その裸の帝王、ライフンヌ5
母さんの影を追い続けていた。
そして今、俺は初めて一人で歩み始めた。
母さん、いままで俺を見守ってくれてありがとう。
ジャパン
この国ではマフィアのことをヤクザや極道、というらしい。
彼らは仁義、任侠、人と人との繋がりを大事にする文化があるそうだ。
運び屋が言うには今回の仕事は、世界中に散らばるファミリーの支援。
抗争に備えジャパンに集めていた武器の情報が敵対マフィアの陰謀により漏洩し、警察の監査が入ることになった。
その武器を俺たちの手で警察の目の届かない安全な場所へ運ぶことになったのだ。
その仕事の報酬こそが、探偵、小説家、殺し屋と幾つもの顔を持つジャパンのある大物マフィアの愛刀なのだ。
ジャパンでは刀は己の魂。
こいつを譲るというのだからこの仕事の依頼には失敗は許されないというプレッシャーを感じる。
「安心しな。俺たちに失敗は絶対無いぜ!」
運び屋はあいかわらず陽気に答えた。
肝心のその殺し屋の姿が見えなかったのが気になったが、早速仕事に取り掛かった。
深夜。
大掛かりな移動を経て、武器を一旦東京湾から船に乗せジャパンの領海から離れ、警察介入時には武器は完全にジャパンには存在しない状態にする。
運び屋の作戦は単純だった。
しかしただ一つの読み違いは、敵マフィアも今回は手段を選ばなかった事だ。
領海を離れた所で船に衝撃が走り、奴らが乗り込んできた。
秘密裏の作戦の為、最低限の人員しか割いていなかったのが災いし船はあっという間に奴らに占拠され、武器を奪われた。
「くそ、ここまでか。」
運び屋が嘆いたその瞬間、船の無線が鳴る
「あー、あー、運び屋、ライフンヌ、聴こえるか??たった今奴らの保有する金鉱を抑えた。めんどくせぇがこれから金塊をポンドポーチのボスの所に移動させる。金塊を受け取れるのはポンドポーチでボスの世話になったお前だけだライフンヌ。
つーわけだ。あとはそっちでよろしくやってくれ。」
今のは恐らく、殺し屋の野郎だ。
なるほど。
金塊は移動中。このまま俺が死んで連絡が途絶えれば金塊はボスの物。取り返したければ俺を使ってボスに掛け合うしかない。
しかし武器は今は向こうの物。取り返さなければ俺達は刀を手にすることは出来ない。
だが奴らも武器だけ奪ってサヨナラってわけにはいかない。何せ大切な資金の殆どが奪われたままだ。
「おもしれぇじゃねえか。」
俺は初めて、今を生きてるという事を実感した。