ニューヨークで暮らすのは、世界一周するようなものだ。
ニューヨークに来て10日ほどが経った。当初は1週間ほどの滞在予定だったのに、あまりにも楽しくて、ついにマンスリーアパートメントを契約するに至った。
その旨を父親に伝えると、気をつけろよ、の言葉とともに、ニューヨークは東京と何がちがうんだ?という質問がきた。
ニューヨークと東京の違い。それは間違いなく「人種がごちゃまぜかそうでないか」。
ニューヨークには、ありとあらゆる人種が存在する。人種だけでなく、宗教、価値観、生活様式、食べるものなど、ありとあらゆるものが違う人たちが共存している。
それが圧倒的なおもしろさを生み出している。
ある日の電車内で、男性二人組に声をかけられて仲良くなった。
彼らは白人で、わたしに英語で話しかけてきたのでてっきりアメリカ人だと思ったのだが、二人で会話するときは聞いたことのない言語で話していた。
あなたたちはどこの国出身なの?と尋ねると、「イスラエルだ」と言う。
わたしはイスラエル人と話したことがなかったのだけど、ニューヨークという街で、生まれて初めてイスラエル人の友人ができた。
またある日には、Uberの運転手と仲良くなった。彼はイラン人だった。
わたしはイランには行ったこともなければ縁もゆかりもないが、またもやこのニューヨークで、イラン人の友人ができた。
ニューヨークでは、世界一周をしなくとも世界中の友人をつくることができる。
世界中の国のことを知ることができる。
それがわたしにとって、とてつもない大きな価値を持つ。
様々な価値観、生き方、考え方が共存するこの街では、「違うことが当たり前」であり、みな相手と自分の違いを理解することから関係が始まる。
すべての人間に寛容でオープンなニューヨーク。少なくともそうあろうとするニューヨーク。
おそらくそれが、他の都市との最も大きな違いなのではないだろうか。