【今日の暦】二十四節気 啓蟄
【二十四節気】啓蟄(2023/03/05-2023/03/20頃)
長く更新を空けてしまいました。
いつも読んでくださる方、申し訳ありません。
すでに春分を過ぎ、春から夏のはじまりへと差しかかる頃ではございますが、遅ればせながら「二十四節気 啓蟄」ついて書かせていただきたいと思います。
「啓蟄」は「けいちつ」と読み、「啓」は「戸を開く」、「蟄」は「虫が土にこもる」ことを意味しています。この場合の虫は蛇や蛙も含んでおり、現代を生きるわたしたちが思い浮かべる虫よりも、実に多くの生き物たちの目覚めの季節となります。
現代では虫と呼ばないけれど、かつては呼んだもうひとつの例に「疳の虫」があります。
疳(かん)とは、癇癪のこと。
癇癪が起きるのは体内にいる「疳の虫」のためと考え、それを追い払う「虫封じ」の祈祷やお守りは、いまなお多くの社寺で受け継がれています。
体内に虫がいるというのはあまりいい気分ではありませんが、江戸時代ではほかにも「三尸虫(さんしちゅう)」という虫が人の体内にはつねにいるとする庚申信仰が広く信じられていました。
この三尸虫、人が生まれてから一生をともにする守護神のような存在で、60日に一度(庚申の日)、その人の寝ている間に天に昇り、神様に日頃の様子を報告すると言われ、報告の内容によっては神様によって寿命が縮められるため、庚申の夜は寝ずに過ごし、宴などを楽しむ庚申講が全国各所で行われました。
ときおり道の端や社寺の中で見られる石製の「庚申塔」は、そうしたいつか信仰の名残りです。
時代が進むにつれ、かつてほどの隆盛はなくなりましたが、現在でも日枝神社や猿田彦神社などでは除災招福を願う「庚申祭」が執り行われ、年末年始さながらの盛り上がりをみせています。
今年次回の庚申の日は「5月2日(火)」。
虫の有無は別にしても、古き日本の文化に触れながら除災招福を祈るのは良いことだよなあと、スマホのカレンダーに印を付けるわたしでありました。
【七十二候】
○蟄虫啓戸(3/5-3/10)
......「すごもりのむしとをひらく」と読みます。寒さから身を守るため冬眠する蛇や蛙たちの目覚めは、冬の季節の終わりを教えてくれます。
○桃始笑(3/11-3/15)
......「ももはじめてさく」。笑うと書いて咲くと読む、この言葉の美しさはいったいなんと表現したらいいのでしょう。
○菜虫化蝶(3/16-3/20)
......「なむしちょうとかす」。庭で生き延びた青虫たちが、蝶となり、またふたたび卵を預けてくれることのなんて嬉しく、儚きことでしょう。古文の現代語訳みたいな文章になりました。
参考文献
◇ 『絵でつづるやさしい暮らし歳時記』新谷尚紀
◇『七十二候の食薬レシピ』大友育美