食堂のおばちゃん
幸せ=毎日おいしいご飯が食べられること
「食堂のおばちゃん」/山口恵以子
「食堂のおばちゃん」シリーズは
実際に食堂で働きながら執筆活動を
されていた山口恵以子さんの作品。
食堂で働いていたから、なるほど
こんなに×××と思わされるシーンが
たくさん登場する。
それは食べたい!!!が
止まらないから、食いしん坊には
たまらない!!!
もちろんおいしい料理は見どころ
なんだけど、
メインは未亡人となった主人公が
義理の母とともに切り盛りする
食堂に集う人々の人間模様。
旬を大切に築地で仕入れた
食材を使って
変わらない味を提供し続ける食堂には
常連さんが多い。
同じ釜の飯を食べている
常連さんたちだから
他の客の様子が違うと心配し合う。
夫を早くに亡くした主人公を含め、
誰もが漠然とした不安を抱えながら
生きているけど
食堂に集う近くの他人たちと
料理にパワーをもらって元気にしている。
そんな人々を癒す食堂で
提供されているのは家庭料理だけど、
我が家のような適当な”家庭”とは違い
毎日変わらずきちんと作られたご飯。
商売なんだからちゃんと作って当然だと
思いがちだけど料理しているシーンを
読みながらいくらお金をもらっても
今日は手抜きを、、、がない日々を
何十年も続けてるって真似できない
と感じさせられる。
キレイゴトだけでなく、
何とか折り合いをつけて
笑い合っている食堂の様子を
読んで覗いてほっとできる一冊。
毎日変わらず、おいしいご飯が
食べられるって幸せなことだな。
※「食堂のおばちゃん」シリーズは
現在、「食堂のおばちゃん」
「恋するハンバーグ」
「愛は味噌汁」と
3作出ている。
この作品の世界が
今後も続いてほしい!
↓写真は、お話の中に登場する
血糖値を下げるご飯。
作中に登場する料理のレシピが
巻末についているのも
この作品の魅力!
梅、ひじき、じゃこ、ゴマを入れて
炊飯器で炊くだけのこのご飯。
暑い日々の中、
さっぱりしててとても良い!
出てくる食堂のメニューは
どれもおいしそうだから、
空腹時は読めないシリーズ!
「食堂のおばちゃん」は、
同じ場所でずっと店をやっているけど、
私は、気が付けば、社会人になってから
7回も引っ越しをしている。
色んなところを転々としてるけど
今まで住んだどの場所にも
きちんと愛着がある。
これまで入れてもらったコミニティーは
振り返ってみると心地いい場所ばかりで
たくさんおいしいものを頂いてきた。
根無し草だけどお得な日々だったな。
特に20代の頃は周りの人に
育てて貰ってたんだなと
今更ながら思っている。
自分がいなくなっても、
それまで暮らした場所は
ずっとそこにあり続けると思っていたから
雨がたくさん降って
壊されてしまうことがあるなんて
考えもしなかった。
大変な思いをされた方々に
大切な人とおいしいものを
笑顔で食べられる日々が、
早く戻ってくることを
祈っています。
無力だけど、離れているから
何もできないと諦めず、
日常が続く幸せを忘れずに
できることをしていきたい。