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Nozomi Matsuda

ヒミツノハナシ(11)

2018.05.21 22:00

2017年3月。

3月1日に私の学年の生徒を卒業させ、だいぶ自由な時間が増えた。

しかしそれでも来年の仕事が山積みで忙しい日もあった。

職員室を出て事務室に向かう時必ず、自習スペースの横を通るのだが、松田を見ない日はない。

「今日も頑張ってんな。頑張れよ。」と通りすがりに声をかけると、松田は笑ってうんと答えた。

「あ、そういえばね先生。バイト始めたの。塾代払うために。」

また突然の報告だ。

部活をやめて、アルバイトを始め、塾代を支払うと言い出した。

やっぱり松田には行動力がある。

この、行動力は羨ましいと思うこともあったりした。

勉強とアルバイトを両立させるのはそう簡単なことではないが、将来に役に立つことはわかる。

「いい社会勉強になるといいな。だけど、バイトのしすぎで勉強がおろそかになるのはダメだぞ。」

そういうと、松田は笑顔で答えた。

「先生ならそう言ってくれると思った!」

松田は果たして両立できるのだろうか。

やっと春の温かみを感じ始め、桜の蕾も膨らみ始め4月に向けてたくさんの人たちが動き出そうとしている。

私も来年度で教師10年目を迎える。

松田ももう2年生。

松田は数学の教師を目指す夢を変えず、理系を選択して進級を目前に控えていた。