絵本『ラスコーの洞窟』
先週の子育てサジェスチョンが『興味を育むために』、今週は自発性を育むためにどうするのかという視点からの『子供を伸ばすアプローチ』という内容を受け、子供達の興味が冒険という形になって世紀の大発見であるラスコーの壁画を発見した少年らの実話を絵本にした作品を取り上げます。
あるご父兄がこの作品を読んで借りの様子を描いた壁画であるとお話ししていたようですが、ヨーロッパの壁画は星座を表し天体を記録するために書いていたことが研究からわかっていると飛行機の機内誌かヤナセの月刊誌で読んだ記憶が微かに残っています。何千年も前の古代人がすでに時空間の高度な知識を持ち生きていたという悠久のスペクタクルを想像するだけでこの作品をワクワクしながら読むことができるのではないかと思います。
中学校の世界史で初めて耳にした記憶がありますが、この作品はそのラスコーの壁画が発見された経緯と第二次世界大戦中の南フランスの状況とその後の少年らの話があとがきを含めて書かれています。副題にもあるように「ぼくらの秘密の宝もの」という言葉からも分かるように発見した少年らにとってはたわいも無い遊びの延長線上の出会いで偶然発見することになった誰にも教えたくなかった秘密の宝もの。今にも落盤してきそうなじめっとした暗い穴の中をどんどんと進んでいく怖さと秘密基地にでも迷い込んだようなワクワク感を感じながら発見した洞窟の大きな壁画。ここまで読んでいくと映画『グーニーズ』と4、5年前にタイで起きたタルアン洞窟の遭難事故を思い出してしまう。
もし私が少年ならさぞかしワクワク感を持って洞窟内に入っていたであろうと思うと同時に母として考えると危険極まりないことを子どもにはしてほしくないという狭間に揺れながら作品を読んでいました。子どもたちが相談に行ったラバル先生や旧石器時代の美術に詳しいアボットなどいろいろな立場でこの作品を繰り返し読んでみようかと思える作品です。
この作品は世紀の大発見とともに第二次世界大戦の暗い闇を後書まで読むと理解することができます。日の当たる世紀の大発見と人間の歴史上最も闇深き戦禍の歴史が相対する作品として子供達が読み込んでいけたらと思います。断片的な捉え方も大事ではありますが、実話を読む時にはその当時の時代背景や人々の暮らしなど総合的に捉えることの見識の深さや大きさを広げることをこの作品で学んでほしいと思うのです。