考えていることが作品に表れる
作品で嘘を吐くことはできない。
私がものづくりにハマっただいぶ初期の頃に体験から学んだことなんですが、手作業での
ものづくりというのはとても繊細なしごと。作品ひとつ仕上げるまでに 小さな工程を
いくつもいくつも重ねます。その小さな工程ごとに作者の判断と技術力が如実に反映された
結果の積み重ねが、作品として立ちあらわれるものです。
だから作品を鑑賞するとその人がどんな人なのかがわかります。
年齢や音楽の趣味みたいなプロフィールまでわかるわけではありませんが、作品を作る時に
どれくらいのエネルギーで向き合っているのかは必ず出ます。よく考えて仕上げたところと
手癖で仕上げたところの違い、迷ったところ、失敗したりごまかしたりしたところがどこかなどは
手に取るようにわかります。
たぶん上手くいったところが調和しているなかで、そうでない部分を鑑賞者は敏感に感じ取って
いるのだと思います。人間の目というのはとても優秀なんですよね。
そして作品制作への知識や、比較対象となる作品を見る経験によって”目が肥え”ていくことで、
より鮮明に読み取れるようになっていくのだと思います。
そしてそういう作品に表れる作者像というのは、直接知っている人であるととてもよくわかります。
パーツ選びの好み、配置のセンス、仕上げの丁寧さ、1つ1つの小さな違いが積み重なって作品に
なり、そこに作者の個性がにじみ出ます。
ワークショップの場では 同じ材料を割り当てられて同じものを作っていくのに1人1人の作品が
それぞれ違うのがよくわかります。もし機会があれば、ぜひそういう個性を意識して観察してみて
ください。
特にものづくりが上達したい人は、小さな違いによって作品の印象がどう変わっているかとか
同じような作品の中で、上手く見えるものと下手に見えるものは何が違うのかとか、注意していると
観察力が養われて自分のものづくりもレベルアップしていきますよ。