Ameba Ownd

アプリで簡単、無料ホームページ作成

SUZUKI GSX1100S KATANA 1981

2018.05.20 06:14

SUZUKI GSX1100S KATANA 1981y

(リード)

バイクの性能はいいけれど、デザインがどうにも野暮ったくて…。70年代までのスズキにはこんな評価がまとわりついていた。もちろん、そんな質実剛健たるスズキのイメージに好意を持つライダーは多かったが、やはりバイクはカッコいいに越したことはない。


(本文)

 スズキデザインの急激な進化は、まずGSシリーズによって現われた。伸びやかでスマート、それでいて速さも力強さも十分に感じられるGSシリーズのスタイリングは大きな拍手をもって迎えられ、スズキファンを大きく増やすことに成功した。そして1980年、ケルンショーの会場に、いままで抑えていたデザインへのこだわりが一挙に爆発したかのような、センセーショナルきわまりないバイクが姿を見せる。

 ドイツ人デザイナー、ハンス・ムートの手によるシャープで独創的なフォルムは、見る者の言葉を失わせるほどの迫力と緊張感に満ちあふれていた。単なるショーモデル用のデザインで、実際には発売されないのではないか、などという噂もたったほどのバイク、言わずと知れた名車、GSX1100S「カタナ」の誕生である。

 翌1981年、いよいよ市販モデルがリリース。ショーモデルに比べると、マフラーが左右2本出しに変更されていたり、シートまわりやメーター類がリファインされていたりはしたものの、その強烈なイメージはショーモデルからいささかも衰えていなかった。

 当然ながらカタナは全世界で爆発的な人気を欲しいままにし、オーバーナナハンの販売が規制されていた日本にも逆輸入という手段で多くのカタナが上陸、大評判となった。デザインばかりでなく、メカニズムにも最新の技術が注ぎ込まれていたのがカタナだ。

 基本的には、前年に登場しているGSX1100Eのメカニズムをそのまま流用してはいるが、各部のセッティングはしっかり進化を見せていた。エンジンは4バルブヘッドを持つTSCCタイプで、モリモリしたトルクと豪快な回転フィーリングが身上。以来、スズキのバイクはトルクフルな中低速と豪快な加速力が特徴の、やや低回転型ながらピークパワーもしっかり出すセッティング、という方向性が中心になっていく。

 最高出力111ps、最大トルク9.8 kg-mというカタログスペック以上に、エンジンの力強い手ごたえは強力で、文句なしの速さと目の覚めるようなダッシュを楽しませてくれた。対するフレームや足まわりはオーソドックスな仕上り。アンチノーズダイブ機構は装備されていたものの、フロント19インチ/リア17インチのホイールや長めのホイールベース、直進安定性を重視したビッグバイクらしいセッティングだ。そのためやや立ちが強く、バンク角のわりに曲っていかないような感覚のハンドリングこそ古典的と言えようが、そのぶん乗りこなす楽しみも大きかった。

 デザインの過激さに似合わずツーリングランへの適性もそこそこ確保されており、強前傾のライディングポジションさえ我慢すれば、思いのほかオールラウンドに活躍してもらえるバイクだった。その後の1100カタナは、カラーリングの変更やホイールなど各部の熟成が行なわれながら生産が続けられたが、世界的なレプリカブームの中、7年に及んだその輝かしい歴史にもピリオドが打たれ、惜しまれながら1987年に生産が中止されている。


GSX1100S KATANA 1990y

 生産がストップしたことで、一躍プレミアムバイクのリストに名を連ねることとなった1100カタナ。当然のように、中古市場の相場は高騰し、それでもカタナの魅力にとりつかれたユーザーは後を絶たなかった。この衰えを知らぬカタナ人気に応えるかのように、3年間のブランクを経て、初代モデルの完全復刻版として再販されたのが、スズキの創立70周年を記念して登場した’90年のアニバーサリーモデルだ。基本設計やデザインはまったく従来モデルのままだが、サスセッティングなど操作性を現代的に改良。1000台の限定生産だったこともあり、このモデルはまたたくまに完売となってしまい、時代を超えて新鮮さを失わないカタナの魅力を改めて知らしめることになった。輸出専用ではたったが、国内にもかなりの台数が逆輸入されている。


GSX1100S KATANA 1993y

 国内のオーバーナナハン販売解禁と歩調を合わせるようにカタログモデルとして復活、遂に国内販売されることになったカタナ。’90年に限定販売された完全復刻版との違いは、“パワーアシストクラッチ”が与えられていること。これは、大排気量車につきまとうクラッチレバーの重さを軽減する頼もしいシステムだ。クラッチレリーズブースターの補助によって、自然なフィーリングを損なうことなく、レバー操作力を30~40%も軽減する、いかにも現代風の最新メカである。おかげで、市街地走行や渋滞も苦にならない快適なフィーリングを実現。リザーバータンク別体式のリアサスペンションも標準装備となり、走りの質感が向上している点も見逃せない。


主要スペック

エンジン種類 :空冷4ストロークDOHC4バルブ並列4気筒

最高出力(kW/rpm) :111ps/8500rpm

最大トルク(N・m/rpm) :9.8kg-m/6500rpm

ボア(mm):72

ストローク(mm):66

圧縮比(:1): 9.5

変速機形式 常時噛合式5段リターン

全長(mm):2260

全幅(mm) :715

全高(mm):1205

シート高(mm):775

乾燥重量(kg) 232

サスペンション形式(前):テレスコピック式

サスペンション形式(後):スイングアーム式

燃料タンク容量(L) 22

タイヤサイズ(前) 3.50-19V

タイヤサイズ(後) 4.50-17V