シンスプリント(脛の内側の痛み)
シンスプリントについての講習に参加したので忘れないように。
病態別の考え方
【軟部組織性】
■復帰期間 : 平均2週間
■疼痛 : 主に踏切
■圧痛 : 脛骨内側縁から後方の筋群
■X線 : 異常初見なし
■MRI : 筋、骨膜の異常信号
■治療 : 保存療法/スポーツ活動制限なし/長趾屈筋などのストレッチ
【骨性】
■復帰期間 : 平均2、3ヶ月
■疼痛 : 主に着地
■圧痛 : 脛骨内側縁から内側面
■X線 : ほぼ異常初見なし(骨膜反応を認めることもある)
■MRI : 骨髄の異常信号(広義の疲労骨折)
■治療 : 保存療法/スポーツ活動休止/患部外トレーニング
※骨吸収が上回っている期間(約1ヶ月、女性は月経により少し長くなることもある)はスポーツ活動休止しても症状は軽減せず増悪傾向し、骨形成中に徐々に寛解する)
運動療法
【軟部組織性】
■背屈可動域は必須
■立方骨を挙上させながら距骨の後方移動
■長趾屈筋、長母趾屈筋の滑走改善→エクササイズ、ストレッチ
■ミッドサポート(乗り切り)からテイクオフ(離地)まで足趾屈曲に頼らない
【骨性】
■骨吸収期間は原則患部外トレーニング
■立方骨の下にタオルを置きスクワット
■小趾外転筋のエクササイズ
■リカバリー期の安定のための大臀筋(股関節伸展)働かせながら股関節内・外旋.
■リカバリー期の安定のためのシングルレッグRDL
→半膜様筋のエクササイズ
●ランニング障害の中での発生率
3位 足底筋膜炎4.5〜10%
2位 アキレス腱炎9〜10%
1位 シンスプリント13〜20%
●未だ発生メカニクスは明確には解明されていない.
●足部と脛骨のねじれにより脛骨内側への圧応力の増加
●女性に多いと言われているが文献によってまちまちである.
●軟部組織性(骨膜や筋肉)の要素と骨性の要素があり、複数の病態があるため症候群として捉えることが重要.
●疼痛部位は脛骨内側縁中央から遠位1/3の範囲.
●疼痛動作
離地(踏切)足趾伸展(ウィンドラス機構)
→長母趾屈筋、長趾屈筋が関与する可能性
●深下腿筋間中隔は長趾屈筋(FDL)を取り巻いて脛骨内側縁(骨膜)へと移行
→脛骨内側縁骨膜へのストレス
●疼痛部位周辺の筋肉
長趾屈筋(FDL)付着率は、シンスプリント既往歴有無に関わらず男女ともに100%.
ヒラメ筋(SOL)付着率は、男:シンスプリント既往歴有り14.3% 既往歴無し13.9%、女:シンスプリント既往歴有り50% 既往歴無し47.1%.
よって長母趾屈筋は関与する可能性があるが、ヒラメ筋は関与しないのではないかと考えられる.
●筋硬度を計測すると後脛骨筋と長趾屈筋が優位に高い.しかし疼痛部位に後脛骨筋は付着しないため関与していないと考えられる.
●最大底屈位にて足趾屈曲できない
→長母趾屈筋、長趾屈筋の機能低下
●踵骨が回内して舟状骨降下→軟部組織性の病態
●立方骨降下→着地の際に脛骨内側に圧応力→骨要素が大きい