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オムツと涙とハーバード

「ナニーシェア」ってナニ。

2018.05.15 15:14

最近の一番の懸念、アメリカでの娘の保育園待機児童問題。


割と話を聞いていた周りの人は、なんだかんだ入園できているし、

結構早めの2月に申し込みしたし、

「student mom」は割り当てTier(日本のポイントみたいなもの)の優先度高いし、

大丈夫だろう・・・などとタカをくくっていたのが間違いだった。


・ 0歳児、特に3-16ヶ月くらいの子供は供給スポットが少ない割に需要が極めて多い。


・ DeferしたためHarvard側の記録が間違っているというアメリカあるあるが発生、

 優先度の低いTierを割り当てられていた。(これは焦って修正。)


・ Student Momよりも、さらにTierの高い人として「すでに契約がある人の継続」

 「すでに契約がある人の兄弟」「教授の子供」が優先される。


ことにより、どの保育園も1-3つのスポットのofferしかない中、

各保育園で私より前に待っている人が20人はいると言われ、

かなり絶望。


いやぁ、とにかく、お子さんが保育園に入ることを前提としている方は

合否に関わらず早めに申し込みをすることをお勧めします・・・。


***


ということで、Waitlistはかけつつ、

保育園のオルタナティブ オプションとして何人かに紹介されたのが、

「Cozykin」なる“Nanny Share”のサービスである。


これは、

私と同じような目にあったHBSの卒業生が

「待機児童問題」を解決するためにスタートアップで会社を立ち上げたものだ。


「ナニーシェア」はその名の通り2組等の家族でNannyさんをシェアするサービスだ。

1人のNannyさんが2人の違う家の子供の面倒を、どちらかの家でみてくれるもの。


早速スタッフに話を聞いてみたところ、これ、

「Nanny」の弱点を克服した非常によくできたサービスになっていて結構感心した。


例えば、


・ 当然ながら、1対1で雇うよりもコストが抑えられる。


・ 会社がTop TierのNannyさんをbackground checkした上で雇用しているので、

  直接探す場合のように質をゼロから気にしたり(当然起用前に面接などはあるが)、

  個人契約のように保険や税金などの手間がかからない。


・ 会社が預かる間何をするかなどプログラムを作っているので教育的面も充実。

  Nannyさんの定期的な人事評価や親からのFeedback体制もきちんとしている。


・ マッチングするシェア相手は徒歩15分以内の場所で探してくれる。


・ 近くの家のNannyさんが一定の時間に公園に集合して集団で遊ばせる時間もあるので、

  「ずっと1対1で社会性が養えない、、、」みたいな心配がない。


別に、このサービスの回し者ということではなく、

こうやって民間スタートアップが既存の保育園問題を解決すべく代替案を提示して、

creativeに課題解決しているのは素晴らしいことだなーと思ったのだ。


と言いつつ、こちらのサービスもマッチングに3ヶ月くらいかかるので、

(ご利用は計画的に!)

保育園の確保戦争は続きます。


***


以前もアメリカの保育園の値段の高さについて触れたが、

0歳児の場合、支払う額は家賃より高い月々3,000ドル程度である。

(友人によれば、それに更に先生へのボーナスなどを払うらしい。。。)


その分クオリティの高いケアが受けられると納得するしか無いが、

ボストンに限らず、NYCなどでも共働きの夫婦から


「働いて給料全部保育料に消えてるけど、

キャリアを維持するためにこの数年間は仕方ない」


なんて話はよく聞く。


でも、これは特別アメリカの保育園の運営コストが高いわけではなくて、

コストをそのまま転化してビジネスしようとするとこうなるのだ。


日本でも、東京23区の公立認可保育園における0歳児一人当たりにかかる保育運営費は

平均で月額50万円程度、私立認可保育園で月額30万円程度と言われている。

(鈴木亘 「社会保障亡国論」より)


当然、今親が支払っている安価な保育料と実際の運営費の差は公費が投入されている。


日本でも、会社付近のレベルの高い認可外保育園と

自宅付近の認可保育園を両方経験して

IT化されているか、子供ファーストを守りつつ保護者の利便性を重要視しているか、など

そのサービスレベルの差に愕然とした母たちの話をよく聞く。

(素晴らしい認可保育園が沢山あることは否定しないが、追加的サービスや子供が遊んでいる写真を販売して収益源にしている認可外保育園と比較して、サービスレベルや生産性の向上が保育士さんの善意とオーバーワークに依拠しているのでは、、と思ってしまう。)


個人的には保育園運営側への株式会社などの参入をより促して、

市場原理で価格設定・運営し、

利用者の費用負担の補助は運営側への公費投入ではなく

利用者側へのバウチャーなどで行うべきでは無いかと思う。


もちろん、限られた資金をどこに配分すべきかと言われたら、

将来ある子供、その教育費に重点を置いて配分するべきだと思う。


アメリカのようにべらぼうに高い保育料が良いとは思わない。

(加えて、日本のように女性の労働参加が重要施策となる国において、

保育を「誰もがアクセスできるインフラ」のように捉える考え方も共感できる。)


一方で、持続可能な形で配分を続けるために、

非効率は是正する必要あると思うのだ。