最近の録音物はつまらない
イマドキのLIVE盤以外の録音物はつまらない。
何と比べてつまらないかというと、スタジオでバンドが「せーの!」で全パート一緒に録っていた時代とか、ボーカルや演奏を編集するにしてもせいぜい録音テープの切り貼りでやっつけていたり、場合によっては編集もしないでそのままその時の録音を世に出していた頃のに比べるとつまらないということなので、今の世の中でも昔のままの録音で無編集のものなら面白いのだろうな。(少なくともメジャーにはあまりなさそうだが)
今はパートごとに別々に録音して重ねていくことが多いと思うし、歌でも楽器演奏でもタイミングやピッチの補正がいくらでも出来る。
なので、市販されている音源の多くが修正写真のように整っていて綺麗だけど面白くない。
古い録音物を聴くと、段々とドラマーさんなりベーシストさんの演奏が走っていって他のプレイヤーさん達がそれに乗っていっているのとか、オーケストラの演奏で毎回曲の同じ箇所で音を間違っているプレイヤーさんがいるのとか、シンガーさんの独特なピッチの揺れ感や声のうわずりとか、そのままに録音されている”人間らしさ”がなんとも魅力的で楽しい。生々しい。
なんでも整い過ぎると魅力が薄れるように思うのは私だけだろうか?
奇跡的に完璧に整っているものは、奇跡的だからこそ価値あるものであるべきだし、完璧ではないからこそ印象的だったり何度も聞きたくなるものもあると思う。
不自然に色彩を調整された写真、雑誌の表紙のシミ皺一つない俳優さんやモデルさんの写真など、今の世の中には妙な美しさが溢れかえっていて、それが当たり前になっていることがつまらないを通り越してなんだか怖いし嫌だ。
私自身はいわゆる”打ち込み”もするし生楽器を録りもするので、そんな風に感じるのかも知れない。
今の世の中においては、メジャーよりインディーズのプロアマの音源の方が遥かに面白いし、とりわけナチュラルな録音物は魅力的だと思うことが多いな〜。
AIボーカルやAIアレンジやAIマスタリングもアリだと思うし「こういう時代なんだねえ」と感心するけれど、まず心に残らない。「上手に形にしましたね」以外のどういう感想も浮かんでこない。創作者が”上手に作ること”を目指しているならそれは正解だ。