自然とひとつになる
https://dowellbydoinggood.jp/contents/topic/540/ 【書店員・黒田杏子が選ぶ、自然のあり方を教えてくれる本&映画】より
SDGsの目標達成にはまだ課題がありますが、それでも前に進むしかなく、人間は意志を持ってこの星をかつての美しい地球に戻すべく、変えていく努力をしなければなりません。自ら自然に身を置き、そこから何かを学べるのは、とても幸せなことです。けれど、本や映画を通して、新しい考え方や感じ方を得ることだってできます。そんな体験をした書店員の黒田杏子さんに、大切なことを教えてくれた作品について聞きました。
自然や環境を近寄せてくれるのは知識より、まず“心震える”こと
環境問題をストレートに取り上げた映画やドキュメンタリー作品は多々あって、問題を直視するには最短距離かもしれません。そんななか、『光のノスタルジア』は少しアプローチが違って、声高に問題を提起するのではなく、自然の大きさや美しさ、人間の一生を超えた気の遠くなるような長い時間、そして、時代時代にそこで行われた人間の愚行を多角的に描くことで、自然と人間のかかわり、人間の時間感覚やリズムだけでは決して想像できない自然のあり方を教えてくれます。
舞台は南米チリのアタカマ砂漠。世界で最も乾燥した土地のひとつであるその砂漠には、世界中から天文学者が集まる天体観測基地があります。電波望遠鏡がとらえる星の光は、数十億年前に放たれたエネルギー。その“光の記憶”を入り口に、過去へとさかのぼっていきます。
1970年代、軍事独裁政権下にあったチリでは、多くの政治犯が捕らえられ、殺害された人々の遺体がアタカマ砂漠に埋められたそうです。天文学者が空を見上げるそばで、その遺骨を探す遺族たちが下を向いて歩いている。同時に考古学的にも重要な場所で、砂漠からは古代人のミイラや岩絵なども発見されています。
天文学、歴史学、考古学など、さまざまな分野から砂漠を見つめ、その視点は過去から現在、未来へとつながっていく。こんなスケールで自然と人の歴史を見せてくれる作品は出合ったことがなく、はじめて観たときには、しばらく言葉を発することができませんでした。何よりも素晴らしいのが、全編通して美しく、壮大な映像で綴られていくという点。人間とはいかにちっぽけなものか、そんな存在がどうして地球を支配できると思い上がるのか——。そんな思いが、知識としてではなく、感情としてこみ上げてきます。
『だれも知らない小さな国』は、子どもの頃に繰り返し読んだ本。主人公のお気に入りの素朴で美しい里山に小人=コロボックルが暮らしていて、ある日、そこに持ち上がった道路建設計画に、主人公とコロボックルたちが協力して立ち向かうという物語です。私自身も緑の多い土地で育ったので、もしかしたら私のお気に入りの場所にもコロボックルがいるかも? と思ったり(笑)。
面白いのは、コロボックルたちが魔法などを使わず、とても現実的、平和的な形で人間との軋轢(あつれき)を解消しようとがんばるところ。彼らは自分たちと人間の世界の橋渡しになってくれる協力者を探して、人間のことをよく観察しているんです。そして「この人なら」という人にだけ、こっそり姿を見せてくれる。いうなれば“選ばれし者”ですね。大人になったいまもコロボックルに会いたいと願う私は、彼らに認めてもらえるような人間になろうと、日々精進しているところです。
『光のノスタルジア』
南米チリ・アタカマ砂漠に流れる、星たちの悠久のとき。軍事独裁政権下で愛する人を失った遺族たちの止まってしまった時間。天の時間と地の時間が交錯する壮大なドキュメンタリー。パトリシオ・グスマン監督。2015年公開。
『だれも知らない小さな国』
佐藤さとる/作 村上勉/絵
コロボックルと出会った小学3年生の「ぼく」。彼らが住む里山を守るための冒険がはじまる。日本初のファンタジーとして1959年の初版から読み継がれてきた傑作「コロボックル物語」シリーズの1巻。講談社文庫/¥704
PROFILE
黒田杏子 くろだ・きょうこ
大学卒業後、夫の黒田義隆とともに書店をはじめる。現在は「感じる、考える人のための本屋」をテーマに、名古屋市千種区で「ONREADING」を営む。新刊本、リトルプレス、古書、CD、雑貨などを取り扱う。ギャラリーを併設し、展示会やワークショプも積極的に開催している。
Facebookさん投稿 一指 李承憲(イルチ イ・スンホン)さん投稿記事
人間の利便性のためにつくられたプラスチックなどのゴミが 天を、地を、そして海を覆っています。
数十年後の海は、プラスチックが魚より多くなると言われています。
このままでは、数年後には100万種の生物が地球上から姿を消してしまいます。
地球は日に日に熱くなり人類をはじめとする生物は気候変動に大きな影響を受けています。
今、私たちの目の前にある環境汚染は共滅か、共生かの問題です。
しかし、誰が共滅を望むでしょうか?
環境汚染の問題を解決するには人類の意識が変わる必要があります。
あらゆる選択と決断を共生という価値にもとづいて行ないましょう。
人類の共生のためには所有と支配と競争の文化 そして私たちが慣れ親しんできた
利己主義や便利至上主義から自分自身をきっぱりと 切り離さないといけないのです。
私は、これが今の時代において最も大事な選択ではないかと思います。
それなら、私たちは新しい選択のための希望と力をどこに見いだせばいいのでしょうか?
それは自然の中にあります。
太陽を見てください。木を見てください。水を見てください。
人類が共生していくためには明るい意識を取り戻し自然とひとつになる必要があります。