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SUZUKI GS1000 1978

2018.05.18 09:53

SUZUKI GS1000 1978y

(リード)

スズキ初のリッター・モデルがこのGS1000。GS750と同じく、リッター・クラスにあっても乾燥重量で234kgと言う最軽量の仕上がりをみせた。特に、驚くべきはパワーユニットの軽量化で、エンジン単体ではGS750との比較でも2kg減の77.1kgに仕上げている。これは、当時のスーパーバイク・レースに対応させるための意図があった為とも思える。

(本文)

 このパワーユニットの潜在能力を誰よりも速く見抜いたのは、彼の「ゴッド・ハンド」の異名をとるポップ・吉村氏であった。それまで、カワサキのZエンジンに心酔していた名チューナーが心を動かしたのであるなら、正しく本物の確かな手応えを感じたのだろう。

 構造的にはZ1に似たものではあった。が、クランクまわりやその形状に関心を示したと言う。1978年、ディトナ200マイル・スーパーバイク・プロダクションレースにGS1000で挑戦した「ヨシムラR&D」は、Z時代からのライダー、ウエス・クーリーのライディングで見事優勝を勝ち取ったのである。当時AMAのスーパーバイクのカテゴリーに居たライバルは、ホンダCB900改に乗るフレディー・スペンサー、カワサキZにはエディー・ローソンという蒼々たるメンバーだった。GS1000は、その後1981年までデイトナでの4連勝を成し遂げ、名実ともに認められた名車となって後々まで語られるようになった。

 パワーユニットに関しては、レーシング・ポテンシャルを十分に考慮しての設計がなされたGS1000だった。が、スタイリングは、その軽量感を生かしきれたものとは言い難かった。未だ、レーサー・レプリカなる何物も現されては居なかった頃ではあった。が、販売上でユーザーの印象に訴えを残すだけのものにはならなかった。

 GS1000の秀でた走行性能を味わう度に残念に思った部分でもある。ヨーロピアンのビック・バイクにある軽快なスポーツ性とは逆に、ツアラーとしての位置付けを重んじたのだろう。が、当時のMVアグスタ750Sや、DUCATI900スーパースポーツに魅せられたベテランのユーザー達には、歯がゆさもひとしおだった。最高速度240km/hオーバー、ゼロヨン11秒4と言う実力を、重厚なスタイリングに覆ってしまったGS1000は、オーナーとなった者以外には、そのポテンシャルを示そうとはしなかった。

 フレームは基本設計をGS750ベースとし、パイプ径と肉厚をアップ、ステアリング・ヘッドを強化、ダウンチューブにはバイパスを加える等、強靱な車体を作り出している。フロント・フォークは、パイプ径を国産車中最大の37mmφとし、カヤバ製のエア・アシスト式を採用。リアは、マルチ・アジャスタブルのショックアブソーバーで武装している。強化された車体に比べ、ソフトな設定に思えるサスペンションだが、セッティングの許容量は深く、どんな好みにもアジャストできるものだ。 

 ハンドリングは、どちらかと言えばオーバーステア気味で軽快感は無く重い印象をしめす。が、コーナーリングへのきっかけの倒し込みは容易に行える。コーナーリング中もアンダーステア傾向が現されにくく、終始安定した方向性を保ってくれる。かなり思い切った突っ込みに対しても、与えられたバンク角の範囲であればOK。トリプル・ディスクのブレーキは、制動力に関しては問題も無い。が、フロントのタッチは少々重く、リアはやや踏み力を要すると言った印象だ。

 キャブレターは、ミクニ製のVM26SSの4連装。ホンダCBXのケイヒン製CV28の6連装に比べてもアクセル・グリップに重さを感じるのは、欠点とも思えた。又、ライバル車の中にあって825mmの最長のシート高も、輸出専用車とは言え気になった部分でもある。カワサキZ1RやZ1300、ホンダCBX、GL1000といったライバル・モデルの中にあって、GS1 000は決して個性を際だたせたモデルではなかった。印象に強く残るのは、1979年にプレゼントされた「ウエス・クーリー・モデル」だ。ワークス・カラーの鮮やかなブルー&ホワイトに塗られ、ビキニ・カウルを装着した姿に、初めてこのモデルの持つパフォーマンスに気づかされた者もいたのではないだろうか。

 翌年の1980年に最終モデルを生み出し、GS1000Gのシャフト・ドライブへとシリーズを転換していったスズキにとって、次世代の最強・最速のマシンへの挑戦は、1980年のGSX1100EのDOHC16バルブTSCCエンジンに引き継がれていった。


GS1100G/GS1100GL 1982y

 ユーザーの関心がGSX1100E(1980y)へと移行した後も、2バルブ系の4気筒は併売されていた。しかも、スズキは開発の手を緩めることなくこの年、1、074ccまで排気量をスープアップしたGS1100Gをリリース。車名の最後に「G」が付くネーミングからもお分かりの通り、シャフトドライブ駆動を採用したツアラー指向のモデルに仕上がっているのが特徴。フレームなどの基本構成は、従来のGS1000Gから変わらないものの、タンクやサイドカバー形状を一新。よく見るとキャストホイールのデザインも新しくなっていることがわかる。重厚な雰囲気はそのままに、乾燥重量で8kgの軽量化を果たしている点も見逃せない。このGS1100GをベースにしたアメリカンモデルがGS1100GLで、こちらも従来モデルのGS100 0GLから9kgの軽量化が図られ、より本格的なアメリカンスタイルに生まれ変わっている。(20W×19L)


GS1100GK 1982y

  2バルブ系4気筒のGS1100Gをベースに作られたグランドツアラー。当時のライバル3車(ホンダGL1200A、ヤマハXVZ12TD、カワサキZ1300VOYAGER)に較べると、ややゴージャスさに欠けはするものの、ツアラーとしての快適性能はこれでも十分。装備がシンプルな分、価格も手頃で取っつきやすく、しかも、乾燥重量が300kgを切っているので、この手のツアラーにしては取り回しも比較的ラク。大型のフェアリングはウインドプロテクション効果を十分に考慮して開発。サドルバッグ&リアトランクも、タンデムでのロングクルージングにも備えて容量もたっぷりと確保。ダンパー調整機構付きのエア式リアサスペンションをはじめ、オートキャンセルウインカーや転倒に備えたガード類も装備されるなど、使い勝手の良さでも、ライバルに引けを取らない仕上がりだ。