色即是空。
Naoyaです。
今日は二十四節気の4番目、春分です。春の中心の節気。秋分と同じく、昼と夜の長さがほぼ同じになる日です。春のお彼岸の中日に当たります。ここから夏至に向けて、昼の時間がさらに長くなって陽のエネルギーが強くなっていきます。
そして春分は十二星座の最初の星座、牡羊座の始まりのタイミングでもあります。十二星座ラストの魚座が終わって牡羊座を迎えたことで、宇宙の一年のサイクルがここからまた新たにスタートしました。
相変わらず毎日のように何かしらの映画を観ています。劇場にも週一くらいのペースで観に行ってます。
劇場で映画を観るというのは、非日常を体験することだと思います。自分の観たい時間に観たい場所や設備で観る配信とは違い、指定された時刻に決められた場所に出向かなくてはならないことがまず、自分の意思でコントロールすることのできない非日常だし、光を遮った真っ暗な部屋の中で、大きなスクリーンといい音響で映画を体感することは、日常で味わうことのできない刺激だと思います。毎日が退屈で刺激がないのなら、映画館に行くことをおすすめします。
先日「エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス」(以下、「EEAAO」)を観てきました。アカデミー賞絡みで話題になっている作品ですが、内容としてはかなりマニアックでニッチで、人によってはちょっと難解にも思えるので、「トップガン マーヴェリック」や「タイタニック」「RRR」みたいな感覚で観に行くと、面喰らうんじゃないでしょうか。
「EEAAO」は主人公のエヴリン(ミシェル・ヨー)が、いくつもの世界が平行しているマルチバースに飲み込まれて、それぞれの世界に存在するそれぞれの自分の記憶や特殊能力を手に入れて、世界に迫る重大な危機に立ち向かうという話。かなり感覚的で面白かったです。
「EEAAO」の中で真ん中が空洞のベーグルがモチーフとして登場するのですが、これは般若心経の中にある「空即是色」のメタファーなのだそう。つまり、この世のすべては空(くう)であるが、その虚空であり実体のないということ自体が、本来の物事の姿であるということです。
監督のダニエルズ(ダニエル・クワン&ダニエル・シャイナート)のインタビューによると、作家のテッド・チャンからのインスパイアも「EEAAO」に反映されているそうですが、テッド・チャンは僕が大好きな「メッセージ」という映画の原作「あなたの人生の物語」の作者です。で、「メッセージ」の中に出てくる地球外生命体「ヘプタポッド」が使う言語の文字もサークル状になっていて、まさにベーグルと同じような形状。始まりと終わりがなく、時制もなく、非線形なその言語も、まさに「色即是空」なのだと思いました。
ダニエルズ監督がインスパイアされた短編「理解」や「あなたの人生の物語」が無性に読みたくなり、すぐにテッド・チャンの本を入手しました。ちょうど読み始めたところです。最近は小説をほとんど読まなくなっていたのですが、こういう必要性に動かされる衝動って、本当に刺激的で大好きです。