【人事の代わりに読みました】失敗しやすい人の特徴?分かるけど、それ意味ある?
さて、今回の「人事の代わりに読みました」は「失敗のメカニズム」。鉄道や産業の分野で人間のミスやそれが起因となる事故について研究する著者が、様々な事故やヒューマンエラー、その要因、予防策などについて解説した本です。
オススメ度:★★★☆☆
あんまり人事部門の業務とは直結しづらい本かもしれませんが、管理部門というのはもっともミスが許されない部門でもありまあるということでご紹介させていただきます。
本書で一貫して説明されるのは「人はなぜミスをするのか」と「そのミスをどう防ぐか」という点。ミスを起こしてしまう認知的なプロセスやミスを誘発する様々なユーザーインターフェース、ミスが起こる/起こさない組織文化などが紹介され、「組織のミスを防ぐ」ための立場にいる方にとっては非常にヒントになる内容だと思います。
面白かったのは、ミスを起こしやすい人(事故傾性がある人)を交通事故を起こした人と起こさなかった人との比較から分析した結果。事故を繰り返す人には「情緒不安定」「自己中心性」「衝動性」など、心理的な特徴があることに加えて、他者に責任を帰属する強いということ。つまり「前の車が急に停車したから」「隣の車線がわりこんできたから」など、事故の原因を相手や第三者、道路状況など、自分以外のものに押し付けるのに対して、事故を起こしづらい人は常に自分に責任の一旦があると考えることでした。
これなんとなくわかりますよね。
一方で著者はどれだけ事故傾性が低い(ミスを起こしやすい)人でも、いつかはミスを起こすのだから、そもそもヒューマンエラーを予防したり、それがミスに直結しないような仕組みやシステムをつくることが肝要と説いています。さらに本当に事故傾性があるのかという点や多くの破滅的な事故は「普通の人」が起こしている点を指摘しつつ、ミスや事故を個人の資質にもとめがちな世の経営者や責任者達を諌めています。
これは、まったくその通りと思う一方で、ミスを防ぐ立場、例えば書類をチェックして戻したりという立場の人からすると、やっぱりミスを起こしやすい人が多いのは困るわけで、その教育のヒントになるかもしれません。
ということで、「失敗のメカニズム」よかったら読んでみてください。