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SCARLET&VERMILION

予兆

2023.03.20 11:45

それは──まだ、僕が幼かった頃の、記憶。

四筒郷保育所での終業式を終えた後、幼馴染みの明日菜と保育所にある公園で一緒に遊んだ。

はしゃぐくらい、沢山遊んだ。

遊び疲れるくらいに。

そんな時、僕は人の姿をした──黒い何かと出会った。

どんな人だったのか分からなかったけれど、黒い何かはこう言ったんだ。

「君は子供だから、まだ食べない。」──と。

そうして黒い何かは、何処かへ去ってしまった。

僕は何処かへ行った黒い何かの後を追おうとした・・・でも僕は明日菜に引き留められた。

「だめ。」

「え?」

「どうして?」

「私には、幽霊とか化物とか視えちゃうの。知ってる?」

親友である明日菜は、珍しく‘‘霊が視えてしまう’’のだ。

明日菜は僕に、静かにこう呟いた。

「あの人に、連れて行かれたら──駄目。」

「彼の世へ連れて行かれるから、お家に帰らなくなってしまうから。」


黒い何かとの再来は少し、一刻と近づいている──。