「スロー・リーディングのすヽめ vol.9」終了
2023.03.05 13:30
本日3月5日(日)、読書会「スロー・リーディングのすヽめ vol.9」が終了しました。ご参加いただいた皆さま、ありがとうございました。
2019年の秋にこの読書会を始めたころ、共催者の杉山さんがその凄みを熱っぽく語っていたのが、米国の作家リチャード・パワーズによるピュリッツァー賞受賞作『オーバーストーリー』でした。600頁を優に超える作品を読書会で取り上げるのは、ある種狂気の沙汰とも言えますが、杉山さんに感化された私たち(コメ書房と読書会参加者)は、来たる次の夏ごろにはこの作品で会をやろうと、そう決めていました。直後、2020年の春から、新型コロナウイルスのパンデミックが始まります。
最初の緊急事態宣言が発出され、一度店を閉めた当時の心境は「もしかしたらもうここを開けることはないのかもしれないな」というようなものでした。今となってはだいぶ大袈裟に感じられますが、その痛みは確かに覚えています。店はやがて再開し、読書会はオンラインに切り替わりました。
いくらかの時間が流れ、ようやく再び店内で会を開催することができたのが、昨年の夏のことでした。この間に、パワーズは『オーバーストーリー』に多くの面で連なる、新しい作品を書きました。今回、私たちはその作品『惑う星』を、課題書として取り上げることにしました。少しばかり大仰な言い方を許していただけるならば、コロナ禍の前に交わされた『オーバーストーリー』の約束は、今日ようやく果たされたと思っています。ほんの数名が参加した小さな読書会でしたが、私たちにとってはそういう大きな意味がありました。杉山さんと、一緒に読書会を作ってくれた参加者の皆さまに、最大限の感謝を送りたいと思います。