Ameba Ownd

アプリで簡単、無料ホームページ作成

祝★1周年 対談「ポラン堂オープンまで」

2023.04.15 22:00

 こんにちは。

 2022年4月17日、ポラン堂古書店が夙川グリーンタウンにオープンしました。

 そう、明日で一周年でございます。

 今回のブログは特別企画ということで、先生(ポラン堂店主)をお呼びした対談企画となっております。

 ポラン堂古書店オープンに際しまして、ポラン堂を応援したいという一心でひとりでに盛り上がってできた当ブログ。サポーターズと勝手に名付けた友人たちに幾度となく協力をいただきましたが、店主がゲストというのは初めてでございます。

 テーマは先生と、私やサポーターズたちが青春していたあのポラン堂古書店オープンまでの日々、……身内ネタめいていますけれど、古本屋やそうしたセレクトショップができるまでに興味をお持ちの方、ポラン堂古書店に興味を抱いてくださる方、なんとなくお暇で気が向いた方、どうぞお付き合いくだされば幸いです。





「ポラン堂古書店」

 阪急夙川駅直結の夙川グリーンタウン2階にある古本屋さん。4/17で一周年。


「先生」

 ポラン堂古書店の店主。宮沢賢治学会に所属。ブログ筆者とは大学の先生と学生の関係で、サポーターズも同様の為このブログでは「先生」と呼んでおります。下記対談では「先生」。


「あひる」

 ブログ筆者。下記対談では「あ」。先生から古本屋案を最初に聞いた人。




 ある日の閉店後、グリーンタウン地下の「さんれも」さんでパスタやオムライスを食べ、店に戻り、お茶を入れ、コンビニのエクレアを食べながらゆったりした感じで対談収録。


 話は、古本屋をつくりたいという話が出た頃に遡ります。

 現役で大学の講師でもある先生ですが、当時は勤めていた一部の大学の任期5年が終わろうとしていた頃でした。次をどうするのか周りに急かされるのだという雑談めいた話の中で、古本屋という案が先生から口にされたのでした。


あ:梅田のカフェで話が具体的に出て、盛り上がったのが21年3月
先生:たぶんそう、考えようってなったときにその選択肢もありやなって楽しいと思うことをやってみたいな、になってそれが本屋になっていったっていうか。
 手元に残った大量の本を使って、プレゼン力もそこそこあります、仲間がいます、よし、みたいな

あ:元々我々の界隈で先生のおすすめで本を読むっていうルートがこう、すごく固まっていて。先生の勧める力っていうのが、異様な力持ってるじゃないですか

先生:異様な力(笑)

あ:いやほんとにもう、ただたくさん本を読んでいる人が勧めたらいいんだみたいな話では全然なくて。先生の毎回持ってるこれが面白かったっていう熱量と

先生:それめっちゃ言われる(笑)

あ:ただただ技術的な切り取るところ。ある映画でも「輪転機を回しているおじさんが格好良かった」って勧められて、じゃあ観ますってなったこともあって。

 そういう切り取り方の巧さとか技術的な話の巧さとか、もっと具体的に評価されてほしい

先生:いや今(あひるさんに)評価されている……(笑)

あ:熱がすごいだけじゃ、私はたぶん読まないので、惹きつける切り取り力みたいなのがバーンとあって

先生:切り取りってそうか、ありがたいね

あ:ある意味それは、専門にたくさん読んでいる人たち向けのものではなくて、いろんな学生たちとか広い人たちに向けてあったらいいなって

先生:ありがたい。そういうふうに言ってもらえたらああよかったって思うし

 そっかなんか熱量が勝っているイメージやった

あ:(笑)

先生:熱いですって、(学生の授業アンケートに)めっちゃ書かれるから。

 でもそれはあった受けてくれた学生で、本を勧めるところが楽しかった、他では受けたことがなかったみたいな話はきいてたのでそこは自信もっていいんやなって。それがいかせる仕事っていうとこれだよね

あ:コミュニケーションスペースみたいな話も出てましたよね

先生:その気持ちは大きかったと思う。実際に(ポラン堂は)コミュニケーションスペースにはなって、読書友だちと呼べる人は増えた

あ:思い出しましたけど、たぶん需要ありますよみたいなこと(古本屋案が最初に出た時に)すごい言ってた気がします

先生:言ってた言ってた

あ:まぁ3月の話はこんな雑談的なもので終わって、本は一旦保管して、いつかやれたらいいねみたいな

先生:でも本屋やるのはいいよねって話になったのは確かで。

 雑談的、ではありましたが、その場で店名が決まるほどの盛り上がりでした。

 「ポラン堂古書店」の名前はオープン一年前には決まっておりました。




 それから夏まで大きな動きはなく、日々は過ぎるのですが、先生は古本屋案をご友人に話したことをきっかけに、女性の起業の相談にものってくれる不動産屋さんを紹介されました。

 やがて先生は、理想の空き店舗に出会うことの難しさに直面します。しかしそれが、本気で考えなければならない、という切り替えに繋がったのだと仰られます。

 そして9月、夙川グリーンタウンの内見へ……

 ひとめぼれだった、と先生は仰います。

あ:(内見した)その日にほぼ決まったみたいなイメージです(実際に仮押さえ)
先生:これ以上ないなって思った。絶対広くないと嫌やったし、絵本置きたかったし、ベビーカーが回れないと嫌だったし。できるんだよね、こんな広いところなかなかないよ
あ:そうですよね
先生:永遠にここでできるかはわからないけど、行けるとこまでここでやりたい




 店舗が決まると、秋から年末にかけてに現ポラン堂サポーターズに共有され、おきたい本や、作りたいコーナーや棚の話で毎日盛り上がりました。

先生:(本屋紹介や本屋作りの本を)買って、これで考えようみたいな
あ:そんなに本を見て考えたことはあまりなかったですね、最終的には
先生:関係なかった(笑)
あ:導線とかね(笑)
先生:読んでみたけど関係なかった(笑)
あ:たぶん初期の先生のイメージのままなんですよね
先生:そうそう
あ:一番真ん中に机があって、机には本をおいていて、で、周りに棚がある。ぐるっと回れるようにする、みたいな。
先生:あーでもIKEAのカラックス(写真参照)に出会うまではこのイメージはない
あ:実際にIKEAに行く前にコーナーを作る案はありましたよね
先生:探してたんかな、あたりはつけてた
あ:(2021年)発足当時のグループラインに「居留守文庫」さんの話題があって
先生:ああいうふうにして、それぞれでコーナー作って
(「居留守文庫」さんや「風文庫」さんを参考にしていました)




 2022年春オープンを目指し、2022年年明けからは本格的に動き始めます。

 何より前進となったのが、ロゴ、ポスター、ショップカードの作成です。

 かねてから頼りにしたいと思っていたサポーターズの一人(当ブログ初登場!)のさきたまさんによって、それらは2月完成しました。1月にたった一回の会議があり、コンセプトやフォント、紙の希望などさきたまさんから先生へヒアリングが行われ、1か月後それらが完成しているという、先生もサポーターズも驚いた魔法のような出来事でした。

先生:(功績が)大きいよ、ほんまに。ロゴやポスター見て褒めないお客様いないもん
あ:ずっと評判がいいですね
先生:有難すぎる

あ:ですね

先生:ロゴとポスター、今はなくなってしまったけれど活版印刷のショップカードも


 後に、看板やエプロンとしても活躍します。




 一番多くの人たちが関わり、振り返ってもたくさんの思い出に溢れているのが大工仕事です。1月にIKEAに家具の選定に行き、そこで気に入った家具たちでポラン堂は完成へ近づいていきます。

先生:うちほとんどIKEAでできてる(笑)
あ:ほんとに
先生:てことは誰かが作ってくれている
あ:中央の机もレジ台も
先生:中央の机はあさぎさんとさきたまさん
あ:(中央の机作りは)その場にいましたよ、見てたもん(笑)
先生:私も(笑)
あ:二人がネジ回らんみたいなとこ割って入って、回らんわっていうの一回やったけど
先生:私たち非力(笑)

 一年大活躍した中央机。

 奥のレジ台については梅子さんとあひる製作(梅子さん8割)。




 こうしてオープンの日は迫ります。

 オープン10分前までみんなで奮闘した値札スリップ合戦(説明が長いので省略)を経て、なんとかオープンの相成ったのでした。

(くす玉ははねずあかねさん作成。今回の対談の録音もありがとう)




 対談も佳境にさしかかり、最後、先生は「一番大きかったこと」を話し始めます。

先生:いろんな条件が重ならないとできなかったと思うけど、一番言われるのは手伝ってくれる人がこんなにいるなんてすごいねってことで
あ:(笑)
先生:手伝うとかいうレベルじゃないから、一緒にやってくれる人がいるっていう
あ:オープン前を知っているっていうのが大きいですよね
先生:いや、そんなレベルの話ではない(笑)
あ:あの棚は私が作ったみたいなものがみんなに何かしらあるっていう
先生:正直なところ、手伝いなしにこの店は絶対にできていないから
あ:まぁ、ロゴ、デザインも含めてですね
先生:いや、ぜんぶぜんぶ、ぜんぶ含めて




 オープン前、準備段階から事あるごとに先生からのこうした感謝の声を賜るのですけれど、私からすれば、こんなに楽しいことに巻き込んでいただけたこと、本当に、現在進行形で素晴らしい体験でしかなく、どんなにお礼をお伝えしても全く足りないほどなのです。

 先生という大きな存在がいなければ、根っからのコミュ症な私が気の合う素敵な仲間たちとこうして何年も一緒に居続けられたかどうかも怪しいところですし、今の生活がこれほど豊かでうるおいに満ちたものにはなっていなかったはずです。


 今回の対談も、日ごろの尽きないおしゃべりの延長のようなかたちで、あまり関係のない雑談も多く、あっというまに時間が過ぎてしまいました。懐かしみながらとても楽しんで収録しましたが、どなたかにとって実のある記事となったかどうかは、あまり自信がありません。

 楽しいことをやりたいと思った先生が、楽しいことをやりたいと思っていた私に話してくれて、ポラン堂古書店は始まりました。口にすることは大事、とこの2年にかけて、先生は何度も仰られますが、本当にその通りだと思います。

 ポラン堂古書店は本日も営業しています。オープン後にもお客様との素敵なエピソードがたくさんあり、課題もあり、オープン前に増して盛沢山な日々がポラン堂古書店を彩っています。ぜひ、皆さまお越しいただければ幸いでございます。


 そしてブログをご覧いただいている方、いつだって協力を惜しまない姿勢でいて下さる先生、ポラン堂サポーターズと勝手に名付けた友人のみんな、一年間ありがとうございました。

 また、今後もよろしくお願いします。

 一周年企画の最後は、オープンの日、あさぎさんの発案で先生にお贈りした美しい紫の薔薇の花束の写真で締めたいと思います。それではまた。