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Nozomi Matsuda

ヒミツノハナシ(10)

2018.05.20 22:00

2017年2月。

約束を交わしてからあっという間に1ヶ月が経った。

松田は、晴れの日も雨の日も、風が強くて前に進めない日も、必ず自習スペースにいて勉強していた。

松田は、約束を守るためと言って、意地でも問題を解こうとする気持ちの強さが糧となり強くなりつつある。

強くなりつつある松田に「最近調子良さそうじゃん。」と声をかける。必ず松田は笑顔で当たり前だと答える。

いつだったろうか、松田が大きく成長しだしたと感じた時、毎日自習スペースで勉強している松田に質問をした先生がいた。

「どうして毎日こんなにたくさん勉強してるの?」と。

松田はどの先生に聞かれてもきまって「教師になるから。約束したんだ。相沢先生を越える教師になるって。だから勉強してるの。」やる気に満ち溢れた回答に先生たちは必ず「数学好きなんだな。」と問いかけるのだが松田は即答で「数学なんて大嫌い、もう二度とやりたくない。」と答えると言う。

「嫌いなのに数学の教師になりたいの?」と誰もが返すであろう質問に松田は目的を持って答える。

「嫌いだからだよ。同じ思いをしてる生徒に嫌いでいいんだって。でも、必ず必要だって感じる瞬間があるから。嫌いだから、できないからこそ教えられるものってあるでしょ?できる人たちには伝えることのできないことが。だから数学教師を目指してる。体育や美術の道だってある。それでも嫌な科目の先生になりたいって思ったから。」

自信に満ち溢れた顔をしているのに、目には涙を浮かべていたという。

そんな時、世の中の不平等さをを感じた。

学力差社会と言われている今、必死で勉強しても苦労を続ける人がいるなかで、なんの努力もせずあっさり勉強ができるようになってしまう人との差を実感してしまった。

目の前で、こんなに頑張っている生徒がいると言うのに、クラスの中には授業中ゲームをしても点数がいい生徒がいる。

そんな世の不平等を感じた時には、もうすぐ1年生も終わる頃だった。

2年になったら松田の学年を持ったりするんだろうか。