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SUZUKI GSX1100E 1980

2018.05.19 09:11

SUZUKI GSX1100E 1980y

(リード)

スズキ初の空冷4サイクル4気筒・GS750(1976y)の発売からわずか1年、スズキはすでにDOHC4バルブのエンジン開発に着手していた。GS750はもとより、デビューして間もないGS 1000(1978y)の市場での人気は依然として高く、2バルブ系のエンジンでもまだ充分にいける頃だった。が、MC界最大のマーケット、米国カリフォルニア州の排ガス規制が目前に迫っていたのである。

(本文)

  ‘78年、’80年、・・・と段階的ではあるが、確実にその厳しさを増してくるであろう、規制基準をクリアするための次のなるパワーユニット。その答がDOHC 4バルブエンジンだったのだ。燃焼効率を高めて、可能な限り完全燃焼を目指す。しかし、やみくもにバルブ数を増やして吸入効率を上げても燃焼効率は向上しない。20種類近い試作燃焼室を作っては壊し、開発されたのが、スズキ独自の新燃焼室を採用するTSCC(2渦流燃焼室)エンジンだった。

 シリンダーヘッドに2つのドームと2箇所のスキッシュエリアを持たせることで、強力な渦を発生させるTSCCエンジンは、750cc/800ccによるベンチテストが繰り返され、出力特性・燃費・排ガス・騒音とどれをとっても素晴らしい性能を発揮することを確認。同年9月には、GSX1000のプロトタイプが完成し、細部の熟成を図る段階に入る。が、ヤマハからXS1100が発表されたこともあり、ボア×ストロークを拡大した1100ccの開発へとスイッチ。こうした経緯を経て、’80年に発売されたGSX1100Eは、求められた課題をすべてクリアしていたばかりか、世界で最も加速性能のすぐれた「速いマシン」として、国内外のMC界から絶賛されたのである。

 GS1000の丸みを帯びたフォルムから一転して、直線を基調としたスタイルを採り入れているのもGSXの特徴で、そのデザインの延長からか、メーターパネル一体型の角型ヘッドライトを採用して、個性を際立たせている。もっとも、このデザインには賛否両論があったのも事実だが・・・。タンク幅が横に広いため、跨った時に受ける印象は写真で見る以上に迫力を感じる。

 メーターパネルには、燃料計をはじめ、4輪車並みのチェックモニターを装備するなど、ステータス性にも拘りを見せる。足まわりで特徴的なのは、オフセットされたフロントフォークだ。ストローク量を稼ぐことで乗り心地へも配慮したものだが、その分、スポーティな乗り味が若干だがスポイルされてしまっているのは残念だ。と言っても、パワーにものを言わせ、マシンを強引にねじ伏せてコーナーを立ち上がっていくような走りだってできなくはない。もちろん、それ相応の技量と勇気があればの話だが・・・。GSX750E(1980y)にも同様の処置が施されているので、オフセットされたフロントフォークが、強烈なパワーに対処しただけのものではないことが分かる。

 750Eに採用されたアンチノーズダイブ機構は無く、そのかわりに、ダンピング調整機構を前後サスに備えることで、優れた操縦安定性を確保している。また、750Eとの大きな違いは、スイングアームに軽量高剛性のアルミボックスタイプを採用していることで、このあたりの違いはさすがイレブンの風格である。スーパースポーツモデルではあるけれど、どちらかというと、直進安定性を重視したビッグバイク。重装備のタンデムランでも、余裕の追い越し加速とレスポンスを発揮するパワーユニット。国境を越えるロングツーリングなどがよく似合う高速ツアラーとして、人気を集めたモデルだ。


GSX1100E/ES 1983y 

 GSX1100E(1980y)の後継モデルとして登場。パワーユニットはGSX1100Sカタナと共通の4バルブエンジンを搭載。凄みのあるブラックフィニッシュ仕上げもカタナと同様で、最高出力は111ps/8、500rpmを発生する。マフラーはシルバーのままだが、ショートエンドのメガホンタイプを装着して、唸るようなエキゾーストノートを奏でる。フレームの基本骨格をはじめ、フューエルタンクからサイドカバーにけてのライン、テールエンドのデザイン処理など、全体のフォルムもカタナのイメージを踏襲。1100ESには、より実用性の高いハーフカウルを採用しており、カタナのツアラー版といった印象も受ける。リラックスして乗れるライディングポジションや高速での快適性、パワフルなエンジンなど、どれを取っても申し分のない内容で、海外でも高い支持を集めた。


GSX1100EF/ES/E 1984y 

 GSX1100E(1983y)のパワーユニットを1135ccまでスープアップして、新設計の角型断面スチールフレームに搭載。最高出力も3psアップの114ps/8、700rpmまで高めらた、シリーズ最高峰のモンスターツアラーだ。立ち気味のカウリングやタンクに設けられたラバーなどは、一見無骨とも思えるが、これらはヨーロッパ大陸を縦横無尽に、かつ快適に走るためのもの。スタイリングよりもライダーの疲労軽減を優先するとこうなった、といった印象だ。実際カウリングのウインドプロテクション効果は絶大だし、恐ろしくデカイ丸型ヘッドライトは、どんなミッドナイトランでもライダーに不安を与えることなく、快適かつ安全な旅を約束する。リアにはフルフローターサスを新採用。バリエーションモデルとして、ノンカウルの1100E、ハーフカウルのESをラインナップする。(20W×18L)

GSX1100EF/ES/E 1985yデビュー2年目は、カラーリングの変更とエンジンセッティングの見直しにより、スペックにさらに磨きをかけての登場。総排気量1、135cc・4バルブ4気筒のパワーユニットは、空冷ながら124ps/8、500rpmの最高出力を発生する。大型の丸目ヘッドライトを装備するロケットカウルは、好みのハッキリするデザインだが、有無をも言わせぬ存在感という点では誰も認めるところだし、高速ツアラーとしての性能も文句なくトップレベル。トルク重視型のエンジンは、ゆったりとジェントルな走りから、強烈な加速をともなう高速走行までフレキシブルに対応。幅広いタンデムシートは十分な厚みが与えられており、頑丈で大型のグラブバーやエアロダイナミズムを極めた大型カウリングと相まって、驚くほど快適なタンデムランを約束する。