僕が脳の働きにこだわる理由
僕はパーソナルでもセミナーなどでも「筋肉」ではなく「脳」「神経」「マインドセット」に拘った指導をしています。
そしてそれによってもちろん「筋肉」も含めて成果を上げています。
僕がなぜ「脳」「神経」「マインドセット」にこだわるのか?
それは僕が元々「肥満児」で「運動音痴」だったからです。
僕はそれまで全く運動をやっていなかったのに10歳の時に「ブルース・リー」の「グリーンホーネット」というTVドラマと「燃えよドラゴン」という映画を観て、突然運動に目覚め「空手」と「トレーニング」を始めました。
でもそこでもやはり元々運動神経の良いと言われている子供にはなかなか勝てない。
そこで強くなるためにやったことは何か?
それは「研究」と「模倣」と「反復」です。
まず徹底的に「空手」の動きを「研究」しました。
先生や他の強い大人はどんな動きをしているのか?
最初は自流派の空手、そこから他流派の「空手」、さらにはボクシングやキックボクシングなどの格闘技まで研究し、分析しました。
当時はビデオやDVD、YouTubeなどもありません。
そこで空手については「本」で、キックやボクシングはTV中継で自分なりに特徴を分析しました。
次に「模倣」これはとにかく動きを真似ること。
特に小学校高学年の時はブルース・リーを徹底的に真似していました。
また当時の僕がやっていた空手にはローキックがなかったのですが、中1くらいの時、大人と組み手をやっていて、ローキックを連発して先生にひどく怒られたのを今でも覚えています。
次に反復です。
これは多分性格なんですが、基本的にしつこいんですよね。
だから同じ技を何時間でもやっている。
そしてそれは基本的に一人稽古なので「ああだこうだ」と細かいことを工夫することができた。
だから盲目的に反復するのではなく、様々な動きについて考えながら、反復することができたのです。
この「研究」「模倣」「反復」を誰よりも多くの時間とエネルギーを割いて取り組むことで、周りの同じような子供たちよりも上手く強くなることができました。
「僕は他の子より不器用なんだから、もっと頭を使って、そして時間をかけて体に染み込ませなきゃだめだ!」
そう考えていたのです。
そして中学に入ってその考えを裏付ける決定的な言葉を本の中に発見します。
それは当時出版された「魂の武器」というブルース・リーが生前に書いた文章を再構成して出版された本に書かれた文章です。
少し長いのですが引用します。
「能率よく攻撃、防御を行うためには、全身のあらゆる力が統合されなければならない。
例えば、初めて行うスポーツに適応するには個人差がある。
たやすくこなし、動作が自然な人もいれば、緊張し、動作がぎこちなく、無駄の多い人もいる。
経験のあるなしに関係なく生じるこの個人差は一体何故に生じるのか?
それは神経組織と筋肉を統合する能力の有無によるものである。
もちろん生まれつき統合能力の備わっている人もいれば、欠如した人もいる。
だが悲観することはない。統合能力は誰にでも発達させることができる。」
「ある動作を起こそうとする時、筋肉の張りに変化が生じる。
この変化のプロセスを辿ってみよう。
脳からの命令が神経組織に伝達され、神経組織は特定の筋肉に刺激を送り、筋肉は適切な瞬間に収縮する。
ここで問題としているのは、神経組織が筋肉に送る刺激を如何に統合するのかということである。
正確に統合された刺激は、要求通りに精密な強さで押し寄せ、もう必要がなくなれば正確な瞬間に止むだろう。
間違えてはいけない。
統合を習うことは神経組織の訓練の問題であって、筋肉の問題ではない。
まったく不統合な筋肉を完璧に統合された筋肉に変えるには、神経組織内の関係を発達させる以外にない。」 ブルース・リー
その本には「パンチ」や「キック」「フットワーク」など具体的な技術が書いてあるのですが、それよりも僕は上記の文章にあるような「スムースな動き」「技術習得」と「脳や神経のつながり」について書かれた部分に深く感銘を受け、そして自分の方法は間違っていなかったという自信を得ることができました。
当時、トレーニングといえば「筋肉」でしたし、技術は「ただ反復するもの」だという風潮の中で、このブルース・リーの先見性。
なんといってもこの文章は1960年代後半から1970年に書かれたものなんです。
そう、彼は50年以上前から革新的な考えを持って武術だけでなく、トレーニングや思想についても独自の見解を持っていたのです。
そしてこれが「肥満児」で「運動音痴」だった僕がそれを克服し、その方法をより多くの人に伝えることで、同じように「動けない」「動きたくない」と思っている人を助けるような人になりたいと思ったきっかけでした。
「ブルース・リーが僕を含めて多くの人の人生を変えたように、僕も人の人生をより良く変えられるような人になりたい」
そんな夢を持ったのです。
だからこそ「運動」と「動作習得」と「脳」「神経」「心」のつながりは僕にとって永遠のテーマになり、それを追求することでトレーナーとして多くの方の役に立つことができるようになれたのです。
長くなりましたがこれが「僕が脳の働きにこだわる理由」です。
これをQuestのクライアントである一般の方やアスリート、トレーナーの方だけでなく、広く一人でも多くのトレーナーに伝えることができるように、今準備を進めています。
発表まで今しばらくお待ちください。