異端のラビリンス 二人の男の志と情熱が息づく「箱根 富士屋ホテル」(山口仙之助・正造 作 1878<明治11>年)
<「美の巨人たち」放映番組(2016.8.13)より主なコメントを引用>
箱根の宮ノ下、12,000坪の敷地に、六棟の個性豊かな建物が、「富士屋ホテル」として点在している。
初代創業者の山口仙之助が、本館、西洋館を、三代目の山口正造が、花御殿、食堂棟を設計した。 箱根のランドマーク的存在といっていい。唐破風、千鳥破風など、洋風建築を基調としながらも、和風、アジア風の要素をふんだんに取り入れ、建築学的には、いわば「異端の建物」としての特徴がみてとれる。
しかしながら、かえってその型破りな建築技法や、細部にわたるこだわりの数々が、他に例を見ない、「東洋の中の富士屋ホテル」としての存在感を今でも誇っているといっていい。
こだわりの典型として、食堂棟「メインダイニングルーム」の天井には、一面に636種類の高山植物、507羽の野鳥、238匹の蝶が、見事に描かれている。
「和洋折衷建築」と称していいが、細かく見ると、世界三大銘木の「チーク材」を用いるなど、アジア的要素も建物のあちこちに、ふんだんに取り入れていることがわかる。
二人の男たちの志と情熱は、世界に類を見ないホテル建築となり、いまもその熱き魂が息づいている。
<番組を視聴しての私の感想コメント>
福沢諭吉が、当時より日本の「国際観光」の重要性を説いていたことから、初代創業者の山口仙之助は、当初外国人専用のホテルとして建築したと、番組では紹介された。
また、三代目正造の大胆かつ破天荒な考えと、即実行に移すという実行力が、こうした建物を現実のものとして造りあげたとの印象を強く持った。
いわば、「夢のような日本」を、当時からまさに夢見て、現実以上のものとしたホテルといっていいのでは。
夢の実現といえば、「東京ディズニーランド」をはじめとするテーマパークを思い出した。しかし、時代背景は違えど、明治初期の時代から、夢を抱き現実の形にこだわり、そしてそれを実現させた男たちの「サクセスストーリー」が、ここにもあったのかと想像した。
もちろん、番組でも紹介しきれない数々の困難や、悪戦苦闘があったと想像するが、だからこそ今日に至るまで、「箱根 富士屋ホテル」としての存在感、箱根のランドマーク、アイデンテイティは、微動だに揺るがないものがあるに違いない。
私自身はといえば、ホテルの前の道は何度か通りがかったことはあるにせよ、宿泊したことはまだない。
強いて言えば、富士屋ホテル特製の「シーフードカレーライス」は食したことがあるが、これがとても美味しいカレーライスであったので、こちらは何度かリピートして食している。
チャップリン、ジョン・レノン夫妻、三島由紀夫、ヘレン・ケラーなども宿泊した老舗ホテル。一度でいいので、機会をとらえぜひ宿泊してみたい・・・
写真: 「美の巨人たち」(テレビ東京放映番組2016.8.13)より引用
同視聴者センターより許諾済