J.ブラームス ヴァイオリンとピアノのためのソナタ 第3番ニ短調作品108
2023.03.15 15:00
記念すべき第50回室内楽定期演奏会の終曲です。
J.ブラームス
ヴァイオリンとピアノのためのソナタ 第3番 ニ短調 作品108
を紹介いたします。
こちらが、その動画です。
前曲のバッハのソナタ 第2番で心に爽やかな風を通した後は、ブラームスの感情の嵐が通過いたします。
バッハに心酔していたブラームス。
バッハ作品の編曲、バッハの主題を自作曲に応用するなど、カザルスにとって愛すべき音楽家でした。
ブラームスがこのソナタ 第3番に取りかるころ、音楽家としての成功を集中に収め、人生の頂点にありました。
ところが、親しい友人の訃報や危篤の知らせを受け、人生の宿命を痛切に感じるようになったのです。
起きてもいない先々のことに大きく心を痛める…。
私もそうですが、思い当たる方もいらっしゃいましょう。
その心境は音楽に反映され、諦観を露わにし、より内省的となりました。
晩年の作風の始まりです。
感情が洪水のように溢れ流れる一方で、悩ましさ、祈り、諦めが声を潜めて歌われる。
迷いにもて遊ばれる時も。
答えは見つからずにこの曲は幕を閉じます。
その後、遺書を書き、周辺をの整理をはじめ、隠居を考えていたブラームス。
しかし、それを裏切り、生きることを、作曲することを続けたのです。
それが答えでした。
創作はピアノ曲、声楽曲、室内楽曲など小編成の音楽に限られました。
老境を綴るに相応しい音楽だったのでしょう。
4つのクラリネット作品はその代表です。