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「宇田川源流」 既に衣料品ビジネスはネットだけなのか?と思わせるイトーヨーカ堂のアパレル撤退

2023.03.15 22:00

「宇田川源流」 既に衣料品ビジネスはネットだけなのか?と思わせるイトーヨーカ堂のアパレル撤退

 一応元小売業に身を置いていたというようなことから、今回のお話をしてみようと思う。ちなみに、イトーヨーカドーの伊藤雅俊名誉会長が亡くなられたということ、特に記事に関して全く出していませんが、謹んでお悔やみ申し上げます。私はたぶん、伊藤名誉会長とはお目にかかったことがなく、鈴木敏文氏が社長であった時に、何回もお話に行かせていただいた。中央大学の先輩であったこと、またマイカルの社長の宇都宮浩太郎社長も中央大学であったことなどから、小売業のつながりだけではなく、中央大学の同窓会などでもご一緒できていたので、イトーヨーカドーやセブンイレブンジャパンとのお話は様々あるのだが、現在のイトーヨーカドーに関しては様々な話が出てきているのではないか。

イトーヨーカドーは、元々が小売業としては起源は名誉会長 故:伊藤雅俊の母親・伊藤ゆきの弟にあたる吉川敏雄が、東京市浅草区(現:東京都台東区浅草)に「羊華堂洋品店」を1920年(大正9年)に開業したことに遡る。1971年に株式の額面変更のため「川越倉庫株式会社」(1913年(大正2年)設立)から改称した「株式会社イトーヨーカ堂」が「株式会社伊藤ヨーカ堂」を吸収合併。ハトの図柄のコーポレートアイデンティティ (CI) も同時に採用した。1970年代からは提携路線の強化に伴い、札幌市の山の手ストアーと札幌松坂屋・栃木市のアサヒ商事・長岡市の丸大・平塚市のダイクマと相次いで業務提携を行ったが、それら企業に対して「(イトーヨーカ堂が)キバを剥いた」という世評があったという。この「御家騒動ともいえる路線変更」から鈴木敏文氏が入り、この法人(旧法人)による事業が長く続いた後、旧法人と持株会社の資本関係適正化のため、旧法人が会社分割(新設分割)を行い2006年(平成18年)3月1日に当社が設立、旧法人のほぼすべての事業を承継した。

要するに、本来アパレル中心にしたスーパーマーケットであるイトーヨーカドーがアパレルを捨てたのである。

イトーヨーカ堂、衣料品事業から撤退…「プライドや雇用もありやめられない」最後まで迷い

 セブン&アイ・ホールディングスは9日、傘下のイトーヨーカ堂が衣料品事業から撤退することを決めた。

 幅広い商品を手がける総合スーパーの運営は行き詰まっており、食料品中心に事業を絞る。売り上げが低迷する地方では閉店を加速させ、抜本改革に挑む。(鈴木英樹)

■抜本改革

 「改革を検証する中でグループの強みは食であると気づかされた。食を中心にもう一度強化したい」。電話記者会見で、セブン&アイの井阪隆一社長は構造改革の方針を説明した。自社での衣料品の製造や企画をやめ、魅力的なテナントを誘致して集客力を強化する。グループのセブン―イレブンとの相乗効果も期待する。

 イトーヨーカ堂はこれまでも構造改革を繰り返してきた。2015年には不採算店舗を中心に約40店を閉鎖する方針を表明。19年にも約30店で閉鎖や食品スーパーとの連携を進める計画を示した。それでも、直近は2期連続で最終利益が赤字だった。

 9日の決定により、すでに計画している19店の閉鎖に14店が加わる。イトーヨーカ堂の山本哲也社長は「利益性、効率性のレベル感が低いことの反省から、一歩二歩踏み込んで抜本的な変革が必要だ。背水の陣だという覚悟で取り組みたい」と強調した。

■専門店が席巻

 イトーヨーカ堂はセブン&アイの祖業で、100年を超える歴史がある。食料品から衣料品、日用品まで何でもそろう総合スーパーとして、地域に根ざしてきた。

 2000年代以降は、ユニクロやニトリといった価格は安くても良質な商品を扱う専門店が席巻するようになり、苦戦を強いられた。ネットスーパーを始めとするデジタル戦略でも出遅れた。衣料品は開業当初から取り扱っており、改革案に「撤退」の文字を盛り込むかどうかは最後まで迷いもあった。内部からは、「プライドや雇用もあって、衣料品はやめられない」との声も聞かれた。

 だが、株主である一部のファンドから、収益力の高い国内外のコンビニエンスストア事業に注力することを迫られるなど、外堀は埋まっていた。

 新たな構造改革が奏功するかは不透明だ。外部からは「今回も結局は過去の改革と似た方向性だ。二度あることは三度あるにならないか心配だ」(アナリスト)との声も漏れる。

■そごう・西武雇用「受け皿を準備」井阪社長、売却で

 セブン&アイ・ホールディングスの井阪隆一社長は9日、米ファンドへの売却手続きを進めている傘下の百貨店「そごう・西武」について、「従業員の雇用は継続を図る。当社グループにおける受け皿の準備も進めている」と述べた。

 そごう・西武の売却を巡っては、セブン&アイの株主が、雇用の守られない恐れがあるなどとして、差し止めを求めている。井阪氏はそごう・西武に約3000億円の借入金があることも明らかにした。「これ以上の資金支援は非常に厳しい」と売却を決めた経緯を説明した。

2023年3月10日 7時34分 読売新聞オンライン

https://news.livedoor.com/article/detail/23844596/

 イトーヨーカドーやセブンイレブンの特徴は、きめ細かい単品管理とPOSレジの活用である。セブンイレブンなどでは、近所の小学校の運動会などのデータを入れて、その内容で仕入れを変えるということなどが話題になった。しかし、実際にこっらのPOSレジとデータの活用は、実は「食品」「惣菜」「デイリー」の商材に対しては非常に有用であるものの、一方で、衣料品などの「何年も使うもの」ということに関してはあまり有用ではないのである。イトーヨーカドーがセブンイレブンのフランチャイズで利益を上げていた。これは鈴木氏の発案であるが、実際にはそのことによって衣料品などの利益はかなり縮小していたということになるのではないか。

そのように考えると「利益構造が変わった」ということに関して現在の、つまり鈴木氏が引退した後の経営者がわかっているのかというのはかなり疑問に思ったことがある。実際に通販のニッセンを買収した時に「何故」と思ったが、まさに利益構造が見えていないことの証左ではないか。もともと鈴木氏の考えていたイトーヨーカドーは、「フランチャイズなど目に見えないものを金に換えるノウハウ」で利益率を高めていた。そのうえで、単品管理ということの効率化の徹底と、在庫リスクの回避がその内容の最も核になっていたはずだ。その核になっていた内容がいつの間にか消えてしまっているということになる。

そのことが、「最も在庫を抱えてしまい、POSレジ活用に不向きなアパレル」斬り捨てということになるのである。

このような経営が、他の企業も同じではないか。「自分の所の強み」は「歴史」とは異なる何かを持っている可能性があるということを知るべきである。