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超人ザオタル(101)新しい扉

2023.03.27 05:01

シュマは私の話を何度も小さく頷きながら聞いていた。

「私ははじめに何をすればいいのでしょうか、ザオタルさま」

それが最も大切な質問だと思った。

「瞑想することです、シュマ殿。


瞑想して、自分が誰なのかを探究することです。

これが自分だと思ったら、それを私に教えてください。

そうしながら探究を深めていきましょう」

完全なる真実を知るために、小さな真実を積み上げていく。


いきなり深遠なる真実を会得することなどあり得ない。

もしそれができたとしても、それは脆いものになる。

どれだけ美しい真実でも、ガラス細工では意味がないのだ。

それは強い力で叩かれて強くなる鋼でなければならない。


「わかりました、ザオタルさま、ありがとうございます。

瞑想して、自分をそこに見つければいいのですね。

早速はじめてみます。

そしてまた会いに伺います。


何か自分の中で何か新しい扉が開いたような気がします」

そう言ったシュマの目は輝いていた。

期待ばかりが膨らんでいそうだが、私はそれでもいいかと思った。

その期待はきっと裏切られることになるだろう。


それがどうあれ、それはシュマの道なのだ。

いまはその前向きの勢いが大切なのかもしれない。

「私はいつでもここにいますよ」

私は笑顔で片手胸に当てて頷いた。


シュマは立ち上がると、小さく会釈をして立ち去った。

私はまた景色に目を向けた。

時は始まり、流れ、そして終わる。

何にために時はあるのか。


いや、この時を信頼するしかないのだ。

本当の自分であれば、どんなことでもその腕に抱くことができる。

それは許しを与えるというよりは信頼なのだ。

すべてが時の終わりに向かっている。


その間の成功も失敗もひとつの過程でしかない。

そのひとつひとつに目を向けてしまえば、

世界全体の流れを見失ってしまう。

そこで喜んだり悲しんだりしてもいい。


しかし、精神が成熟し、新たな機会が与えられたなら、

それがたとえ理解できない状況でも躊躇している場合ではない。

世界の意志として、目の前の激しい渦に飛び込むのだ。

私は時を超えた存在だ。


すでに道は消えて時の終わりにいる。

激しい水しぶきを上げる流れを超えて、すでに凪になっている。

それでもこの世界は平穏ではない。

時は変化を好むもの。


目の前の美しい景色もいずれは変わっていくだろう。

それは時の終わりに向かっている兆候なのだ。

人の心も良きにつけ悪しきにつけ変わるだろう。

それすらも同じ方向を向いている。


変わるということは福音であり恩寵なのだ。

変わらないということが約束された場所だ。

私はすでにそこにいる。

そして、この時を刻む世界の只中にもいるのだ。