物語の続きを
【詳細】
比率:男1:女1
現代・青春
時間:約30分
【あらすじ】
「貴方の物語を演じたいんです!」
高校二年生の梅雨の時期。
突然降って湧いた演劇部と文芸部の文化祭合同企画。
脚本を頼まれた敦はそれを拒否する。
どうしても彼の物語を演じたい茉奈。
二人の攻防戦が始まるが、敦には書くことを拒否する理由があって……
【登場人物】
敦:佐々木 敦(ささき あつし)
高校2年生。文芸部の部長。
物語を完成させられない物書き。
茉奈:末田 茉奈(すえだ まな)
高校2年生。演劇部の部長。
お芝居は高校までと決めている。
敦:(M)チャンスは突然やって来るなんて言うけど
それは本当に突然で、思いもよらないところからやってきて、びっくりするくらいの衝撃がある
●学校・放課後・廊下(六月)
廊下には数名の生徒がおり、帰り支度をしたり、部活に行こうとしている。
茉奈:あの!
敦:え?
茉奈:佐々木さんですよね?
敦:え、あ、はい
茉奈:よかった~! あってた!
敦:えっと、すみません、貴女は……
茉奈:あぁ、すみません! 私、演劇部部長の末田茉奈と申します
敦:あ、どうも、ご丁寧に
茉奈:今回は演劇部と文芸部の合同企画をオッケーしてくださってありがとうございます!
敦:え?
茉奈:え?
敦:合同企画?
茉奈:はい
敦:何の?
茉奈:え? 演劇部と文芸部の……
敦:え?
茉奈:え? あれ? ご存知……
敦:ないです。何のことですか?
茉奈:えっと……今年の文化祭のステージ発表を合同企画でやりましょうってことになって……
敦:一緒に?
茉奈:はい。文芸部の方に脚本を書いていただいて、演劇部がそれを演じるという……
敦:……聞いてないですけど……
茉奈:えぇ! もう顧問の先生からもオッケーが出ていて、みんなその方向でウキウキしてますよ?
敦:あぁ、いいんじゃないですか?
茉奈:え?
敦:盛り上がるのは悪いことじゃないと思いますし……
茉奈:本当ですか!
敦:え、えぇ……
茉奈:よかった! 断られるかと思いました
敦:いや、俺が断る権利とかそもそもないですから。お互いが納得しているのならいいんじゃないですか?
茉奈:そう言っていただけると嬉しいです。では、脚本の方よろしくお願いしますね、佐々木さん
敦:わかりました。それで、誰が書くことになっているんですか?
茉奈:佐々木さんです
敦:え? 俺?
茉奈:はい
敦:はぁ!
敦:(M)高校二度目の梅雨の時期に、降って湧いた演劇部と文芸部の合同企画
それは衝撃なんて生易しいものじゃなかった
俺が知らないうちに進められていた企画
文化部同士の交流になるのならばいいんじゃないかと思ったが、まさかその脚本を書くなんて言う役目が俺に回って来ているなんて思ってもいなかった
そんなもの来るはずもないと思っていた
だって俺は……物語を終わらせることが出来ない人間なんだから……
●学校・放課後・校庭の隅のベンチ
校庭では運動部が部活に勤しんでいる。
敦:……
茉奈:見つけた!
敦:(めんどくさそうにため息をつく)……
茉奈:佐々木さん!
敦:……末田さん、どうしたんですか?
茉奈:「どうしたんですか?」じゃないです! 原稿を!
敦:あぁ
茉奈:あぁって……
敦:俺は書くって言ってませんよ?
茉奈:え?
敦:俺は書きません
茉奈:でも! 企画には……
敦:はい、演劇部との合同企画には賛成しました。だけど、俺が書くとは聞いていませんでした
茉奈:……
敦:だまし討ちみたいなことされて、書く気になると思います?
茉奈:……すみません……
敦:いや、末田さんのせいじゃないですから。悪いのは俺の意思を確認する前に承諾した仕事がテキトーな顧問とノリノリで企画を進めた馬鹿副部長ですから
茉奈:……
敦:だから、今回のお芝居の脚本は責任をもって副部長が書くと思いますよ
茉奈:……それじゃダメなんです……
敦:え?
茉奈:私は佐々木さんの本が読みたいんです! 貴方の物語を演じたいんです!
敦:え?
茉奈:もう隠し事はしたくないので言います。私がお願いしたんです、今回の企画。佐々木さんの書いた物語で芝居がしたいって
敦:……
茉奈:私、友だちが文芸部にいて、いつも会誌読ませていただいて、そこで佐々木さんのことを知りました。とても素敵な物語を書かれる方だなって思って。演劇は高校までって決めていたから、だから、今、好きな作品を演じたいと思って
敦:……
茉奈:だから、お願いします!
敦:……迷惑……
茉奈:え?
敦:こっちの事情も知らないで、こんな場に引っ張りだされて迷惑極まりない
茉奈:……
敦:そっちの事情も分かったし、顧問やあいつが何を企んで俺にこの話回したのかも理解した。でも、俺は書かない
茉奈:騙したみたいになってしまったのはすみません……でも、私は……
敦:俺に、いや、俺の書いたものに何の幻想を抱いてるのかは知らないけど、教えてやる。俺はな、終わりが書けない書き手なんだよ
茉奈:え?
敦:(M)小さい頃から本が好きだった
眠る前には必ずと言っていいほど絵本を読んでほしいと母親にねだった記憶があるし、小学校でも図書館に入り浸っていた記憶がある
自分ではない『何か』になれる世界。いろんなことが体験できる世界。そんな本の世界が俺は好きだっただから、俺もそんな世界を書きたいと思った
でも、どんなに書いても、俺が物語を完結させることが出来なかった
そこに現れるのはハッピーエンドの物語でもバットエンドの物語でもない
中途半端な物語
結末の無い投げ捨てられた物語
●学校・放課後・体育館裏
帰り支度を終えた敦が駐輪場に向かっている。
敦:ん? あれは……
茉奈:「……私はお人形ではありません! 女でも王家の人間です!」
敦:末田さん?
敦:(M)駐輪場に行くためにたまたま通った体育館裏
そこには台本を片手に一人、芝居の練習をする末田さんがいた
いつものふんわりとした印象からは全く想像がつかないくらい張り詰めた空気と雰囲気を纏う彼女は異次元に生きているように見えた
茉奈:「私では何の役にも立ちませんか? 立たぬのであれば立たぬと言ってください。気に入らないのならば気に入らないと言ってください。このまま何もなくここにいるのは屈辱でしかない!」
敦:っ!
敦:(M)悲痛で必死な訴え。それは演技だと分かっているのに、心臓を鷲掴みにされたかのように苦しくて
思わず息を飲んでしまう
初めて見た彼女の芝居。それは紙に書かれた物語を現実に呼び起こしてくれる、とても尊いものに見えた
少し離れた場所にいる敦に気が付く茉奈。
茉奈:ん? あ、佐々木さん!
敦:え? あっ、ど、どうも……
茉奈:何でここに?
敦:えっと、自転車を取りに……
茉奈:あぁ! すみません! 邪魔でしたよね
敦:そんな
茉奈:言ってくだされば
敦:それ……
茉奈:え?
敦:その本
茉奈:あぁ、この台本は何年か前の先輩の作品みたいで……
敦:(静かに遮って)凄かったです
茉奈:え?
敦:ここには存在しないはずなのに、ここにあって。ここで人物が息をしていて……
茉奈:佐々木さん?
敦:何て言えばいいのか分からないですけど、凄かったです……
茉奈:……
敦:末田さん?
茉奈:いえ、ありがとうございます。そう言っていただけると嬉しいです。やっぱり、お芝居っていいですよね。こうやって誰かと何かを感じあえて。だから、私、お芝居が大好きなんです
敦:……高校までなんでしたっけ……
茉奈:え?
敦:演劇
茉奈:あぁ、覚えてくださってたんですね
敦:はい
茉奈:そうです。高校で辞めようと思ってます
敦:何で?
茉奈:え?
敦:何で辞めるんですか?
茉奈:佐々木さん?
敦:そんなに上手いのに……
茉奈:上手くなんてないです
敦:そんなことないです!
茉奈:(少し驚いて)佐々木さん……そう思ってもらえて嬉しいです。でも、お芝居だけじゃ、好きって気持ちだけじゃ生きていけませんから……
敦:それは……
茉奈:もちろん、大学にサークルがあって、お芝居が出来る環境があるのなら趣味くらいで参加するかもしれませんが、全力で打ち込むのは高校までです
敦:……
茉奈:私、実はこう見えても長女なんです。弟たちのためにもいい大学に行って、ちゃんと就職して、支えないと……
敦:……それは、誰かに決められたことですか?
茉奈:え?
敦:大学に入ってって……
茉奈:あぁ、違います。私の意思です。今までやりたいこといっぱいやらせてもらってたんで、大学を出たら頑張らないとなって
敦:……
茉奈:だから、後悔したくないんです
敦:後悔?
茉奈:はい。自分の出来ることをやり切って、そして、ちゃんと区切りを付けたい
敦:出来ること……
茉奈:だから、すみません
敦:え?
茉奈:今のうちに好きな作品を、佐々木さんの作品をどうしてもやりたくて、しつこくしてしまって……
敦:……
敦:(M)そう言って苦笑する彼女の笑顔がいつもの彼女とは違って見えた
それは、俺が彼女の何かに触れたからなのか、それとも、彼女の『後悔するな』という言葉があったからなのか
後悔。俺のこれは後悔なのだろうか。物語の結末を書けば全てが終わってしまうんだ。だから、俺は物語の結末は書かない
いや、書けないんだ。怖くて、手が文字を書くのを拒否して……
他人から見れば滑稽に見えるかもしれない。ちんけな理由かもしれない。でも、俺には大きくて……
だが、彼女は後悔したくないと言った
彼女が後悔しないためには、俺が物語を完結させなくてはいけない
彼女の望みは俺の物語を演じることだと言うから
……俺は一体どうするべきなんだろうか……
●学校・放課後・雨
部室の整理をする茉奈。
茉奈:(一息ついて)こんなもんかな。これでちょっとは部室が綺麗になったよね。(窓の外を見て)あぁ、凄い雨だな……これは廊下の湿気とかやばそうだな……って、あれ……佐々木さん!
●学校・放課後・中庭・雨
雨の中、傘をささずに空を見上げる敦。
敦:……
茉奈:(傘をさして駆け寄る)佐々木さん!
敦:……あぁ、末田さん……
茉奈:雨なのに傘もささないで何してるんですか!
敦:……考えてたんです
茉奈:え?
敦:……俺はどうするべきなのかって……
茉奈:佐々木さん?
敦:考えても考えても答えが出なくて。雨に打たれて頭を冷やしたら何か答えが出てくるのかなって……ほら、よく物語であるじゃないですか。主人公が雨に打たれて頭を冷やすシーン
茉奈:ありますけど……
敦:だから、実践してみたんです。物語にはそれをやってどうなったって書いてないから、もしかしたら、いい案が浮かぶのかもって……
茉奈:……
敦:でも、ダメでした……他人の後悔の要因にはなりたくない……でも……俺は……
茉奈:……とりあえず、中に入りましょう。このままじゃ風邪をひいてしまいますから……
敦: でも、まだ答えが出てないんです……
茉奈:……佐々木さんが中に入らないのであれば、私も今、ここで傘を捨てます
敦:え?
茉奈:いいですか?
敦:……それは違くないですか? これは俺の問題です
茉奈:でも、悩んでいたのは私のせいですよね? であれば、私も一緒に頭を冷やさせてください
敦:……それはずるいです
茉奈:(優しく微笑んで)忘れたんですか? 私はずるい人ですよ?
敦:……
茉奈:佐々木さん?
敦:……入ります
茉奈:ありがとうございます
●学校・放課後・演劇部部室
濡れた制服からジャージに着替え、電気ストーブに当たる敦。
茉奈:寒くないですか?
敦:大丈夫です。でも、大丈夫なんですか?
茉奈:え?
敦:ジャージとかストーブとか……
茉奈:あぁ、ジャージは歴代の先輩方が寄付だって勝手に置いていったものなので気にしないでください。あ、ちゃんと洗ってありますから!
敦:それは心配してないです
茉奈:あ……
敦:それにしても、この時期にストーブなんてあるんですね
茉奈:あぁ、それはうちの顧問の私物なんです。梅雨時期とかちょっと寒いだけでも腰が痛いとかなんとかで。部室で作業しなきゃいけない時によく使ってます。小型にしては結構ちゃんと温かいんですよ
敦:……確かに
茉奈:……
敦:……
茉奈:あ、あの!
敦:は、はい……
茉奈:佐々木さんが悩んでいたのってやっぱり私のせいですよね?
敦:……違います
茉奈:でも!
敦:これは、俺の問題なんです
茉奈:佐々木さん……
敦:……退屈な話でしかないと思いますが、聞いてもらえますか?
茉奈:え?
敦:ただの昔話です。臆病で馬鹿な男の話です
茉奈:……私が聞いてもいいのであれば……
敦:……俺が物語を完結させることが出来ないのはお話しましたよね?
茉奈:はい
敦:それ、少しだけ意味が違うんです……
茉奈:え?
敦:完結させられないじゃないんです。結末が書けないんです。結末の絵が頭の中にあっても、文字に、言葉にすることが出来ない
茉奈:それは、どういうことですか?
敦:……怖いんですよ……
茉奈:怖い?
敦:物語が出来上がってしまったら、消えてしまうから
茉奈:消える?
敦:……昔、本が大好きな男の子がいました。その男の子は自分で本を読むのも好きでしたが、それよりも好きなのはお母さんに絵本を読んでもらうことでした
茉奈:……
敦:男の子はお父さんには遊んでもらったことも、話を聞いてもらったこともありませんでしたが、お母さんがいれば男の子は幸せでした。ある日、近所の小さい図書館にある絵本を全部読んだ男の子は考えました。新しい物語が読みたい。でも、図書館にはもうない。ならば、自分で作ればいいのではないか
茉奈:……
敦:男の子は見様見真似で絵本を作りました。それは、もう夢中で。そして、ある日、自分だけの物語を完成させました。その夜、男の子は大好きなお母さんに自分の本を読んでもらい、幸せの中眠りにつきました。翌日、男の子のお母さんはいなくなっていました
茉奈:っ!
敦:前日に男の子が書き上げた自作の絵本と共に
茉奈:……それって……
敦:(力なく笑って)物語の結末を書くのが怖くなりました。何度もペンを握ってノートに物語を綴っても、最後のシーンに行くにつれて、頭の中が黒い靄に覆われて、何の言葉も浮かばなくなって。それでも文字を綴ろうとすれば、手が震えて、自分の手なのにいうことをきかなくて…
茉奈:……佐々木さん……
敦:だから、書けないんです。物語の結末が……
茉奈:……
敦:今まではそれで諦めてました。それでもいいって……でも、逃げていた自分が腹立たしい
茉奈:佐々木さん?
敦:末田さん
茉奈:はい
敦:貴女は俺の物語を好きだと言ってくれました。未完の物語を。そして、高校までと決めている演劇の舞台で演じたいと言ってくれた。俺はそれに応えたいんです。物語を書き上げたい
茉奈:佐々木さん…
敦:でも、ダメなんです……手が、頭が、心が、いうことをきいてくれない……
茉奈:……
敦:…… 書き上げたいのに……
茉奈:っ!(敦の前に立つ)
敦:末田さん?
茉奈:私は、佐々木さんのその気持ちだけで嬉しいです!
敦:え?
茉奈:私のためにそこまで考えてくださっただけで、嬉しいです。だから、もう……
敦:ダメです!
茉奈:え?
敦:ダメなんです。俺は貴女の芝居が観たい。俺の書いた世界を、この世のものにしてくれる貴女が観たいと、俺が思ってしまったんです
茉奈:佐々木さん……でも……
敦:……だから、俺に力を貸してくれませんか?
茉奈:え?
敦:俺は今回の企画の脚本を必ず書き上げます。だから、絶対にそれを演じてください。物語の終わりは何かを失うものなんかじゃないって教えてください
茉奈:……
敦:俺の我儘なのは重々承知です。そのために貴女の貴重な時間を奪ってしまうかもしれないことも分かっています。でも、俺はもう後悔したくない。だから……
茉奈:わかりました
敦:……末田さん……
茉奈:私で力になれることなら、いくらでも! でも、二つ約束してください
敦:なんですか?
茉奈:一つは絶対に無理はしないこと
敦:……
茉奈:今、少しお話を聞かせていただいて、私で出来ることなら佐々木さんのお力になりたいと思いました。でも、無理をして自分で自分の心に新しい傷を作ってほしくはないんです
敦:……わかりました
茉奈:ありがとうございます
敦:もう一つは?
茉奈:私を頼ってください
敦:え?
茉奈:佐々木さん一人が頑張る必要なんてないんです。これは私の我儘でもあるんですから
敦:でも……
茉奈:私にもお手伝いさせてください。私に何が出来るかなんてわかりませんけど……
敦:はい
敦:(M)それから俺は新しいノートの新しいページにペンを走らせた
目指すは物語の終幕。消えることのない物語
いつもならば止まるはずの手も今は動いている
まるで、今まで止まっていた物語を書けない時間を取り返そうとするように……
不思議な感覚だ。物語が終わらないようにと考えていた頭が、今は終わりを目指し、それを欲している
後悔はしたくない。書き上げた後に待っている彼女の笑顔が見たい
その二つの想いが今の俺を突き動かしていた
敦:……出来た……
●学校・文化祭
演劇部の舞台発表終わりの体育館。
衣装のまま敦の元へと走って来る茉奈。
茉奈:佐々木さん!
敦:末田さん!
茉奈:観に来てくださってありがとうございました!
敦:当然です。俺がお願いしたんですから
茉奈:ありがとうございます。私の出来る精一杯で佐々木さんの世界を演じさせていただきました
敦:……
茉奈:佐々木さん?
敦:いや、感想を言いたかったんですが、どう表現したらいいのか分からなくて……
茉奈:……よかった……
敦:え?
茉奈:正直不安だったんです。ちゃんと佐々木さんの描きたかった世界を演じられていたのか……
敦:(遮って)素敵でした!
茉奈:え……
敦:俺が書いた世界がそこにあって、書いている俺も見えていなかった登場人物たちの一瞬一瞬の表情がそこにあって……
茉奈:(微笑む)
敦:好きです
茉奈:え?
敦:え? あっ! 違くて!
茉奈:あ、いえ、だ、大丈夫ですから!
敦:す、すみません!
茉奈:いえ!
敦:……
茉奈:……
敦:……えっと……
茉奈:佐々木さん!
敦:は、はい
茉奈:私もちょっとだけ考えてみようと思うんです
敦:え?
茉奈:お芝居のこと
敦:……
茉奈:佐々木さんと話していて、こうやって作品も作り上げることが出来て、私、思ったんです。今の私の選択は本当に後悔しない選択なのかって……
敦:……末田さん
茉奈:まだ、全然考えなんてまとまっていなし、何がいいかなんて全く分からないですけど、言い訳じゃなくてちゃんと納得できる理由でお芝居と向き合おうって……
敦:いいと思います
茉奈:はい!
敦:じゃあ、今度は俺に手伝わせてください
茉奈:え?
敦:末田さんが後悔しない選択を出来るように。いつでも話してください。俺で力になれるかなんてわからないですけど……
茉奈:ありがとうございます!
敦:っ!
茉奈:ん? 佐々木さん?
敦:な、何でもないです!
敦:(M)彼女のおかげで進みだした俺の止まった物語
これから次々と生まれていく物語は、どんな結末を迎えるのだろうか
―幕―
2021.08.18 ボイコネにて投稿
2023.04.06 加筆修正・HP投稿
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Special Thanks:風音万愛様、アツギア様