塾と物語シリーズ①のお知らせ
今、これまでコツコツ書いてきた塾を題材にした物語を一つにまとめています。
その舞台は、どこかの街にある小さな塾。塾長一人に、講師が数名いるようです。もちろん注意書きにあるようにフィクションです。
物語を通して、色んなことが読んでくれた人に伝わるように、あれこれ模索しながら書いています。よかったら気軽にご覧いただけると幸いです。
ここにも載せておきますね。第一弾は「はじまり」というタイトルです。
「勉強ってつまんないですよね」
彼が面談に来て最初に言った言葉がそれだった。
お渡ししたアンケートを記入するお母さんの横で、
彼は女性教室長の私に対して静かなる敵意を発しているようにも思えた。
まだ若かった私は気にせずあっけらかんと返した。
「それでもみんなやるんだから、勉強ってすごいよね」
意表をつかれたような彼の顔を見て「しまった」と思った。
彼は、私の塾の開校初日に現れた初めての生徒だった。
結局彼はお母さんに無理やり通わされることになって、
最初は嫌々さがあらゆる仕草から滲み出ていた。
だけど、しばらくして、彼と気の合う講師が見つかって、
そこからの彼の成長はすごかった。
「人は人との出会いで変わることができる」
私も妹もお世話になった塾の先生がよく言っていた言葉。
いつだったか、学校に行けなくなった妹が塾へは通う姿を見て、
「なんで塾には行けるの?」と訊いたら、妹はこう返事した。
「だって塾の方が面白くてわかりやすいから」
その時、私は塾ってすごいなって思った。
いつか私もそんな場所を創りたいなって思ったんだ。
それから沢山の時が流れて、
最初は私一人で始めた塾にも、多くの仲間ができた。
卒業生も、講師になったり社員になったりして、
教室の数も増えた。安心して任せられる人も。
無事に引退した今、振り返って思う。
うまくいったことも、うまくいかなかったこともあったけど、
少しは理想としていた場所に近づけたかな。
その判断は自分では難しいけれど、これだけは言える。
この場所を創れてよかった。
だって、素晴らしい人たちとたくさん出会えて、
彼らと長い時間を共にできたから。
人は、人との出会いで変わることができる。
ちょっとずるいけど、一番変わったのは私かもしれません。
文章を書くのって意外とストレス発散になるんですよね。曲がりなりにも自分の中にあるものを出すからでしょうか。
日々のブログが割と真面目なので(え?そうでもない!?)、フィクションでものを書くというのは良い意味で息を抜くことになるんでしょうね。
またコツコツ書いてはご紹介します。
本日もHOMEにお越しいただき誠にありがとうございます。
作文って楽しいよね。