HMM レドラー ゼネバス帝国仕様 レビュー 2023.03.07 05:53 今回のレビューは、1/72スケール ハイエンドマスターモデル より、“HMM 054 レドラー ゼネバス帝国仕様” です。 ゼネバス帝国の空戦用中型ゾイド、“EHIー7 レドラー” が、HMMで発売されました。 今年、2023年はゾイド40周年。 この記念すべき年に本家の正統シリーズが途絶えているのは非常に残念ですが、その本家タカラトミーからはかつてのマスターグレードをベースとしたAZシリーズが始動。第2期シリーズとのタイアップで放送されやアニメ3作品の主人機であるブレードライガー、ライガーゼロ、ムラサメライガーが順次発売予定となっています。 さらにバンダイとのコラボによる超合金 ライガーゼロも発売。 そして忘れてはならないコトブキヤのHMMも年内に完全新規型が2種スタンバイと、関連各社、さすがに気合いを入れている様子。 地域限定とはいえアニメ第1作の再放送も決まり、全国巡回型展示会 “ZOIDS展” の開催も決定。 いやがおうにも盛り上がる40周年の先陣を切るのが、今回レビュ-するHMM レドラーです。 HMMの新規型としてはレブラプター以来、およそ1年半ぶりとなります。 レブラプターに合わせてカスタマイズパーツのパイルバンカーユニットが発売されたことで、第2期シリーズで発売された小型ゾイド用カスタマイズパーツの初期アイテム6種のうち5種がHMM化されました。 それまでとくに意識していなかったのですが、残っているのはブースターキヤノンだけじゃないかと気付いたとき、ならばそれを装備するゾイド本体は? レドラーが来るのか!? とファンもざわついたはず。 確か、先にブースターキヤノン開発中という発表があって、レドラーの発表はそのあとだった気がする。 盛り上げ方がうまいなぁ。 もっとも、そのブースターキャノンの発売は一月後になるんですけどね。レドラー ガイロス帝国仕様と同時発売です。 それもまた驚きでした。 まさか、赤い第1期カラーをゼネバス仕様、紫の第2期カラーをガイロス仕様として2ヶ月連続リリースしてくるとは・・ HMMは第2期の設定をベースにしているものがほとんどなので、てっきりレドラーも紫の第2期カラーをとりあえず出すのだろうと思っていました。 ゴドスの例があるので、赤いほうもいいずれ出してくれればいいや、くらいの感覚でしたが、まさかねぇ。 歴だけは長い古参ファンとしては、紫もいいのですがやっぱりレドラーは赤い方が馴染み深い。嬉しいですね。 それでは、レビューしていきます。 キットはパチ組みしたのみです。EHIー7 レドラー ゼネバス帝国が開発したドラゴン型の中型ゾイド。 航空戦力の乏しい帝国にとっては待望の新型空戦用ゾイドとして誕生。 圧倒的なスピードと運動性で初陣では共和国の主力空戦ゾイド プテラスを圧倒しました。 しかし基本装備として火器をほぼ装備しない、格闘戦に特化した仕様はのちに共和国が投入した新型空戦ゾイド レイノスに総合力で及ばず、さらに大異変後(以降は紫のガイロス仕様ですが)に共和国が開発したストームソーダーは同じく格闘戦特化ながらもあらゆる面においてレドラーをはるかに超える性能を有しており、その登場によってレドラーは完全に旧式機となってしまいました・・ レドラーですね。 レドラー以外のなにものでもない。 いわゆるハイパワーユニット搭載型の中型ゾイドのなかでも・・というかゾイドとしては初めて明確に空想上の生き物(幻獣)がモチーフになっているということもあって、同時期に登場した帝国製ゾイドと並ぶと少々異質な存在感があったレドラーですが、今回のHMM化にあたっては過度なアレンジはせずに、基デザインを適度にブラッシュアップするような感じでまとめられています。 先のレブラプターも方向性としては同様でしたが、それよりもさらにオリジナルの雰囲気に近いかも。 いやぁ、あらためて見ても格好いいと可愛いが絶妙に同居した秀逸なデザインですね。 第1期中期に登場したゾイドのなかでもとくに生物感強めというか。 全体のサイズ感は本家トミー版とほぼ一緒なのですが、翼のみ一見してわかるくらいに大型化されています。 もちろん過剰な巨大化というわけではなく、上手くバランスがとれていますね。 頭部コクピットハッチは前方向に展開。 ちょっと開く角度が狭いので、パイロットフィギュアを乗せにくいのが難点。 2本の角に見える部分はアンテナという設定なのですが、とくに内部にそれらしいパーツはありません。 ここはHMMならではの解釈を追加してもよかったんじゃないかな。 顎下には2連装の機銃を装備しています。 ここは新解釈ですね。 さらにカバーパーツを外すと3㎜穴が使用可能に。 この位置にビーム砲などを装備する機体もいました。このように。 このビーム砲についてはまた後述するとして、実際このように取り付ける場合は別途3㎜軸が必要になります。 そのためのジョイントパーツは付属しないんだよなぁ。 まぁ、そんなものいくらでもあるので余所から調達すればいいんですね。なければランナーの枠を切って使ってもいいし。 画像ではパトなっちんに付属していた3㎜軸ジョイントを使いました。 ゾイドコアユニットは胸部(首の下)に内蔵。 もちろん引き出して取り外すことができます。 いつものクリアレッドのコアですね。 なお、胴体底部にもカバーパーツで隠された3㎜穴があります。 スタンド用ですね。引込式切断翼 尻尾に装備されている格闘戦用のブレード。 レドラー唯一の武装らしい武装です。 高速で飛行し、すれ違いざまに斬りつけるわけですが、位置的に効果的な攻撃を行うにはかなりの操縦技術が必要でしょうね。 その点、頭部と翼にブレードを備えたストームソーダーの上位互換感が半端ない・・ また、尻尾根元の裏にもカバー付き3㎜穴があります。 顎、腹、そしてこの尻尾と、3㎜穴にカバーを付けてくれるのは見ためもよくていいのですが、如何せん外しにくい・・ とくに尻尾の穴のは一段低い位置にあるためパーツリムーバーなども使いにくくて困ります。 爪楊枝とか、柔らかめの先の尖ったものでこじ開けるしかないですね。太陽エネルギー吸収翼 翼で太陽の光を吸収して飛行用のエネルギーに変換することでレドラーは高い空戦能力を格闘しました。 だとすると、曇りの日や雨の日は上手く飛べないんだろうか? ともあれ、今回のHMM版でも本家同様、翼面はスモークグレーのクリアパーツで再現。 先の通り翼は本家より大型化し、縁などは黒色成型のパーツで挟み込む構造でフレーム部と太陽光吸収面としっかり差別化。説得力のある見ためになっています。 翼全体は上下に可動。 さらに伸縮しますが、本家のゼンマイ連動ギミックの再現で翼と翼下のフレームが連動可動するようになっています。 これぞゾイド。 翼の基部ユニットはエンジンブロック的なデザインにアレンジされており、本家ではゴムキャップで固定されていた前後の翼接続部が前はインテーク、後ろはスラスターノズルにそれぞれ変更。 後部のノズルの下にはフィンパーツも追加。 上下に可動します。 また、本家リスペクトでそれぞれキャップパーツに付け換えることも可能です。 こういうところも抜かりがないですね。 さらに今回、翼を基部パーツごと本体から取り外すことができるようになっています。 翼がない状態のレドラー。 さしずめ陸戦仕様というところですが、基より武装もないのですごくシンプルな、それこそ野生体みたいな見ためになってますね。 ドラクエのドラゴンみたい。可愛いですね。 背面の接続部には3㎜穴が4つ。 オプション追加も容易です。 取り外した翼ユニットだけでも単体のゾイドっぽい。 なにかしらの頭を付ければコウモリ型と言い張れそうです。 また、翼のキャップパーツ接続軸には上部に3㎜軸が出ているものも付属するので、 このように付け換えることで翼に3㎜軸を追加することができます。 手前のほうも同じパーツなのでついでに換えてみましたが、この場合翼の伸縮可動に干渉するので注意。 オプションとして2種類の形状のビーム砲が2基ずつ、計4基付属。 先の軸パーツを使うことで翼などに取り付けることができます。 これらも基になったデザインの武気があるはずですが、なんのゾイドのどの武気だったか、すぐには思い出せませんね。 なんとなく見覚えはある気がするんだが・・ 本体の可動はこの通り。 わかりやすいように翼は外していますが。 首と尻尾は上下、 左右にもこのように可動。 HMMとしては珍しく、胴体に可動部は設けられていません。 ゾイドコアユニットの収納や、翼の付け外しとの兼ね合いかな? 面白いのは四肢の構造。 前後左右で基本的に同じ構造なのですが、本家ではゴムキャップの位置が四肢の付け根で、その上の突起部分はゼンマイ歩行のためのクランク機構の一部でしかなかったのですが、今回のHMM版ではその突起先端部で胴体と接続されており、関節をすべて真っ直ぐにすると四肢はここまで伸ばすことができます。 横にもこのように拡げることが可能。 レドラーと言えば短い脚がチャームポイントの一つでもありました(笑)が、この新解釈のおかげで脚部の可動だけでも表現の幅がぐんと広がりました。 よいアレンジだと思います。格闘戦用脚 足の爪ですね。前後左右でまったく同じものです。 3本の爪は一体成型なのですが、切り離すことでそれぞれ別個に動かすことができるようになります。比較画像 本家トミー製第2期版と。 第1期版も持っていたのですが、現存しているのは2期版の紫のレドラーのみ。でも形は一緒だから。 というわけで、ご覧の通り見ためもサイズ感もほぼ同じ。 各部がシャープ化され、ディティールも適度に追加されていますが初期のHMMのようなやり過ぎ感はなく、純粋に解像度を上げた感じで素晴らしいです。 繰り返しになりますが、翼のみ少しボリュームアップしていますが、これも本愛とのバランスが破綻することのない程度で、より航空機感が増しています。 HMM プテラスと。 初戦のレドラーに蹂躙された共和国の主力小型空戦ゾイド。 まぁ、どちらが空戦により適応しているかと問われれば、その形状(姿勢)からも明らかではありますね。 しかし、ここで優位に立ったレドラーもレイノスの登場でまた立場が変わるわけですが・・ ちなみにこのプテラスはプテラス・ボマー ジェミー仕様として発売されたもの。 いわゆる第2期版のカラーリングで、カスタムパーツのボマーユニットも付属したもののいわば素体状態ですが、比較的初期のHMMなのでアレンジ強めですね。 ボマーユニットなしでいいから、第1期版のカラーも一般発売してくれないかな。 HMM ストームソーダーと。 レイノスの登場でその地位が揺らいだレドラーを、さらに地に叩き落とすことになった共和国の大型空戦ゾイド。 機体の方向性は奇しくもレドラーとほぼ同じなので、純粋に性能差で大きく引き離された印象です。 ストームソーダーを飛行形態にして。 ・・うん。勝てる気がしないな。プテラノドンとドラゴンなんだけどな。 このストームソーダーの形態変化はもちろん本家のそれを再現したものですが、当時は画期的だと感じました。 ベアファイターやガンギャラドなど、第1期でも形態変化するゾイドはいましたが。 その最終形がスナイプテラなんですね。ちゃんと繋がっているんだ。 なお、HMM版ではさらにオリジナルの降着形態への変形追加など、まだけっこうアレンジされてた印象ですね。 しかし新規のHMMとしてはレブラプターの一つ前になるわけですが、発売されたのはもう5年以上前になるのか。つい最近だと思ってたのに・・ HMM ストームソーダーのレビュー HMM コマンドウルフと。 同じ中型ゾイドということで。 このウルフはリパッケージ版ですが、キット自体はシールドライガーに続くHMM第2弾キットとして発売されたものそのまま。 当時価格は税抜き3000円。今回のレドラーは同5800円。 同じクラスのキットが、15年余りでほぼ倍・・ パーツ数はむしろ減ってるように思うんだけど。 HMM レブラプターと。 帝国の小型~中型ゾイドもそれなりに充実してきました。 次来るとしたらなんだろう? 陸、空と来たから、海。シンカーかウオディックだな(個人的願望)。 HMM レブラプター レビュー(12/26 レイヴェンラプター、パイルバンカーユニットに関して追記) 以下、画像 胴体が動かないので若干硬い印象はありますが、大型化した翼と首、尻尾の可動で十分躍動感は表現できます。 そして、やはり新解釈で可動域が大きく広がった(そもそも本家は動かないけど)四肢のおかげで、これまで兵器としては航空機的なイメージしかなかったレドラーに汎用機的な一面が加わったことは驚いた部分。 つまり、四肢でいろいろな作業ができそうという。 あ、スタンド用の3㎜穴は背中側にも一箇所くらいは欲しかったかも。 こういうポーズをさせるときにお腹側にスタンドを指してるのはちょっと見栄えがねぇ・・ 首と翼を持ち上げるだけでも随分印象が変わるんだよなぁ。 これはもう別の機体ですね(笑)。 翼にビーム砲を追加して。 基本装備として火器をほぼ持たないレドラーにビーム砲などを津か装備するのは、本家バトルストーリーなどでも定番の改修でした。 でも、こんなに翼から飛び出してたらダメだよね。 確かマッハ3とかで飛ぶのに・・ 駐機状態イメージで。 補給急げ! すぐにまた出るぞ! 翼を外して、陸戦用レドラー。 こうなるともうほぼただのトカゲですが。 ここでも新解釈の四肢の構造が活きてくる。 各間接を伸ばして後脚だけで立たせることで、まったく別のモチーフを再現できる可能性が・・ これ、ちょっと手を加えるだけでテリジノサウルス型とか、アリクイ型とかにできそうじゃない? とくにこのポーズなんか、威嚇するコアイクイですよ(笑)。 可愛い。 もちろん翼を付けたままでも2本脚で立たせることは可能。 ガンギャラド以前にレドラーも立てたんだ・・レドラー・ボマー ブースターキヤノンがお預けなので、プテラスから奪ったボマーユニットを装着。 格闘能力を捨てた爆撃仕様ですね。 脚部用のミサイルポッドは後ろの格闘戦用脚を外してその代わりに取り付けました。 通常仕様の編隊の中に少数交ぜて連携運用するなら悪くない気がする。陸戦用レドラー ダブルパイルバンカー仕様 本体がシンプルなのでどんな装備でも似合いそう。 ただおそらく歩行時の速度は速くないので、砲戦や工作仕様が妥当かな。 これも対ゾイド用というよりは対要塞などの破壊工作用のイメージですね。 フロレシオ海戦勃発! その日、海の上の空は赤い竜の狩り場だった・・(※このときのプテラスは当然第1期カラーですが、第2期カラーのものしか持っていないのでご了承を) パッケージイラストにも描かれている、レドラー部隊の初陣となった戦闘ですね。 対ウルトラザウルス用の爆雷を積んで本来の運動性を発揮できなかったレドラーですが、それでもプテラス部隊を一方的に蹂躙し、その性能の高さを見せつけました。 しかし結局ウルトラザウルスへ攻撃するまでには至らず、多くの機体が燃料切れで戦闘継続が困難となり、隊長の判断で部隊ごと共和国軍に投降。結果、フロレシオ海戦は辛くも共和国軍が勝利を収めています。 初めからウルトラの相手は深海から近付けるウオディックに任せればよかったんじゃ・・ そして大異変後、ガイロス帝国にて継続運用されていてレドラーは戦力の回復が間に合わない共和国空軍に対して再び優位に立つことができていたが、ストームソーダーの出現で事態は一変。 さらにレイノス、サラマンダーが順次投入されるに至って完全に制空権は共和国が握ることに・・ ここはガイロス帝国仕様のときに取っておく場面だったかな。 以上、“”HMM レドラー ゼネバス帝国仕様” でした。 ゾイド史上初のドラゴン型ゾイドとして、異質ながらも鮮烈な存在感を残しているレドラーが待望のHMM化。 パッと見ただけでは本家と見分けが付かないのですが、そこは当然HMM。全体のシャープ化、うるさ過ぎない程度のディティールアップでしっかり情報量は増しています。 代名詞ともいえる太陽エネルギー吸収翼はフレームに黒色パーツ、翼面に本家同様のクリアパーツを使った2層構造ろなり、さらに本家と較べて一回り大型化。翼下のフレームと翼の連動可動も嬉しいですね。 一方で、四肢の構造や翼の分離など思い切った新解釈も実装され、ただの本家の焼き直しには収まっていません。 とくに四肢の構造については、それまでレドラーといえば短い脚の四つん這いというイメージかなかったところに、後脚だけで立つというまったく新しい姿を見せてくれたことが衝撃でした。 まるで新しい化石が発見されたことでこれまでの通説が根底からひっくり返ったような、そんな感覚です。 そして翼をごっそり取り外せることも、やはりレドラー=空戦ゾイドという思い込みをたたき壊してくれた。 まだまだゾイドには可能性があるんだということを再認識しましたね。 いやぁ、HMM レドラー。 発表の時点で傑作になることは疑いなかったですが、それ以上の代物でした。 控えめに言って最高です。 まず赤いだけで評価2割増しではありますけどね(笑)。 さてさて、まだレドラーは終わりません。 続いてガイロス帝国仕様とブースターキヤノンが来ますよ。 そんなこと言ってる間にも、本当に来ちゃいますよ。 なんだよ40周年、正直そんなに期待してなかったのに(笑)。 ここへ来てすごい勢いじゃないか。 なのになんで本家の正統シリーズは途絶えてるんだよ・・ といったところで、今回は終了。 またのご訪問を。