ピンクの髪にしたい
こんにちは、
精神科医の諸藤えみりです。
わたしの外来に
お母さんと一緒に来てくれている
女子高生の方がいます。
(特定されないよう配慮しています。)
お母さんに抑圧され
言いたいことも
言えなかった方です。
最近は笑顔も見せてくれる。
本人とお母さんは別々に
診察室に入り
わたしと話をします。
お母さんに相談されました。
「髪を染めたいと言われました。
わたしはダメと言いました。
本人はわたしの言葉を守り、
それっきりです。
よかったのでしょうか。」
わたしはしばし考えます。
「ってゆーか、
わたしだったら親の許可を取らずに
勝手に染めますね。」
お母さんは爆笑です。
「そうですよね。
あの子も、
わたしの言うことなんて聞かずに
染めればいいんです。
校則も厳しくないんだから。
自分の意見をすぐに諦めるんです。」
本人に聞いてみました。
わたし「髪染めたいの?」
本人「うん。」
わたし「何色にしたいの?」
本人「ピンク。」
わたし「ピンクにしたいの?
可愛い色だね。
なんでピンク?
推しがピンクの髪色なの?」
(↑すぐオタクっぽい発言をしてしまう)
本人「お母さんに反抗したいから。」
わたし「!!!!!」
なるほどね。
いや~も~かわいい。
かわいすぎる。
わたし「反抗したいのね。
いいね。
どんどんやったらいいよ。
でもね、
態度で示す反抗もいいけど、
口、つまり言葉で
反抗するのもいいと思うよ。
親に対して『嫌だ。』と言う。
親に『嫌だ。』と言えなかったら、
これから社会に出て
嫌なときに嫌と言えない。
親で練習するの。
お母さんも
「かかってこいや」
って言ってたよ。(多分)」
その子は
「ほんと?
お母さんそんな感じ?」
と、なりました。
わたしは説明を加えます。
「お母さんに逆らって行動する。
行動は自分の責任になる。
自分で決めて、行動する。
責任を取る。
ここまでが1セット。
責任を取りたくなくて、
何かあったときに
人のせいにしたくて、
自分で決めれない人は多い。
誰かの言うことを聞いていた方が
楽なの。
だって責任を取らなくいいから。
でも、
それじゃ自分の人生にならない。
自分で決めて行動するって大事。
人生は選択の連続だから。」
その子は後日、
茶髪にしてました。
「ピンクは無理でした。
でも、茶髪も気に入ってます。」
とても似合ってる。よかったね!