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EDICOLANTEのイタリア小さな可愛い街の旅行記とコラム

ヴィッラ・ファルコニエーリ Villa Falconieri(フラスカーティ)

2018.05.21 08:55

カステッリ・ロマーニ地方フラスカーティには貴族が競って建てたヴィッラが12棟残っているが、ヴィッラ・ファルコニエーリは最古。ローマ共和政時代のヴィッラがあった場所に建てられた、15から16世紀頃の豪邸である。


歴史

共和政ローマ時代から既に、ローマ人が目をつけ 避暑地だった。ここには 政治家で軍人のルキウス・リキニウス・ルクッルス(Lucullo 紀元前118年-紀元前56年)と政治家で哲学者のマルクス・トゥッリウス・キケロ(Cicerone 紀元前106年1月3日-紀元前43年12月7日)の屋敷があった。

1527年のローマ略奪で損害を受けた後、バジリカータ州メルフィ出身の枢機卿アレッサンドロ・ルフィーニ(Alessandro Rufini)により現在のヴィッラのオリジナルが建設された。そのためルフィーナ宮殿(villa Rufina)と呼ばれていた。しかし、数年後に借金の返済のため売却を余儀なくされる。

後1546年頃にファルネーゼ家のパウルス3世により増築。アントニオ・ダ・サンガッロ・イル・ジョヴァネ、弟子が設計。

その後、ジャン・ヴィンチェンツォ・ゴンザーガ枢機卿が所有していたが、1587年に売却。聖職者のMario Santi di Santafioriが1603年まで所有していた。

1628年、オラツィオ・ファルコニエーリ(Orazio Falconieri)が買い、フランチェスコ・ボッロミーニ(Francesco Borromini)に修復を依頼。

ファルコニエーリ家は、銀行家で塩の製造販売で富を得た家系である。枢機卿キアリッシモ・ファルコニエーリ(Chiarissimo Falconieri Mellini)が亡くなる1859年まで所有していた。


1907年5月にドイツ、ベルリンの銀行家の男爵Ernest Mendelsshon-Bartholdyが買い、Kaiser Guglielmo IIに捧げられた。

1911年4月6日、王子Guglielmo と姫 Cecilieが訪れ、修復を開始することを決めた。

ここは、ドイツの小説家Richard Vossが25年間居住し、小説『ヴィッラ・ファルコニエーリ』を書いた家である。そのため、ローマでのドイツ人のコミュニティーができていた。

第一次世界大戦後、ドイツとの国際法諮問機関の後、ヴィッラ・ファルコニエーリはイタリア国の所有となった。

第二次世界大戦中にヴィッラは大損害を受けた。

1959年に修復された後、様々な機関が入ったが、2016年から現在まではアカデミーAccademia Vivarium Novumとして使われている。テレビドラマの撮影などもされた。


外観

バロック様式フランチェスコ・ボッロミーニ(Francesco Borromini)設計。

3つのアーチのポルティコ(柱廊)がある。



建物内

第二次世界大戦で損害を受けた部分は新しいが、入口アトリウムから左へ進むと、Pier Leone Ghezzi, Giacinto Calandrucci, Ciro Ferri, Nicolò Berrettoniなど様々な画家が手がけたフレスコ画が鑑賞できる。部屋ごとに四季をテーマに描かれている。


★ 玄関の大広間 Salone d'ingresso

壁画がだまし絵になっており、時計もテラスも絵画だということに驚かされる。

半月形の壁画部分には、ファルコニエーリ家の人々の様子が描かれている。

天井画は『ヴィーナスの誕生(Nascita di Venere)』

入口右側床のガラスパネルを覗くと、更に古い建物跡が見られる。

ドア部分に描かれた、杖を持ち船形帽子を被っている人物は、ほとんどの壁画が描かれた1727年頃にヴィッラの所有者だった、マリオ・ファルコニエーリだと思われる。当時の服装などが興味深い。



★ 会議室 Sala delle Conversazioni

会議室か、冬の部屋と言われている壁画はピエル・レオーネ・ゲッツィ作。

ピエル・レオーネ・ゲッツィ(1674-1755年)の肖像画。

天井画『オラツィアの略奪(Ratto di Orazia)』ピエトロ・ダ・コルトーナの弟子、チーロ・フェッリ(Ciro Ferri)作 1675-77年


★ 夏の部屋 Sala della Ringhiera

ゲッツィがヴィッラの所有者ととても深い関係にあったため、訪問客をモデルとした絵画も細かに描いて表現されている。


★ 秋の部屋 Sala dell'Autunno

『Trionfo di Bacco』ピエトロ・ダ・コルトーナの弟子、チーロ・フェッリ(Ciro Ferri 1634-89年)作

女性がワイングラスを持ち上げ、ブドウの木やワイン樽が描かれてている。


★ 夏の部屋 Sala dell'Estate

『Trionfo di Cerere』ジャチント・カランドゥッチ(Giacinto Calandrucci 1646-1707年)作



★ 春の部屋 Sala della Primavera

ジョヴァンニ・フランチェスコ・グリマルディ(Giovanni Francesco Grimaldi)の壁画。1672年


庭園内

★ イタリア式庭園 Giardini all'italiana

17世紀のイタリア式庭園。緑の垣根と植物が規則的に並んでいるのが美しい。ローマ方面の景色。

舟の噴水 Vasca dela Galera


★ 小さな人工池

庭園内には18世紀の小さな池があり、周囲は杉の木が並んでいる。

次回見学


情報

ヴィッラ・ファルコニエーリまでは、フラスカーティの中心街から少し離れおり徒歩で15分程。ボッロミーニ通りの坂を上る。

ヴィッラ・ファルコニエーリ Villa Falconieri



写真集



ブログ




参考

Wikipedia