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美的なるものを求めて Pursuit For Eternal Beauty

農民の願いをかなえ、造形美を体現した橋「通潤橋(つうじゅんきょう)」(布田保之助)

2018.05.24 11:36

<「美の巨人たち」テレビ東京放映番組(2013.8.24)を視聴しての私の感想コメント>

 この橋は、単に造形美とその建築美を誇る橋のひとつとか思いきや・・・

地域で暮らす農民の生活と願いをかなえた橋でもあることを知り、感動しました。

 舞台は熊本県。もともとこの地域には、大工ならぬ石工(いしく・石造による橋や造作物を手掛ける職人たち) と呼ばれる職人たちも居住していた経緯もあり、いまでもかつて建築された橋が、300以上現存している。

 笹原川から、年中乾燥し不毛の火山灰台地であった「白糸台地」に、どうやったら水を汲み上げ通水し、「緑豊かな田畑」とすることができるのか・・・ その救いの橋として、「人が主に渡る橋」ではなく、「通水管を通し水を汲み上げる橋」として造成されたのが、この「通潤橋」である。

 石組みのヒントは、建築者 布田保之助(ふだ・やすのすけ)が、熊本城の築造技術からヒントを得るとともに、漆喰(しっくい)による漏水の食い止めと、逆サイフォンの原理を取り入れたというから、驚きである。

 前人未到の男たちの思いが結実し、この橋を完成させた石工のひとりで、のちに「橋本勘五郎」として、江戸にのぼり、いま都内に現存する「浅草橋」「万世橋」も手がけたという。

 「水ほとばしり、人潤う」橋。

 水そのものは、いまも大津波やゲリラ豪雨のように、時には災害の源として、恐れられる存在であり、食い止めねばならない相手ではある。

 一方では、「人の暮らしそのものを豊かに潤していく水」、「日々生きていく水」として、天からの恵みの水ともなる。

 活かす水、立ち向かう水、そして、それをつなぐ橋。いろいろと学ばせていただいた「通潤橋」。記憶に残る橋・・・