『東西両京』、都と京と天皇
【社会コラム】 この国には首都が法的に明記されていない。何故か。それはこの国が京都と東京の『東西両京』だからだ。だが実質的な首都は東京である。その前の首都は京都。延暦十三年(八世紀)から明治二年(十九世紀)までの十一世紀に及んで京都・平安京が首都であったとされる。
幕府は政府であるが各幕府の場所は首都ではない。帝国である以上、政治的中心地は天皇の居所である。だが現在のこの国は帝政ではない。直近では明治・大正・昭和、その前は平安時代まで帝政は遡る。
明治維新の時に江戸は「江戸ヲ称シテ東京ト為スノ詔書」により東京になった。これは遷都ではなく、「東京奠都(とうきょうてんと)」となっている。都を遷したのではなく、新たに都を奠(さだ)めた。法的に京都は都として未だに廃止されていない。都は天子の居所のある場所。『東西両京』の京は都城が置かれた土地として、みやことも読む。つまり京都は未だに都である。事実、歴代天皇が住み、儀式・公務を執り行った京都御所は宮内庁が維持・管理している。
この国の正式な名は何か。国は外国との重要な文書にて国家の象徴である「国璽」を用いる。そこには『大日本國璽』と篆刻されている。金印だ。現在は勲記のみに使用。大日本帝国憲法下では「大日本帝国」、日本国憲法下では「日本国(原文:日本國)」を国号として使用。だが「国璽」は変えていない。天皇の国事行為には『天皇御璽』と篆刻された「御璽」を用いる。そして世界史的には現在の日本は世界最古の王朝なので「神武朝日本」となる。英国のエリザベス二世(丙寅)はウィンザー朝の第四代女王。今上天皇(癸酉)は第百二十五代。
米国の「国璽」は「グレートシール」と呼び、英国に同じ平らな円盤。溶けた封蝋の上に押し付ける。表は国章(日本も同様に公式に定めた事はない)。ハクトウワシの頭上に十三の星を六芒星に並べている。裏には十三層の金字塔型四角錐の頭上にプロビデンスの目。日本の国章は事実上、皇室の家紋「十六八重表菊」。「五七の桐」は日本政府の紋章となっている。ドナルド・トランプ(丙戌)は米国の第四十五代統領。
日本には二千年以上の歴史がある。その中で国として全てが明確化している訳ではない。自身が何者かを考える際に日本史は欠かせない。その日本史も聖徳太子の例の様に目まぐるしく、大変更が行われている。この国を知る事は自身を知る事に他ならない。この国には都が二つある。
画像引用:宮内庁参観案内:施設情報:京都御所
記事:金剛正臣