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The Weekend Traveler

伊江島タッチューぐすく山

2023.03.27 13:58

行きたいなーと思い続けて早2年。遂に沖縄の伊江島に上陸する時がやってきた。

伊江島は沖縄北部の本部港からフェリーで向かう本島から遠すぎず近すぎない離島。


今回は噂の沖縄レンタカー枯渇問題にぶち当たり全部公共交通機関の旅。本部までもなんちゃらライナーみたいな高速バスで向かう。

案外混んでもないくて快適。

さて、このかっこよいお姿が伊江島行きの船。船の舳先って堂々としてていつもかっこいい。

早目に着いたのでフェリー乗り場の売店をぶらつく。乗り場の売店には船旅のわくわくを高めてくれるアイテムが勢揃い。

沖縄のお弁当って色々がびーっしり入っていて上からぎゅーっと蓋がされてて、世の映え弁とは真逆を行く揚げ物と炒め物のオンパレードなんだけど、なぜか見てるだけで元気が出る。

乗船前に見つけたポスター。

そのノリでいいのか、沖縄県警。

さて、通行手形ばりのデカい切符を持って船に乗り込む。乗船日は自分で書き込むタイプ。色んなアリバイに使えそう。

船は新しくて中の売店も充実してるしキレイだし、申し分なし。揺れを抑える仕様になってるらしく、滅多に欠航しないそう。

途中、他の離島を横目に見ながら悠々進む。

沖縄本島からは橋で繋がる離島も最近ちょこちょこあるみたい。

甲板で日頃浴び損なっている陽の光やら吹き飛ばされそうな風やらを楽しんでたら、遂に見えて来た!

これが伊江島。

これが通称タッチューこと城山か!


沖縄の人々に「伊江島」というワードを渡すと必ずと言っていいほど「タッチュー」と返って来る。ナウシカで言う「風」「谷」の合言葉、もしくはやまびこに近いと言ってもいい。


その山が真近に迫って来る。いよいよやって来たな。

はてさて何で伊江島に来たかったかと言うとタッチューのためではない。


面白い器の作家さんが宿をやられていて、それがとても素敵そうだったので泊まってみたかったのだ。


その宿はCasa Viento。

風の家と名付けるほどに山の麓に一軒だけのゲストハウス。

なんと手作りの家!

親の代から作り始めて拡張しながら宿までできちゃったそう。

隣には登窯もある。

センス抜群の赤毛のアンの部屋みたいな可愛いお部屋が今日の宿。

この小粋な花は生花、花瓶はここの窯でできたもの。どちらも土から生まれたもの。

風よけくらいにしかならないだろうが、ひたすらファンタジックでかわいい壁。


こういう、必要不可欠ではないけど人間から溢れるあたたかさみたいなアートに出会うと優しいきもちになれる。

宿からのタッチュー。ラピュタの要塞みたいにも見える。

周りにはほとんど建物がなくて、今の法律だとこの土地に家は建てられなかったからラッキーだったと宿の主に聞く。やりたい事をやれる時がやり時ってことね。

宿以外特に目的なく来てしまった40過ぎのアン2人、散歩がてらにタッチューに登りに行く。

タッチューの本名はぐすくやま、と読む。

タッチューのタッちゅんはピーナッツとか鉄砲百合とか伊江島の特産品を一身に纏った忙しいキャラクター。色々背負ってるのね、タッちゅん。

山の麓までは車で行ける。


が、車なし女たちはひたすら修行みたいな階段を登ってここまで辿り着く。

さてここから身一つしか通れないほっそくて急な階段をひたすら登って頂上を目指す。


宿の金城さん曰く、小学生まで階段がなかったので山肌にへばりついて登っていたそう。

ひぇえ。

何がそこまでさせるのか、タッチューよ。

中腹からの眺め。

来る時に見慣れない畑があって聞くと葉タバコだそう。タバコとピーナッツ畑が広がる眼下。

岩を飲み込む木の根。

木の根にのまれる岩。どっちだ。

どっちにしても伊江島の自然はたくましい。

そして遂に頂上へ!


15分くらいで登頂。

時間の長さに対してボディには高負荷をかけてくる城山登山。

沖縄の小学生も逞しいね。


ずっとどん曇りだったけど、なんとなく晴れ間も出て登頂した満足感に包まれる。

頂から見下ろす覇者感。


ホリデー仕様のぺらぺらご機嫌ズボンとスニーカーで登り切った覇王その一。

同じく山登りには邪魔そうなものばかり装備した覇王そのニ。

山登りと言うには短時間すぎるけど、この島を知るには絶対体験なタッチュー登頂。いきなり登ったけど、よくやったよ、いい年した女たち。



伊江島は戦時中に日本軍が滑走路を作ったが故に離島では珍しくアメリカに上陸されて地上戦になった悲しい歴史もあって、今でも一部は米軍エリアが残る。


海底火山の活動で誕生したタッチューはそんな人間の歴史と澄んだ伊江島の海をずっとずっと見てきたんだろう。

宿には金城さん親子がニ世代で手作りしたあたたかい空間がある。

フェリー乗り場で買ったタームパイとスーパーのインスタントコーヒーも、自由で丈夫な沖縄のやちむんでいただくと豊かさが増す。

沖縄の離島の中でも個性的な地形と地質と歴史をもつ伊江島。

風と土とタッチューと生きる穏やかな世界から、もう何も搾取される事がありませんように、と切に願う旅の終わり。


島は深いな。