ノーマルを把握する
当店、カスタム(特にSR400/500)を得意としている節がありますが、
それにはまず大切なこととして、基準を設けると言う事です。
では、基準とはいったい何かと言いますと
メーカー出荷時のいわゆる「ノーマル」な状態が基準となります。
付け加えるのであれば、消耗品が消耗していない「新車」が望ましい。
例えば、すり減ったタイヤを装着していたとして、SPタイヤへ交換してもその恩恵を十分に感じることができるでしょうか?
感じることが出来たとしても、標準状態を知らなければ一体どの程度アップデートできたかを感じれるかは「?」となります。
減ったブレーキパッドで、止まらないから、止まる社外品へ交換したいと感じたとしても
本当に標準状態のブレーキは止まらないのでしょうか?
つまりどれも、基準がはっきりしていないと、どこを改善すべきなのか?と見失い
ともすれば改悪となってしまうこともあります。
個人的な話ですが、最近FAZERを購入しました。
2012年式の国内仕様です。
輸出仕様の方が馬力も出ているし、きっと良いんだろうなとは思っていますが
別に国内仕様であったとしても、乗りにくいわけではないし遅くもありません。
速い遅いと言うよりは乗っていて気持ち良いのか良くないのかの方が大事だと私は考えます。
例えば、コーナーへのアプローチから立ち上がりまで、乗って行ける「脚」なのか
スロットルワークに対して、疲れてしまうような操作系の重さはないか
ブレーキングで、キチンとマスターシリンダーとキャリパーはレバー入力とリンクしているのか
これらは全てメンテナンスで改善できる点であり、もしそれ以上の能力を求めたいのであれば社外品のハイパフォーマンスパーツを用いればよいと考えます。
上でも記しました通り、2012年式です。現在は2023年ですから、11年前のモデルです。
距離こそ走っておりませんので、消耗品の類に劣化は見られませんが
それでも11年間工場出荷時から交換されていない部品達が劣化していないと言い切れません。
手始めにエンジンオイルとオイルフィルターを交換。
ここは流石に一度も換えてないと言う事はありえずですが、
どこのどんなオイルが入っているかわからない状態では、シフトフィールや、エンジンフィール
また、クラッチフィールなどを評価することはできませんので、交換します。
ここで用いたのは当店でオススメしているLUBIRDではなく
YAMALUBEです。
何故かと言いますと、工場出荷状態ではどんなフィーリングなのかを考察したいからで
この車輛の開発者の方々がどんなものをこの車輛を設計するときに考えていたのか
また、どこを優先して、どこを切り捨てたのかなどを考えたいのが理由です。
そこを理解したうえで改善できそうな点を社外オイルなどでフィーリングを変えたりとしながら自分好みに合わせて行きたいと思ってます。
よくネットで見られる意見として、シフトフィールの悪さがこの車輛は言われております。
ご多分に漏れず私の車輛も温間時にクラッチフィールの悪さが出ております。
が、油温も油圧もデータとして取ってないので細かい評価はできませんが、水温表示温度で
100℃付近をいったりきたりするような場面でのみちょっとガサツさが出ますがそれ以下の温度帯では、普通のフィーリングです。
これがYAMALUBEのオイルの特性なのかどうかは判断できませんが、YAMALUBEは熱に強い印象を受けます。
PAOベースのオイルの様な印象です。
もうちょっと使い込んでみます。
チェーンやスプロケットなどの駆動系が11年間もそのままでは
チェーンのOリングの劣化もあるでしょうし、キンクこそ起こっていない物のそれは目視レベルの話でピンの減りもあります。
スプロケットも同様。
なのでここも新品へ交換します。
レシオやチェーンサイズはそのままです。
520へダウンコンバートすればフリクションを減らすこともできましょうが寿命が縮むことと
まずはノーマル状態のレシオで評価することが大切。
サスペンションもフロントフォークをオーバーホールし、11年前のオイルから新品へ。
劣化はしておりませんでしたが、正しい評価と基準を作るために大事な事。
リンクアームもオーバーホールを行いたいのですが、とりあえずはここまで。
これでどんな性格のバイクなのかを見定めたいと思います。
本当はミシュランのタイヤだから、ダンロップへ換えたいんですけどね。
当店では、ノーマルの状態を把握しているからこそ、皆さんにもより良い改善点をご提案できると考えております。
SRもしかりです。