スタンフォードのストレスを力に変える教科書〜byケリーマクゴニガル
本書はいわゆる「在り方」や「考え方」がテーマであり、ストレスに対するマインドセットを変えるきっかけになる内容となっています。
また、私自身、カスタマーサポートという仕事柄、ストレス環境にさらされる機会が多いため、とても興味深く拝読しました。
ストレスの考え方
よく、「ストレスが溜まる!」や「ストレスの発散方法は?」といった言葉や会話を耳にします。
今まで、深く考えたこともなく、「通勤の電車が混んでいてストレスが溜まるんだよねー」とか、「休みの日にランニングしてストレスを発散していますー」なんて返答をしていました。
「ストレス」というもの自体には実態はなく、誰の目にも見えません。
「ストレスを感じる」というくらいだから、やはり脳や体の中でなにか変化が起きているのだというくらいに考えていました。
では、ストレスとは一体なにか。
本書では、ストレスを「自分にとって大切なものが脅かされた時に生じるもの」として定義しています。
ストレス反応のメカニズム
そのメカニズムとしては、2つのストレスホルモンの影響が挙げられます。
一つはコルチゾール、もう一つはデヒドロエピアンドロス(DHEA)というホルモンで、両者はストレスを感じた時に副腎から分泌されるものです。
それぞれ異なる働きがあり、たとえばコルチゾールは糖代謝や脂質代謝を助け、体と脳がエネルギーを使いやすい状態にします。
また、消化や生殖や成長など、ストレス時にはあまり重要でない生物的機能を抑える働きがあります。
一方、DHEAは神経ステロイドのひとつで、脳の成長を助ける男性ホルモン。
ストレスの経験を通じて脳が成長するのを助け、コルチゾールの作用を抑制し、創傷の治癒を早め、免疫機能を高めるなどの働きがあります。
これらのホルモンは、どちらも体に必要なホルモンであり、それ自体は良くも悪くもありません。
どちらが多いかによって、長期的なストレスの場合、とくに慢性的なストレスの場合には影響が出てくると言われています。
コルチゾールの割合が高くなると、免疫機能の低下やうつ病などの症状が表れる可能性があり、DHEAの悪いが高くなると、不安症、うつ病、心臓病、神経変性などストレスに関連するさまざまな病気のリスクが低下する傾向が見られます。
つまり、ストレス反応時に、DHAEの割合が高ければ高いほど、「ストレスに負けずにがんばれる!」といった具合です。
ストレスには役に立つ点もあると考えること
一般的に、「ストレスは悪」という固定観念(マインドセット)が多くの人々に存在しており、それを「発散しよう」とか「ストレスをなるべく受けないようにしよう」という考えの基、行動を取る人が多いのではないでしょうか。
私自身もどちらかというと、これに当てはまります。
しかし、実際には、ストレスは健康に悪いと思い込んでいたせいで、寿命よりも早く亡くなった人の数は皮膚ガンや、エイズ、殺人による死亡者数をも上回り、全米の死因トップ15位に相当するといった研究結果も出ており、今までの考え方が覆されているのです。
ストレスを感じてもなるべくポジティブな考え方をするための3ステップ
とはいえ、今までのマインドセットを変えることはそう簡単ではありません。
いざ、大きなストレスに直面した時に、悠長なことを言ってられるのかという疑念もあります。
そこで、下記3つのステップを実践することでマインドセットを変えることができると言います。
ステップ1:ストレスを感じたら、まずそれを認識する。受け止め、体にどんな反応が表れているかに注意する。
ステップ2:、ストレス反応が起きたのは、自分にとって大切なものが脅かされているせいだと認識し、ストレスを受け入れる。脅かされているものはなにか、なぜそれは自分にとって大切なのか考える。
ステップ3:ストレスを感じた時に生じる力を、ストレスを管理しようとして無駄にせず、利用する。目標や価値観にあったことにエネルギーを使うにはどうすればよいか、考えてみる。
ストレス反応の種類と効果
ストレス反応はチャレンジ反応と脅威反応とに分けられ、プレッシャーに対処できる自信を持てるかどうかによって反応が分かれます。
自分の手に負えないと考えれば、脅威反応、自分の力で対処できると思えばチャレンジ反応が起こる。
このチャレンジ反応が上手く作用することで、「困難にうまく対処する」、「人とのつながりを強める」、「学び成長する」という大きく3つの効果が得られるのです。
このチャレンジ反応を起こすためには、「自分の強みを認識すること」がもっとも効果的であり、練習の積み重ねや事前準備、これまでの経験を考えたり、大切な人を思ったりすることが重要となる。
ベネフィットファインディングという考え方
とはいえ、なんでもかんでも楽天的に悪いことを全てよいことだと考えるということではなく、「逆境の中にもよい点や得るものがある」と考えることが大切です。
困難に対処していくうちに、よい点に気づく能力が役に立ち、大きなストレスを経験して、悪い影響を受けた時こそが最大の効果を発揮するのだ。
「ストレスは害になるが、ならない場合もある」というマインドセットが大きなストレスを受けた時にチャレンジ反応を起こし、レジリエンス(精神的回復)を促すトリガーとなるのです。
まとめ
本書を通じて、ストレスの考え方次第で健康や寿命、幸福感、人生に対する満足感が左右されることがわかりました。
ストレスには悪い面だけでなく、良い面があることを認識して、「ストレスは役に立つ」と考えると体の反応が変わり、力や自信が湧いてくること。
これは、私自信、本書を読み進めると同時に、リアルタイムで転職活動の面接時に実践したマインドセットです。
上記によって、ストレスの正しい受け止め方と行動の仕方が変わり、レジリエンスが強化されることを知ることがストレスマネジメントを行う上で、とても重要であることを学びました。
あとは、実践と経験によって、高いレジリエンスを身に付けたいと思います。
仕事やプライベートなどで「ストレスを感じてやだなー」という方、ぜひ一度読んでみてはいかがでしょうか。