医師は、患者の身体情報をわかりやすく伝えるトランスレーター。...②
IVF詠田クリニック院長 永田由美先生のお話
2018年2月発行『i-wish ママになりたい 不妊治療バイブル』
培養室での役割はとても大事です。
見える培養室の設計により、患者さんへの理解が深まる話をしましたが、実際には培養室の仕事はたくさんあります。
ご夫婦の大事な卵子や精子、胚をお預かりし、卵子と精子からは受精の作業を行って胚をつくり育て、お母さんのお腹に戻すまで管理をします。
凍結保存を行うにしてもそれはやがて赤ちゃんへと育つ可能性のある大事な命のもとですから、それら役割の意味大変大きいのです。
スタッフのコミュニケーションが大切! 看護職も打合せを大切に。
不妊治療は一般の病気とは違い、治療結果を感じとったり、見えることではありません。治療によって妊娠し、出産につながればよいのですが、それは全員に約束できるものではありません。
看護師は、初診から患者さんに接し、医師の診療補助を行い、注射などの処置をしたり処方箋でお薬を渡し説明したり、精神的なケアの必要も多く、打合せも欠かせません。
医師間のミーティングは、クリニックと治療を進展させる。
不妊治療は、原因がすべて分かるということではありません。そして原因がほぼ分かっているのに、その治療から結果が伴わないこともあります。
そのなかで最善の結果を出すためには、何が必要なのか、医師による検討の場も絶えず必要になってきます。
また、患者さんごとの症例に合わせたミーティングも行い、今後の症例に活かしていきます。
ご夫婦の協力が肝心。不妊治療には男性の役割も大切。
最近、不妊の原因の約半分が男性側にあるといわれ、心配もありますが、不妊治療で妊娠に至った夫婦へのアンケートには、夫の協力があったと回答した夫婦ほど治療期間が短かったという報告もあります。
妊娠には、卵子と精子が関係してくるのですから当たり前のことですが、男性は女性よりも妊娠への理解や興味に乏しいところもありますから、そこは努力して欲しいところです。
はじまりは受付の挨拶から
クリニックへの問い合わせや初診などで、患者さんが最初に接するのは受付です。
つまり受付業務は、クリニックを代表して初めに患者さんに対応するスタッフです。ですから患者さんにとって失礼がないように、丁寧に明るく好印象で接するよう務めています。
診療の場ですから、事務的であっても、テキパキと心地よく対応することが安心につながることもあります。
また、患者さんに応対していて、今日の患者さんの様子はいかがかしら? と、気になることもあります。直接お声をかけるシーンばかりではありませんが、患者さんの様子や印象から心までを気遣えることができれば、そこから診療に役立つことがあるのではないかと考えています。
私たちは、院長のもと、受付であれ小さなトランスレーターになれればいいと思っています。
医師は、患者の身体情報をわかりやすく伝えるトランスレーター。...①