Ameba Ownd

アプリで簡単、無料ホームページ作成

「“ダービー”じゃない、これは“クラシック”だ」

2024.04.22 13:00

※2024年4月23日 更新

今週はいわてグルージャ盛岡(以下『盛岡』)とのゲームです。福島ユナイテッドFC(以下『福島』)とは長年のライバルで、因縁の相手でもあります。


UNITED ANKAAでは両チームへのリスペクトを込め、この歴史を広め、伝え、これからも刻んでいくために、このカードを「東北クラシック」と呼び、発信しております。

以下に、両者の歴史と背景を綴ります。

------------------------------

盛岡と福島の歴史は2009年から始まります。舞台は当時のJ1から数えて4部相当にあたる東北社会人リーグ。盛岡は2005年の同リーグ初優勝から2007年・2008年と連覇を成し遂げ、Jリーグ参入へ向けて大きく勢いをつけていた最中で、一方の福島は発足2年目でJリーグの夢を語り、歩み始めたばかりの頃です。

両者が初めて対峙したのは2009年5月17日、岩手県の盛岡南球技場。互いに開幕4連勝で迎えた第5節で、結果は2-2の引き分けでした。リーグ3連覇を狙う盛岡にとっての福島は危険な”新参者“、福島にとっての盛岡は東北に立ちはだかる“最初の壁”でした。

しかしそれから3ヶ月後の8月25日、両者は早くも互いを“好敵手”と認識することとなります。

全国社会人サッカー選手権大会、通称『全社』。その東北予選の決勝で福島は盛岡に勝利を収め、「東北代表」の肩書きを手に入れます。発足から4年間にわたり東北の雄として名をあげてきた盛岡にとって、雪辱的な敗戦であったことは想像に容易いでしょう。

その直後の9月6日、3度目の対戦となるリーグ戦の試合は1-1の引き分けとなり、このシーズンの対決は福島が1勝2分で勝ち越します。しかし、東北社会人リーグを制したのは盛岡でした。

1位・盛岡と2位・福島はリーグ戦での直接対決が2分けであったことから両者とも無敗で勝点36を記録。このシーズンの優勝と準優勝を隔てた要素は「得失点差1」でした。

ここから東北リーグは盛岡と福島が優勝を争う2強時代へ突入。2010年〜2012年まで両者の対戦成績は毎年1勝1敗ずつと互いに譲りません。

なぜなら、この直接対決こそがそのシーズンの優勝を決定づける決勝戦と同等の試合であることを、それぞれの選手、スタッフ、サポーターが理解していたからです。

「あいつらに負けたら、このシーズンが終わる」。盛岡と福島の試合が特別な一戦となることは必然でした。

2014年、J3の創設にて両者とも悲願のJリーグ参入を果たし、この一戦は全国リーグへ舞台を移します。東北リーグ時代のように優勝を争う関係には成り得なかったものの、お互いにプライドを賭けた闘いであることに変わりはありません。

東北リーグからJFLへの昇格は福島が先に(2013年)、J3からJ2への昇格は盛岡が先に遂げ(2022年)、クラブとしての成長度合いにおいても切磋琢磨を続ける盛岡と福島。

初対決から15年以上経った2024年現在、どちらかがシーズンダブルないしシーズントリプル(その1シーズン中で同一の相手に全勝すること)を達成したことは1度もなく、通算成績は盛岡12勝、福島11勝と僅差。双方にとって、これ以上に歴史を紡いできたライバルは他にありません。

J3創設以前から存在していたベガルタ仙台とモンテディオ山形の『みちのくダービー』を除いて、東北6県に本拠地を構えるチーム同士の対決は安直に『東北ダービー』と謳われてきました。

盛岡と福島は地域的に隣接もしていなければ、これといった対立関係もありません。しかしここまで述べてきたように、他の『東北ダービー』とは一線を画す、フットボールによる情熱があります。

私たちは、新たなファン、サポーター、スポンサー、クラブスタッフ、そして選手たちへ、積み重ねられたこの歴史を伝えていくため、このカードに伝統の一戦を意味する「クラシック(classic)」と銘打ち、“東北クラシック”と呼ぶことにしました。

極東の島国の地方にある小さなクラシック。それでもこの小さな意地は誇りであり、絶対に勝たなければいけない相手がいます。

「勝つのは俺たち、福島ユナイテッド。グルージャだけには負けられない」。この一戦のために歌ってきたその想いをいま、もう1度思い起こして。

This is not a "Derby" but "THE CLASSIC".
“東北対決”じゃない。これは“伝統の一戦”だ。

UNITED ANKAA

【東北クラシック 戦績】
※左がホーム、右がアウェイ
※勝敗は福島側から見たもの

2009年 東北1部
05/17 △ 盛岡 2-2 福島
08/25 ○ 福島2-0 盛岡 ※全社予選
09/06 △ 福島 1-1 盛岡

2010年 東北1部
06/06 ○ 福島 2-1 盛岡
10/03 ● 盛岡 2-1 福島

2011年 東北1部
05/29 ○ 福島 4-0 盛岡
10/02 ● 盛岡 1-0 福島

2012年 東北1部
05/27 ● 盛岡 2-0 福島
10/07 ○ 福島 1-0 盛岡

2013年
※福島がJFL、盛岡が東北1部のため対戦なし

2014年 J3
03/16 ● 福島0-2 盛岡
05/25 ○ 盛岡 1-2 福島
09/21 ● 福島 0-1 盛岡

2015年 J3
03/22 ○ 福島 1-0 盛岡
06/07 △ 福島 1-1 盛岡
11/23 ● 盛岡 3-1 福島

2016年 J3
06/12 ○ 福島 3-1 盛岡
11/05 ● 盛岡 4-2 福島

2017年 J3
06/25 ● 盛岡5-1 福島
12/03 ○ 福島 3-1 盛岡

2018年 J3
06/03 △ 福島 0-0 盛岡
09/30 △ 盛岡 2-2 福島

2019年 J3
08/18 ● 盛岡 2-0 福島
09/29 ○ 福島 2-1 盛岡

2020年 J3
07/11 △ 福島 1-1 盛岡
11/03 ● 盛岡 2-1 福島

2021年 J3
05/26 ○ 福島 2-1 盛岡
10/30 ● 盛岡 2-1 福島

2022年
※盛岡がJ2、福島がJ3のため対戦なし

2023年 J3
04/02 ● 福島 0-2 盛岡
09/02 ○ 盛岡 1-3 福島

2024年4月22日時点
通算29戦
福島11勝・盛岡12勝・引分6