風の吹き抜ける家
2014.05.10 01:57
佐賀・高橋設計室
高橋正彦
私たちの事務所に設計を依頼してくる方たちの中で
比較的多い要望のひとつが風通しのいい家にしたい、と言う事。
今回はその事について考えてみたいと思います。
現在は空調設備が発達して、一年中快適な室内環境が得られます。
しかし、常に温湿度が調節された室内にいることにより、
人間は少しずつ体温調節能力が衰えていく恐れもあると言われています。
やはり自然の風を取り入れるというのは大切なことだと思います。
都心部や住宅密集地ではなかなか難しいのかもしれませんが、
風が室内を吹き抜けることにより、ダニやカビの繁殖を抑えたり、
ホルムアルデヒドなどの室内汚染物質を外部に逃がす事が出来ます。
勿論、そのような現実的な事以上に、子供の頃夏の日の午後、
風の吹き抜ける部屋での昼寝の気持ちよさを忘れることが出来ません。
皆さんが自然の風が吹き抜ける家がいいと希望されているのは、
そのような、自然の風の気持ちよさを体感として記憶しているからだと思います。
では、どのようにしたら、風の抜ける家が出来るのか?
もちろんただ闇雲に大きな窓をつくれば風が入ってくるものではありません。
風の出口と入口を考える。平面的に開口が取れないときは断面で考えてみる。
窓の種類を検討してみる等、いろんな方法を試みて風の抜け道を考える事が必要です。
そこには、その地域特有の卓越風や隣地に建っている建物の位置等のプライバシー対策も必要です。
このようないろいろな要素を検討する事により、心地よい風が吹く家が出来るのだと思います。
部屋ごとに窓の位置を考えず、建物全体または隣地の建物の位置なども考慮して
いろんな角度から窓の位置を考えると、条件のあまり良くない敷地でも
風の吹き抜ける家は出来ると思いますよ。