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DEEP☆KICK 30 結果

2016.07.17 04:30

DEEP☆KICK 30
~7周年 30回記念大会~

2016年7月17日(日)

大阪市・旭区民センター大ホール

OPEN 13:00/START 13:30


(レポート:スポーツライター 布施鋼治)


人と大会に歴史あり。

関西を拠点に活動するDEEP☆KICKが設立7周年を迎え、7月17日大阪市立旭区民センター大ホールで30回記念大会を開いた。

旗揚げ第1戦は2009年7月5日、Zepp大阪で長島☆自演乙☆雄一郎プロデュースという形で行なわれている。メインは乙のプロデュースらしく、コスプレ姿の実力派のタイ人がマット%自演乙%魁塾として登場するなど、”格闘技界のオモチャ箱”といわれるDEEPから派生したキックプロモーションらしい演出が目立っていた。

注目すべきはメインだけではなく前座だろう。この日の第2試合(TOP☆RUN)には7年後の記念大会ではメインイベンターとなる山口侑馬が登場し、NEXT☆LEVEL TOP☆RUN55㎏級以下王者決定戦を制している。当時の侑馬は弱冠14歳の中学生だった。

その他にも現在シニアの王者として活躍中の選手が第1回大会に多数出場している。WBCムエタイ日本統一スーパーウェルター級王者の白神武央(拳之会)、HEATライト級王者の皇治(SFK)、J-NETWORKスーパーフェザー級王者として活躍したfire仭士(SFK)など、DEEP☆KICKから羽ばたいた選手は枚挙にいとまがない。

もちろん30回も続けていれば、離れる人もいた。Uターンして戻ってくる人もいた。赤字になった大会も一度や二度でないが、継続は力なり。苦労してでもコンスタントに興行を打つことで、関西のキックボクシング界では大きなウエートを占めるプロモーションに成長したといっていいだろう。

今回は記念大会ということで、DEEP☆KICKの4大王者揃い踏みというマッチメークが組まれた。さらに時間をかけてプロモーション活動に励んだおかげで、会場は1000名(主催者発表)という超満員の観客で埋めつくされた。際立った活躍を見せてくれたのは山口道場に所属する裕人&侑馬の山口兄弟と鈴木真彦という3名のDEEP☆KICK王者だった。

メインイベント2でDEEP☆KICK60㎏級王座の防衛戦に臨んだ侑馬は上杉文博(究道会館)を3-0の判定で下して初防衛に成功した。上杉とは3度目の対戦。過去2戦2勝(1KO)と分は良かったが、試合開始早々攻勢に出たのは雪辱を誓う挑戦者の方だった。右フックを浴びた侑馬が一瞬効いた素振りを見せたほどだ。しかしながら1R中盤以降、侑馬は得意の左ボディ打ちで反撃を開始し、試合の流れを引き戻す。

続く2Rになると、侑馬はエンジンを全開。執拗なボディ攻撃で上杉を窮地に追い込む。2分過ぎになると、上杉は自らの腕で山口の左ボディフックをガードしていたほどだった。こうなると、試合は完全に侑馬のペース。観客席からの「いてもうたれ」という声援を背に、侑馬の攻撃はさらに加速する。上杉も3R2分過ぎからは相手と額を合わせて打ち合うという見せ場を作ったが、時すでに遅し。結局、三者とも30-28のスコアで初防衛に成功した侑馬は「この間兄がRIZINに出て言葉で表せないほどの迫力を感じました。結果は全然あかんかったけど、ふたりで再びRIZINに戻ってこようと心に誓いました」と締めくくった。


▼メインイベント2 DEEP☆KICK60kg級タイトルマッチ 3分3R

○ 山口侑馬(山口道場/王者)

× 上杉文博(究道会館/1位)

判定3-0(30-28、30-28、30-28)


最終試合となるメイン2では3歳下の弟のサポート役に徹していた裕人はメインイベント1に登場し、キム・ファテ(韓国)と対戦した。試合開始早々、キムがいきなり突っ込んでくると、セコンドは「ガードを上げろ」と警戒心を強めたが、裕人は冷静だった。キムの動きを見極めると、ボディフック一閃。この一発でキムは苦悶の表情を浮かべながら前のめりに倒れ込んだ。なんとか立ち上がったキムだったが、再びボディフックの連打されると悶絶した。1R1分10秒、裕人の鮮やかな秒殺KO勝ちだ。

マイクを握った裕人は「ど~ですか。面白いでしょう? 俺の試合。僕もDEEP☆KICKで育ちました(中略)。今日はメインを侑馬にとられたけど、まあ一瞬で終わると思うけどね」と防衛戦に臨む弟をフォローすることも忘れなかった。


▼メインイベント1 63g契約 3分3R

◎ 山口裕人(山口道場/63k級王者)

× キム・ファテ(韓国)

TKO 1R 1分10秒


好調ぶりを見せつけた山口道場勢とは対照的に元気がなかったのはDEEP☆KICK65㎏級王者の憂也(魁塾)。

セミファイナル2でDEEP☆KICK初登場となるRISEスーパーライト級3位のHideki(team groria)と対戦したが、うまさで相手の強打をかわし切ることができず、2-1の判定で判定負けを喫した。試合後、HidekiはRISEの王座奪取を宣言した。

▼セミファイナル2 65kg契約 3分3R

× 憂也(魁塾/65k級王者)

○ Hideki(team groria)

判定1-2(30-29、29-30、29-30)


山口兄弟に勝るとも劣らぬインパクトを見せつけたのは、彼らと同門でセミファイナル1に登場したDEEP☆KICK55㎏級王者の鈴木真彦だった。対戦相手は4月3日のREBELSで工藤政英(新宿レフティージム)が保持するREBELS55㎏級王座に挑戦したばかりの宮﨑就斗(TARGET)だったが、去る6月5日にはINNOVATIONバンタム級王座を奪取するなど勢いに乗る鈴木の敵ではなかった。

1Rが始まると、強いプレスをかけて試合の主導権を握る。対照的に宮﨑の方はなかなか攻撃のタイミングが合わない。ようやく左ミドルキックをスマッシュヒットさせ、タイミングが合ってきたと思った刹那、鈴木は逆に右ストレートを浴びせ、宮﨑の動きを一瞬止める。続けて左の飛びヒザ蹴りをアゴに打ち込むと、宮﨑はキャンバスに倒れ込んだ。レフェリーのカウントが進む中なんとか立ち上がった宮﨑が、足元がフラついていたためレフェリーは試合を止めた。1R2分8秒、鈴木のKO勝ちだ。これで昨年12月以来4連勝をマークした鈴木は「もっと強い相手と闘いたい」とさらなる飛躍を誓っていた。

▼セミファイナル1 55kg契約 3分3R

◎ 鈴木真彦(山口道場/55k級王者)

× 宮崎就斗(TARGET)

TKO 1R 2分08秒


DEEP☆KICKでプロデビューを果たしたという木内祐太(風吹ジム)はこの日DEEP☆KICKで憂愁の美を飾り、引退の10カウントを鳴らした。木内のような選手が出てきたことも30回も大会を続けてきた成果だろう。

▼第14試合 56kg契約 3分3R

○ 木内祐太(風吹ジム)

× 虎之助(NJKF・誠輪ジム)

判定2-1(30-29、29-30、30-29)

▼木内祐太引退セレモニー


その他、目立っていたのは今大会からスタートしたDEEP☆KICK53㎏級初代王座決定トーナメントだろう。今回は1回戦4試合が行なわれたが、いずれも激闘となり、会場を盛り上げていた。

右のブロックを勝ち上がってきたのは鷹介(Warrlor Osaka)から逆転KO勝ちを収めた一樹(PLACE-K)と市村大斗(多田ジム)破った松岡宏宣(闘神塾)。決勝も準決勝と同じ日に争われるが、関西の53㎏級のレベルの高さをまざまざと見せつけた一回戦だった。


▼第13試合 53kg級初代王座決定トーナメント1回戦 3分3R(延長1R)

○ 松岡宏宜(闘神塾)

× 市村大斗(多田ジム)

判定3-0(30-29、30-28、30-27)

※松岡がが準決勝進出


▼第12試合 53kg級初代王座決定トーナメント1回戦 3分3R(延長1R)

× 鷹介(Warrior Osaka)

◎ 一樹(PLACE-K)

TKO 2R 1分46秒

※一樹が準決勝進出


中でも一番大きなインパクトを残した玖村将史(NJKF・K3B)、黒田勇斗(隆拳塾)からパンチで立て続けにダウンを奪ってKO勝ちを収めた。11月3日、東成区民センター大ホールで行なわれる準決勝は政所仁(魁塾)を破った多根嘉帆(直心会)と争う。


▼第11試合 53kg級初代王座決定トーナメント1回戦 3分3R(延長1R)

× 黒田勇斗(隆拳塾)

◎ 玖村将史(NJKF・K3B)

TKO 1R 2分52秒

※玖村が準決勝進出


▼第10試合 53kg級初代王座決定トーナメント1回戦 3分3R(延長1R)

× 政所 仁(魁塾)

○ 多根嘉帆(直心会)

判定0-3(28-30、28-30、27-30)

※多根が準決勝進出


〈53kg級初代王座決定トーナメント準決勝組合せ決定〉

多根嘉帆(直心会)VS 玖村将史(NJKF・K3B)

一樹(PLACE-K)VS 松岡宏宜(闘神塾)


▼第9試合 60kg契約 3分3R

◎ 足利也真登(Fight Club Rush)

× 祐毅(Team Free Style)

KO 2R 1分57秒


▼第8試合 70kg契約 3分3R

○ ATSUKI(SFK)

× 村木大樹(和田会館)

判定3-0(30-28、30-27、30-26)


▼第7試合 59kg契約 3分3R

× 拳剛(誠剛館)

◎ 中神吉彦(SB・ストライキングジムAres)

TKO 3R 2分26秒


▼第6試合 64kg契約 3分3R

◎ 西岡蓮太(SB・龍生塾)

× 吉田 敢(ゴールデングローブ)

TKO 2R 0分33秒


▼第5試合 61kg契約 2分3R

× 米沢知佐(TeamFreeStyle)

○ 溝口孝湖(WATANABEGYM)

判定0-3(27-30、27-30、27-30)


▼第4試合 60kg契約 3分3R

× 林 眞平(魁塾)

○ 北川祐紀(SB・ストライキングジムAres)

判定0-3(27-30、27-30、28-30)


▼第3試合 85㎏契約 3分3R

× ファビアノ(FabulousGym)

○ 岡崎章太(D.O.T)

判定0-3(27-30、27-30、26-30)


▼第2試合 54㎏契約 2分3R

× 中川梨香(大成会館)

○ ☆SAHO☆(闘神塾)

判定0-3(26-30、26-30、26-30)

※中川が計量オーバー、減点2・グローブハンデ


▼第1試合 65㎏契約 3分3R

× 一揆(WIZARD)

◎ 虔次郎(風吹ジム)

TKO 2R 0分36秒


〈オープニングファイト〉


▼OP第2試合 53㎏契約 1分2R

× 福留章代(魁塾)

○ 新谷 愛(NJKF・理心塾K'sGYM)

判定0-3(18-20、18-20、19-20)


▼OP第1試合 40㎏契約 1分30秒 2R

× 堀 海人(伊藤道場)

○ 石原 仁(田頭道場)

判定0-3(19-20、19-20、18-20)


7年後(?)に60回記念大会があるなら、この日前座に出場していた選手たちが王者としてメインを張っているのだろうか。そう、この日の侑馬のように。これからもDEEP☆KICKは選手とともに歴史に名を刻んでいく。