つつじから出でてつつじの清水哉 一茶
2023.04.19 21:00
先日、区役所に行ってまいりました。
多忙なときほど、野暮用が重なります。
「世捨て人」を自称しているのですが、
あいかわらず日々の生活に忙殺されています。
世の中ままならないものです。
こうした慌ただしく忙しいときこそ、まわりに目を向けたほうがいいですね。
どんなに忙しくてまわりが見えていないときでも、
季語の宇宙は無限の姿でわたしたちを包んでくれています。
というわけで、
天気が良かったので、あえて歩いて行きました。
道すがら、横十間川親水公園。
近所のなんでもない公園です。
何年前になるでしょうか。
ここで「古志」鍛錬句会を行い、吟行で和船に乗りました。
すっかり葉桜となり、いまは躑躅(つつじ)の盛りです。
つつじから出でてつつじの清水哉
みちのくのつつじかざして一夜鮓
木瓜つつじ下手な春程咲にけり
いずれも一茶の句。
一句目は長年の遺産相続争いが決着した年、
文化十年(1813)51歳の作。
この時期、一茶は親族との遺産交渉のため、
そして15歳で家を追い出された無念を晴らすため、
江戸と信濃を徒歩でなんども往復していました。
一茶の苦労に比べれば、私の忙しさなど芥子粒以下です。
ところで、「つつじ」でぱっと思い浮かぶ名句がありません。
和歌以来詠まれている古い花なのですが。
つつじの名句、おすすめの句、ご存じの方は教えてください。
鳥交る春。
鷺(サギ)の楽園です。
樹上の白いかたまりも鷺です。全部で何羽いるかわかりますか?
7、8羽はいるはずです。
菖蒲田。
花はまだありませんが、
生命を感じさせます。
コロナ禍のまっ只なかの頃は、
知らない内に春が終わっていたという年もありました。
今年は春に取り残されずに済みました。