宮沢賢治セミナーin大阪レポート~はねずさん編~
こんにちは。
早くも3月最後のブログ更新です。
今年度最後のブログ更新、ということにもなりますね。来週の週末から4月、新しい生活が始まる方も多くいらっしゃると思います。心身とも無理のないよう、お互いほどほどに参りましょうね。
さて今回は、3/21春分の日に催されました「宮沢賢治学会イーハトーブ地方セミナーin大阪 講演と対談『日本児童文学が宮沢賢治から受け取ったもの』」の感想レポートを、実際に現場に行った、ポラン堂古書店サポーターズの一人・はねずあかねさんにお願いしました。
写真にある通りゲストはあの児童文学作家・富安陽子さん。
『まゆとおに』や『オニのサラリーマン』『キツネ山の夏休み』など、どなたでも一度は触れたことのある作家さんではないでしょうか。
宮沢賢治作品は多くの現代の児童文学に色濃く影響していますが、豪華ゲストとそういったお話をする講演と対談が、先日、大阪府立中央図書館にて開催されたのでした。加えて、この素敵なイベントの裏方、そして司会役を、我らが先生(ポラン堂店主)がつとめておりまして、サポーターズブログとしては、これは取り上げねば、の内容なのです。
えっ行きたかったと思ってしまった方、もしくは行ってきたよという方、お時間がございましたら、ここからが感想レポートです。
それでは、はねずあかねさん、どうぞです。
皆さん、こんにちは。
古書店のある夙川は25日に開花の予想でしたが、皆さんのところはいかがでしょうか?
先日暖かくなってきたと感じたのですが、また寒くなってしまいましたね。
さて、21日春分の日。大阪府立中央図書館ライティホールにて行われた、講演と対談「日本児童文学が宮沢賢治から受け取ったもの」に行ってまいりました。
この日は予報の時点で雨となっており、終わる頃にはぱらぱらと雨の降るお天気でした。
私は開演近い時間に着いたのですが、ざっくり半分ほどは席が埋まっていたのではないでしょうか。参加されている方も学生さんから賢治もしくは富安陽子さんのファンの方という幅広い年代の方が見受けられます。
これは私の勝手な想像ですが、講演とあったので机のあるようなところだと想像していたら、思ったよりもちゃんと演奏会をしてそうなホールでしたね。人数の時点で気づくべきだったか……
今回の内容は以下となっています。
(実際に会場で配られたものの一部です。
写真の為多少の傾きはお許しください byあひる)
13時半から始まり、おおよそ3時間に及ぶ大ボリュームのイベントです。私自身、講演と対談でこのボリュームのものに参加したのは初めてだったかもしれません。
もし参加された方がこれをご覧になっていたらお疲れ様でした。
かねてより、ポラン堂古書店店主である先生から、「賢治学会は賢治ファンクラブである」と聞いていたのですが、始めに挨拶と基調報告をされた宮川健郎さんから、そこにつながる話をお聞きすることができました。
学会内で仮にその人がどのように偉大な研究をしていても「〇〇先生」と呼ぶのはいけないことだそうで、皆等しく「〇〇さん」と呼ぶことになっているそうです。賢治のファンである者に上も下もないということ、ですよね。
そんなわけで、今回登壇された方々には賢治学会に倣って「さん付け」としたいと思います。
賢治作品自体にそもそも子供向けのものが多くある印象ですが、最後の富安陽子さんの対談へ繋げるためか、宮川さんも大島さんもとりわけ絵本との関わりについて語られていたように思います。
私自身は、宮川さんの海外絵本を翻訳した翻訳者が思わず賢治的表現を使ったのではないか、というところが特に興味深かったです。
資料にも挙げられていた風が吹くことの表現に「どっと風が吹く」と書くのは、日本語で文章を書くにおいて特段珍しい表現ではないと思います。
けれどこの表現の仕方は、確かに考えてみるとかなり賢治的な表現に感じられます。これが賢治の作品から日本児童文学に"身についたもの"と考えるのであれば、その痕跡はあちこちにあるはずで、そこまで浸透している賢治の文章あるいはオノマトペにちょっとした恐れを感じるほどでした。
イベントの最後は、お楽しみの富安陽子さんの対談です。
富安さんが好きな賢治作品ベスト3や珠玉の表現について聞くことができました。
なんと、昔を懐かしんでレコードブックに録音されていた歌を歌ってくださったり、「やまなし」の12月を朗読してくださったりしました。富安さんのファンの方にとってはこれ以上ない貴重な経験だったと思います。
かくいう私も富安さんの『まゆとおに』のファンなので、珠玉の表現が自分の大好きな「水仙月の四日」だったことに勝手に感激したり、最後の朗読があまりにお上手なので驚いたりしていました。
終わりの挨拶の後は富安さんのサイン会があったので、皆さんは早々にそちらへ行かれていました。
私はというと、アンケートを書いた後に、すぐ近くで展示されていた『注文の多い料理店』の初版本を見に行きました。
話には色々と聞いていましたが、こう、現存するんだなあ……とケース内で鎮座する様子を見て、つい思ってしまいました。
他にも賢治関連の作品が展示されていたのですが、禁帯出シールが背に貼ってあるものもあって、蔵書として管理されている感じが、すごくよかったです。
以上です。はねずさん、ありがとうございました。
盛沢山のイベントだったようですね、行けなかった身としては正直羨ましいです。
後日、ポラン堂古書店に訪ねた際、とっても嬉しそうに先生から見せてもらえたんですけれど、こちら……
『博物館の少女』のサイン本、ポラン堂古書店の名前入りスペシャルバージョンです。
富安陽子さん直筆のキツネさんの絵も可愛らしくて、いくら眺めても飽きません。すごい。
ぜひ直接見たいぞ、という方はポラン堂古書店お越しの際にお声がけくださればと思います。
それではまた。