ZIPANG-7 TOKIO 2020 『海洋熱波』国立研究開発法人海洋研究開発機構 & 国立大学法人北海道大学
はじめに
イメージ 岩手県大船戸漁港「水揚」 浜の美しき仕事風景 東海新報社 @佐藤 壮
イメージ 岩手県 大船戸市 海原に頼もしく願いを込めて 東海新報社
イメージ 北海道大学構内 長さ約380メートルの通りの両側に並ぶ70本のイチョウ並木。
都ぞ弥生
吾等(われら)が三年(みとせ)を契る絢爛のその饗宴(うたげ)は、げに過ぎ易し。
然れども見ずや穹北に瞬く星斗(せいと)永久(とわ)に曇りなく、
雲とまがふ万朶(ばんだ)の桜花久遠(くおん)に萎えざるを。
寮友(ともどち)よ徒らに明日の運命(さだめ)を歎(なげ)かんよりは楡林(ゆりん)に篝火(かがりび)を焚きて、
去りては再び帰らざる若き日の感激を謳歌(うた)はん。
「明治45年度寮歌、横山芳介君作歌・赤木顕次君作曲、都ぞ弥生、アインス、ツバイ、ドライ」・・・・・
『海洋熱波』
世界の食糧危機について
今朝起きてすぐに日課の早朝散歩に出かけた、既に日は昇りかけており神社の石段を登ろうとすると携帯電話から流れてくるニュースに眼が釘付けになったのである。それは、以前国立研究開発法人海洋研究開発機構と国立大学法人北海道大学が配信したプレスリリースそのままの内容が現実となって映し出されたのだった。
当時は軽く考えそんなに気に留めていなかった(失礼)、まあ一時的な現象だろう位にしか考えていなかった…(喝!)。ところがウクライナやロシアの戦争による小麦問題が世界の食糧危機にまで発展する姿を目の当たりにするにつけ…
四方海に囲まれ比較的海産物に恵まれた地域の日本と言えども海の環境変化がもたらすものは我が国のみならず世界の人々の食生活に多大な影響を及ぼすであろうことは容易に想像できる。(天の声:想像できるのなら何故その時に報道しなかった…「大喝」!)
今やロシア、中国、北朝鮮などは自国が生き残ればよいという問題ではなく、世界中の国々が情報を共有して手を取り合い英知を結集して世界の食糧危機を真剣に考えなければ人類の滅亡に繋がっていくことになるのでは・・・。
そこで以前拝見したプレスリリースを必死になって(天の声:口だけなら誰でも言える、今更遅い!)探したところ、幸いにも1年前まで使用していたパソコンに保存されておりましたので『海洋熱波』について反省と共に振り返りご紹介したいと存じます。
北海道・東北沖で海洋熱波が頻発していることが明らかに
―海洋熱波とブリの漁獲量にも関連性―
2021年 1月 14日
国立研究開発法人海洋研究開発機構
国立大学法人北海道大学
1. 発表のポイント
◆
2010~2016年、北海道・東北沖で海洋熱波と呼ばれる水温上昇が毎年夏に発生していた。
◆
一連の海洋熱波は黒潮由来の暖水渦が親潮の南下を妨げたことによるもの。
◆
海洋熱波と北海道太平洋側におけるブリの漁獲量の急増は統計的な関連性が認められた。
2. 概要
国立研究開発法人海洋研究開発機構(理事長 松永是)付加価値情報創生部門アプリケーションラボの美山透主任研究員と北海道大学の見延庄士郎教授らの共同研究チームは、北海道・東北沖に広がる親潮域において2010年から2016年まで海洋熱波と呼ばれる水温上昇が毎年夏に発生していたことを示しました。
海洋熱波とは、数日から数年にわたり急激に海水温が上昇する現象です。その発生頻度は過去100年間で大幅に増加しており、海洋生態系に与える影響が危惧されています。日本近海においても地球温暖化による海水温の上昇が見て取れますが、本研究では急激な温度変化という視点から親潮域の環境変化を分析しました。
その結果、2010~2016年の北海道・東北沖で海洋熱波が毎年夏に発生していたことを突き止めました(図1、3)。また、水温の上昇は水深200m以上に及んでおり(図4)、黒潮由来の暖水渦が親潮の沿岸での南下を妨げたことによるものであることも明らかになりました(図5)。
さらに、2010年以降に北海道太平洋側におけるブリの漁獲量は急増しており、水温上昇と漁獲量の変化に有意な関係があることも認められました (図2)。
本研究はJSPS科研費JP19H05697の助成を受けたものであり、本成果はFrontiers in Marine Science誌に1月14日付け(日本時間)で掲載される予定です。
題名:
Marine Heatwave of Sea Surface Temperature of the Oyashio Region in Summer in 2010-2016
著者:
美山透1、見延庄士郎2、後藤葉南子2
所属:
1 国立研究開発法人海洋研究開発機構
2 北海道大学
3. 背景
近年、地球温暖化による海面水温上昇と共に、海洋熱波と呼ばれる数日から数年にわたる急激な水温上昇が注目を集めています。海洋熱波の発生頻度は過去100年間で大幅に増加しており、1925年から2016年までの間に世界全体では年間発生日数が54%も増加しています。海洋熱波は、地球温暖化と相まって海洋生態系に大きな影響を与える可能性があります。
近年、日本の親潮域でも高い水温が観測されており、その影響で2010年以降の北日本の沿岸域では、ブリなどの温帯魚が以前よりも多く漁獲されていることがよく報道されています。逆にサンマなどの寒流魚は2010年以降激減したことが知られています。
これまで、親潮域の高い水温について地球温暖化または十年スケールのゆっくりとした変動の影響として調べられてはきましたが、急激な温度変化という視点からの分析はされていませんでした。そこで本研究では、2010年以降の2010-2016年を対象として、親潮域の急激な温度変化やその原因などを分析しました。
4. 成果
人工衛星のデータから得られた海面水温の2010-2016年の平均と1993-2009年の平均との差を見ると、親潮域で特に夏に海面水温が上昇していました(図1C)。
図1の黒四角の領域の温度の時間変化を見ると、2010年から2016年まで高い水温が続いていました(図2黒線)。過去にも水温が高かった年はありましたが、かつてこのように連続して温度が高くなったことはありませんでした。
図2の赤線は北海道太平洋側のブリの漁獲量で、2010年以降に温度が高くなって以降にブリの漁獲量が上昇していることから、両者が関係していることが強く示唆されます。
海洋熱波では、過去の統計で10%以下しか起こらない高水温が5日以上続くという定義がよく使われます。
図1の黒四角の領域でこの定義を用いると、2010~2016年の夏に海洋熱波が毎年発生していることが明らかとなりました(図3の緑線を越えた赤塗りの部分)。また、海洋熱波の基準の2倍(図3の緑点線)を上回る強い海洋熱波が発生した年もありました。
さらに、海洋研究開発機構アプリケーションラボが開発した海流予測モデルJCOPE2で調べた結果、夏に高水温となるのは海面だけでなく、海面下にまで広がっていたことがわかりました(図4A)。
特に2015年から2016年にかけては、夏だけでなく冬も通して水温が高くなっていました。水温だけでなく塩分も高くなっていることから、高温で高塩分である黒潮の影響が示唆されます (図4B)。
一般的に海洋熱波の原因は、大気温が高くなって大気が海を温めること、または海流の変化が考えられます。今回の場合、水温が高くなった結果として海から大気に与える熱はむしろ増えていることから、暑い夏が続いて水温が高くなったわけではありません。
そこで人工衛星のデータやJCOPE2を用いて詳細に分析した結果、黒潮から親潮域に達した暖水渦が増加し、沿岸寄りの親潮の南下をせき止め、温度上昇につながっていたことがわかりました(図5)。
5. 今後の展望
本研究では黒潮由来の暖水渦が親潮の沿岸側の南下を妨げ、海洋熱波を引き起こしていたことを突き止めましたが、なぜ黒潮由来の渦が多くなったのかまではわかっておらず、今後、原因のメカニズムを明らかにする研究を進める予定です。
図2では2017、2018年と温度が平年並みに下がっていますが、2019、2020年と再び暖水渦で水温が上昇しています。ブリの漁獲量も高止まりしたままです。海洋熱波の起こりやすい状況が常態化している恐れがあります。
また、本研究は日本周辺の海洋の変化は地球温暖化によって徐々に水温が上昇するだけでなく、海洋熱波による急激な変化が起こりうることを示しています。
地球温暖化が進むと漁業などへの海洋熱波の影響はより大きいものになると考えられ、海洋予測モデルを活用したモニタリング体制の構築に向けて準備を進めています。
図1: 各季節の2010-2016年平均海面水温の1993-2009年からの差(色:℃)と 2010~2016 年平均海面水温(等値線:℃)。(A) 1から3月、(B) 4から6月、(C) 7から9月、(D) 10から12月。
図2: 図1の黒線枠で平均した夏期(7~9月平均)海面水温の時系列(黒線;左縦軸の℃)と北海道南東部(日高・十勝・釧路)のブリ漁獲量の時系列(赤線;右縦軸のトン)。漁獲量データは「北海道水産現勢」より入手した。
図3:各年の青線が平年の季節水温変化で黒線が実際の温度。緑線を越えると統計的に10%以下の頻度の高温。赤色で塗りつぶされた領域が、その高温が5日以上続いて海洋熱波と定義された期間。緑の点線は青線と緑の差を2倍にした線。
図4: 図1の黒枠線
深さ方向の2010 年から 2016 年までの(A)水温と(B)塩分の1993-2009年との差。横軸が時間、縦軸が深さ。青線は夏期(7~9月)の200mの深さを示す。
図5: 概念図。青線が1993-2009年の親潮の流れ方で、赤線が2010-2016年の親潮の流れ方。黒潮から暖水渦がよく近づいたため、2010年以降は沿岸で親潮が南下しにくくなった。
(本研究について)
国立研究開発法人海洋研究開発機構
付加価値情報創生部門アプリケーションラボ
主任研究員 美山透
国立大学法人北海道大学
大学院理学研究院
教授 見延庄士郎
鎹八咫烏 記
伊勢「斎宮」明和町観光大使
石川県 いしかわ観光特使
協力(敬称略)
紅山子(こうざんし)
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