ヒューマノイドロボット『RYUJI』mission6−⑨
2018.05.16 23:00
控え室へ向かいながら、上着を脱ぎネクタイを緩める。
なにイラついてんだ?
…あの夜
臣と恭介が入れ替わってることに気づかなかった自分に…
恭介だと思っていた唇に…
半端ないくらいの愛情を感じている自分に…
そして…
自らの願いでこの世に生まれたRYUJIに対して、
複雑な感情を抱き始めた自分に…
控え室に入り、衣装を脱ぎ捨て、シャワーを浴びる。
円滑に撮影を終えるために…
そう自分に言い聞かせて、臣と長いキスを交わした。
キスの後、臣は自分を抱きしめて、
しばらく離してはくれなかった。
ライブの前後、臣とハグするのはいつもの決まりになっていて、
一旦ハグされると、いつもなかなか解放してくれない。
何度となくハグを繰り返してきたが、
昨夜は少し感じが違っていた。
一瞬…
時が止まればいいと思った…
いつのまにか…
俺たち…始まってたんだ。
さっとシャワーを済ませ、バスタオルを腰に巻いたままふと、iPhoneを手に取る。
恭介からはメールが来ていない。
一件だけ着信があった。
ロボット工学研究所からだ。
カチャ…
臣が控え室に入ってきた。
同時に留守電に入っている伝言を聴いた。
『今市様、紅教授が実験中に怪我をされ…』
「…恭介⁉︎」
「隆二、どうした?顔色が悪いぞ」
急いで衣服を身につける。
「あ?…いや、ちょっと急な連絡で…」
「…大丈夫か?」
荷物を手に取り、急いで控え室を出る。
「臣、またね」
「ん…」
パタン…
胸騒ぎがする…
恭介の元へと急いだ。
to be continued…