猫の怪我はどうして膿みやすい?【原因と対処法について】
猫の怪我は犬に比べて悪化しやすく治りにくいということを知っていますか?
その理由は猫の体の特徴や習性と関係しています。
猫はもともと縄張り争いのためケンカが多いのですが、気温が高くなってくる春は猫にとって繁殖シーズンであり、ケンカが増える時期でもあります。また、冬に比べて家の窓やドアを開けることが増えるため、普段は外に出ていない子が脱走してしまうことも増えるようです。
今回は、猫の怪我と対処法についてお話します。
猫はなぜケンカが多い?
もともと猫は単独で狩りをして生活する動物です。
縄張りの中で狩りをして食事を確保するので、縄張りが広い=狩りの場所が広いということになり、生きていくことに直結します。そのため、縄張りに入ってくる他の猫は追い出さなければならず、ここでケンカが勃発します。
これは猫の世界で先祖代々受け継がれてきた習性なので、人間が猫の食事の用意をするようになって、生きるための狩りをする必要がなくなった現在でも変わることはありません。
猫の怪我の傷のしくみ
猫がケンカをする時は、もっぱら爪と牙が武器として使われます。
どちらも鋭く尖っていますので、縦に深く入れば刺し傷となり、浅く入って引っ張れば引っ掻き傷となります。
また、どちらの傷も細く小さい場合が多いので、ケンカの直後に発見できることはあまりありません。しかし外出から帰宅して足を引きずっていたり、触ると痛がる場所があったりする時は、ケンカをして傷を受けた可能性があります。(ただし、同じ状況で交通事故の可能性もありますので、注意が必要です)
猫のケンカの傷は、にきびや吹き出物と同じような仕組みです。
傷口から菌が入り、皮膚の中で繁殖していき、それがだんだんと大きくなって、表面の皮膚が薄くなり、ついには爆発するのです。
ケンカをして1週間以上経ってから、突然皮膚に大きな穴が開いてどろっとした血膿が流れてくることがありますが、これは爪や牙についた菌が皮膚の下に入り込んでから膿ができるまでに時間がかかるからです。
猫の怪我が悪化しやすい理由
【 理由①皮膚が柔らかいため 】
猫の皮膚はよく伸びます。よく伸びるからこそ傷の治りが遅くなるともいえます。
母猫が子どもを運ぶときに首根っこをくわえて移動するため、猫の首の皮はよく伸びるようにできています。そのため、首の辺りはくわえられても大丈夫なように神経や血管も少なめにできています。爪や牙が刺さった小さい傷であれば、余った皮膚が寄ってきて傷口をふさいでしまいます。その結果、猫の傷は膿みやすくなるのです。
【 理由②舌がザラザラしているため 】
猫の舌は小さなトゲがたくさんついており、舐められるとザラザラしています。
猫は肉食動物のため、獲物の骨についた肉をきれいに舐めとる役割をしたり、毛繕いの際はブラシの役割をしています。ところが、傷を負った際にザラザラの舌で舐めてしまうと治りかけの皮膚組織が傷ついてしまったり、かえってむず痒くなってしまったりします。また、一生懸命舐めることで傷の周りまで炎症を起こしてしまうこともあります。
猫が怪我をした時の対処法
猫が怪我をして帰ってきた場合、猫が興奮しているようならバスタオルや毛布でくるんで気持ちを落ち着かせましょう。怪我の悪化を防いだり、人間への怪我も防ぐことができます。
猫が落ち着いたら、患部を見て怪我の程度を確認します。
【出血している】
手足から出血している場合、ばい菌が入ることを防ぐために流水で洗い流しましょう。
少量の出血なら清潔なガーゼで患部を数分間圧迫して止血します。程度が軽そうなら動物病院へは連れて行かなくても良いですが、前述のとおり小さな傷から膿みやすいので、こまめに様子をみるようにしてください。
大量に出血しているときは、患部よりも心臓に近いほうを包帯などで縛り、圧迫して止血します。そのまま動物病院へ連れて行きましょう。
※注意※
オキシドールなどの人間の消毒液は動物には刺激が強すぎます。痛がって暴れることもありますので、使わないようにしましょう。
【目を痛がる・目が開かない】
目に爪が刺さり、角膜に傷がついたり穴が開いている可能性があります。放置すると失明の可能性もありますので、早めに動物病院へ連れて行きましょう。
【膿が出てきた】
膿んだ傷口が破裂してしまった場合、清潔なガーゼで覆って菌が入らないように保護しながら動物病院へ連れて行きましょう。
おわりに
猫のケンカは単純に傷を負うだけでなく、病気の感染リスクもあります。ケンカ以外にも交通事故や心無い人間からの虐待、寄生虫など、外の世界は猫にとって危険がたくさんあります。猫は完全室内外を徹底し、外に出てしまうことがないようにしっかりと脱走対策をしておきましょう。万が一外に出てしまったら、知らないうちにケガを負っていないか・怪我をしていた場合は病気に感染していないか・寄生虫がついていないかなど、動物病院で確認してもらうと安心です。