてます。」

護「期間内に規定通りに採った証明する為のカメラだよ。」

満「あぁ…。」

総司は一同を見回し、「とりあえず源泉石採掘については各船でその冊子を読んで勉強して頂くとして。4日後の朝8時から選考期間がスタートするんですが、それまでどうしましょうか。…あと選考期間のイェソド鉱石採掘について。」

駿河、総司に「そもそも管理はそこんとこどーするつもりだったのか。」

総司「どっちも採れと言っておりました。」

駿河「あっそう…。で、どっちも採るの?」

護「有翼種がガチで源泉石採掘してんのにイェソド鉱石も採ってたらダメだと思う。カルセドニーは採りません!」

駿河「まぁウチはね…。」

そこへジェッソが「そういやアンバーはどうするつもりだったんだろうか。」

総司「多分、黒船が採ってくれるからええかーみたいな。」

カルロス「いや穣が言ってたぞ、そんなん3隻が頑張ればいいと!」

満「なに。」

駿河「…マジで困るなら鉱石も採るとも言ってた。」

満「…思うに、採るなら採る、採らないなら採らないで一貫して統一せねば、管理がどこかの船に『足りんから採って来い』と脅しをかけた場合にその船だけ不利になるという事態が発生する。」

するとサイタンが「…採らなくていいんじゃねぇか。少しは困りやがれあのクソ管理ども。」

満「…!」驚いた顔でサイタンを見る。

サイタン「そっちが脅すならこっちも脅せってな。…何の為の備蓄だよ。」

その言葉に陸が「じゃあ、全く採らないという事で?」

サイタン「当然。…ってかテメェの船はどっちも採ってる余裕あんのかよ。」

陸「…ありませんが…。」

サイタン「やるならガチで勝負しろ。本気でやらねぇなら辞退しな。」と陸に凄む。

思わず陸の後ろで話を聞いていたコーラルが(そうだそうだ!ガチでやろーぜ!)と内心喜ぶ。

陸は「…ただ…。」と言うと「正直言って、それで勝って有翼種や管理に認められた所で俺はあんまりメリット感じないんですが…。」

コーラル内心(ええー…。)

その途端、綱紀が「いや俺は頑張りたいです。有翼種に教えてほしい事があるので。」

コーラル驚いて(ほぇっ?!)

ジュニパーも「綱紀ちゃん…!」と目を丸くする。

陸も楓も他のシトリンメンバーも、驚いたように綱紀を見る。

綱紀、陸に「俺は出来るだけ頑張ります。」

サイタン「出来るだけじゃねぇ、ガチだ!」

綱紀「は、はい。」

コーラル、目をまん丸くして(ほぇぇ…!?)

陸も唖然としつつ「う、うん。そうだな…。」と言いつつ(…カルセドニーから戻って来たら、綱紀が、まるで別人に…。)

総司「じゃあまぁ、選考期間はどの船もイェソド鉱石を採らないとして、それまでの間は採っても採らなくても自由に?」

サイタン「だな。…まぁ一週間採らない代わりに戦闘開始までは少しは採ってやる。」

陸「戦闘って。」

ジュニパー、サイタンを指差して「なんか本当にレッドな感じの採掘監督さんよねぇ。燃えてる。」

サイタン「うるせぇ。」

総司「操縦士もレッドな感じだった。」

春日「まぁね!」

そこへ楓が手を挙げて「あのー…。選考期間に管理さんがまた邪魔をしてきたら」

サイタン「知るか。」

春日「何とかなるって!」

武藤「そんな時は駿河をぶつければ。」

駿河「えっ。」

武藤、駿河を指差して「あいつ管理の天敵やん。」

駿河「天敵て。」

総司、頷いて「至極納得します。」

駿河「…何でもいいけど、ちなみに皆さん明日の朝は鉱石採掘して戻るの?」

総司「その方が管理さんが我々に文句言いづらいかなと。」

駿河「だよな。…しかし黒船はともかく他船はまだイェソドに近づくなとレトラさんが。」

総司「あー。そうか採掘場に行けないのか。すると…。」

駿河「雲海の中で鉱石採ってもいいけども…。」とカルロスを見る。

カルロス「…3隻の探知がまだ雲海に慣れてないから、ちょっと無理な気も。」

駿河「貴方が探知するとか。」

カルロス「…船団引き連れて3隻分の探知するのかー…。まぁいいけども、んー…。」と言って言葉を切る。

駿河「メンドイんですね。」

カルロス、駿河を見て「何でわかった?」

駿河「だって貴方、いつも妖精に探知任せてるじゃないですか。昔は黒船でスパルタ探知してた人が!」

カルロス「正直に言うとだな、イェソド鉱石の探知より石茶石とか別の石の探知した方がよっぽど面白いんだな。」

駿河「つまりイェソド鉱石の探知は飽きた?」

カルロス「…飽きてはいないが、…だってもう何年イェソド鉱石の探知しまくったと…。」と言うと「そんな事は置いといてだ。イェソド山麓の採掘場の方が、よっぽど鉱石の質がいいんだから…」と言って一旦言葉を切ると、ジェッソを指差し「黒船が頑張ればいいのでは!」

ジェッソ「つまり、我々に採掘船4隻分の鉱石を採れと?スパルタな…。」

カルロス「天下のオブシディアンなら出来る!なにせ人工種を代表する船だ。」

総司「んでもそんな」

ジェッソ「実は薄々同じ事を考えていた。」

総司思わず「えっ!?」と驚きジェッソを見て「マジですか監督!」

ジェッソ「マジです船長。黒船が採って3隻の所まで運ぶんです。」

総司「マジでやるんだ…。」ちと唖然。

駿河、護を指差して「ウチの船から怪力の助っ人が一人行きますから。」

護「カルさんも採れ!」

カルロス「俺もかー。」

ジェッソ「元・黒船の採掘監督でしょう!」

総司「言い出した人はやらねばならない。」

カルロス「やりますハイ。」

駿河「まぁでも昼頃になればアンバーも来るんじゃないかなぁ…ってか来てくれる事を祈ろう。」

そこへサイタンが「…待て。4隻分って、大丈夫なのか?」

陸も「いくら黒船でも、一日でそれはちょっと…。」

カルロス「多分大丈夫。…ティム船長の時代はもっと過酷だった…」と言うと「もし仮に出来なかったら私が半殺しの目に遭おう。」

ジェッソ思わず笑って「って貴方。…まぁやってみなければわからん!」

総司「少なくとも採る場所が決まってるだけ昔より効率はいいので。」

腕組みして難しい顔で話を聞いていた満は「…黒船に採ってもらうのか。…何という事だ…。」と苦々し気に呟く。

武藤「しゃーない。」

駿河、総司に「明日は何時から作業する?…というかカルセドニーは何時にここに来ればいいのか。」

総司「えっ?どこへ」と駿河を見る。

駿河「ターさんの家に帰らんと。だってウチの船は船長部屋以外に寝るとこが無いんで。」

総司「ああー。」

カルロス「あの船は駿河の家だ。」とカルセドニーを指差す。

護「もし帰らないなら俺とカルさんは貨物室で寝るしかない。まぁ俺はよくコンテナの隙間で昼寝しますけど。」

カルロス「ともかくここから飛んで15分なので、私はお家に帰りたいです。」

総司「そちらに合わせますよ。いつも何時に出てるんですか?」

カルロス「7時出航、稀に6時。」

総司「ええ!」

ジェッソ「早いな。」

武藤「何でそんな早いん?」

駿河「だってアッチとコッチで採掘なので。ジャスパー行って鉱石降ろしてマルクト行って採ってイェソド戻って石降ろして買い物して鉱石採掘してターさんの家に帰宅という。でも昔の黒船の方がよっぽど多忙でしたよ。四六時中出てたじゃないですか。」

ジェッソ「まぁな。それに比べたらイェソドに出てからは相当楽。」

カルロス「とりあえず明日、ウチは8時出航でいいんでないかな護さん。」

護「んじゃそれで。」

駿河「てことでカルセドニーは8時15分頃ここに来ます。」

総司「了解です。では各船、朝礼を終えて8時半にこの広場に集合で。…何かありますか?」と言って一同を見ると「…では解散します!」

カルロス立ち上がって「よーしお家に帰って石茶を飲もう。」

駿河「さっき飲んでた気が。」

カルロス「あれとは違う石茶。」と言いつつカルセドニーの方へ歩き始める。

駿河「ホント好きですねぇ…。」

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