ヒューマノイドロボット『RYUJI』mission6-⑧
2018.05.15 23:00
「はい!カーーーーット!!!!!」
MVの撮影は一発でOKが出た。
「息もぴったりで、迫真の演技だったな!」
「あれから腹割って酒でも酌み交わしたの?」
監督が尋ねてきた。
「…ええ、まぁそんなとこです」
まさか、キスしてたなんて言える訳がない…
スーツを完璧に着こなして隣に立つ隆二を見た。
「隆二…あのさ」
「臣くん!iPhone鳴ってます」
遮るようにマネージャーが俺のiPhoneを持って近寄ってきた。
RYUJIからだ。
『臣?撮影終わったのか?』
「ああ…いま終わった」
隆二がちらっと視線を送ってきた。
とても機嫌が良い表情とは言えない。
『昨日どこに泊まったんだ?』
「ん?…ツレん家。連絡しないで悪かったな」
『そっか。今夜は帰ってくるんだろ?』
隆二が俺の目を見て、「お先に」とだけ言ってスタジオを出ていった。
「……」
『臣?聞いてんのか?』
「…ああ、聞いてるよ」
呼び止めた所で何を話すんだ?
撮影が無事に終われば、それでいいはず…
また…アイツの所へ帰るんだろう…
『臣?』
「ん?…ああ、わりぃ、シャワー済ませて帰るよ」
『迎えにいくから待ってろ』
「…え!?空飛んでくんのか?」
『ちげーよ!』
『クルマが手に入ったんだ。おめぇを飛ばすわけにはいかねぇからな』
「…そっか」
『シャワー済ませとけよな』
「わかった」
『30分後にな』
「ん…」
ツー…ツー…
隆二の気持ち…
確かめるんじゃなかったのか?
撮影スタッフと、マネージャーに挨拶をして、隆二がいる控え室へと向かった。
to be continued…