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司法書士田中康雅事務所(川崎市麻生区新百合ヶ丘稲城市の相続手続登記相談)

相続人に対する遺贈登記が単独申請できます(2023年4月1日より)

2023.03.07 03:19

2023年4月1日から

相続人に対する遺贈登記の申請は

受遺者単独で申請できます

(遺言の効力発生が2023年4月1日前
 でも大丈夫です)


改正以前は、

相続人に対して「遺贈する」文言の場合、

遺言執行者と受遺者の共同か、

遺言執行者が選任されていない場合は、

遺言執行者を選任してからか、

相続人全員と共同で申請が必要でした。


遺言を書くような状況の場合、

相続人全員の同意を得られないことは多いですし、遺言執行者を指定していないケースもあるため、法改正以前は遺贈を原因とする登記がすぐにはできないといった弊害がありました。


また他にも、

以前は登録免許税と農地法の許可に関し、

遺言の文言の違いにより差異がありました。

「遺贈する」登録免許税の税率は2%

(「相続させる」遺言は0.4%)

「農地を遺贈する」といった特定遺贈の場合

農地法3条の許可は必要

(「相続させる」遺言、相続財産の割合的遺贈である包括遺贈は許可不要)


以上のような背景から、

遺言を書く場合、

相続人に対しては「遺贈する」という文言ではなく、

ほとんどの場合で、「相続させる」遺言でした。

登録免許税は多く払いたくないし、

農地法の許可とるのも大変ですし、

遺言執行者との共同申請は結構大変でしたから。

(受遺者と遺言執行者を同一人にして

 実質的単独申請の形をよくとりました)


なお、

現在、相続人に対する遺贈は、

登録免許税の税率0.4%、

農地法3条の許可は不要で、

改正前に既にその問題は解消されております。


そして、2023年4月1日より、

相続人に対する「遺贈」登記は単独申請ができる、

この今回の改正。


これでようやく、

相続人に対する遺言の文言「相続させる」か「遺贈する」の違いで、手続上の差がほとんどなくなりました

(法解釈上は「相続させる」と「遺贈する」は、全く別物ですが、その違いについては今回は省略します)



遺言につき、

「相続させる」と「遺贈する」で

手続き上違いがあるでしょうか?


「不動産を相続させる」遺言を

特定財産承継遺言といいます。


「不動産を遺贈する」遺言を

特定遺贈といいます。

話しを簡潔にするため、

相続財産の割合的遺贈の包括遺贈は省略します。

(大枠で「相続させる」遺言と同じです。)


上の表でわかるとおり、

遺言の放棄について違いがあります


「不動産を相続させる」遺言である

特定財産承継遺言を放棄したい場合、

一部だけ放棄をすることはできません。

家庭裁判所で相続放棄が必要です。

ここで大切なポイントは、

家庭裁判所で相続放棄をした場合、

相続人ではなくなってしまうことです。

実質的に遺言の一部を放棄したい場合は、

次の条件をクリアーして、他の相続人全員で遺産分割をします。

 ・遺言と異なる内容の遺産分割を禁じていない

 ・相続人全員(受遺者も含む)の同意

 ・遺言執行と矛盾していない、又は遺言執行者の同意

(東京地方裁判所平成13年6月28日判決) 


ただ、なかなかハードルが高い感じがします。


一方、

「不動産を遺贈する」遺言である

特定遺贈を放棄したい場合は、

遺言放棄の意思表示をすればできます。

一部放棄をすることも可能です。

もちろん相続人の地位は維持できます。


ただ、特定遺贈だけにすると

相続財産を漏らしてしまう場合があるので、

その点だけ注意が必要です。


今後、相続人に対する遺言は

「相続させる」だけでなく、

「遺贈する」文言も増えてくるでしょう。

ケースバイケースによって使い分けると

みなさんにとっていい遺言ができそうですね。




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