第17章 01
所変わって、とある岩山の麓に着陸している3隻。
3隻の採掘メンバー達の目の前には、淡く白く光る壁が立ちはだかっていて、各船の怪力メンバー達がその壁に向かってツルハシを振るっている。
陸はツルハシの切っ先を白い壁にガンと叩きつけて「…ダメだ、やっぱ滑る…。」と言うと「石のエネルギーに合わせるってどうやるんだ…。ターナーさん出来る?」と隣でツルハシを持って壁を叩いているターナーの方を見る。
ターナー、ツルハシを降ろして溜息をつき「わっからーん。何だこの石は…。」
陸「爆破スキルのメンバーも、お手上げだし…。」と言って「どうします満監督?」とターナーの隣でツルハシを振るっている満に声を掛ける。
満「ううむ、削れんな…。こうなったら筋力勝負と行きたい所だが…。」と言い自分の隣のアッシュを見る。
アッシュは「ならば!」と言ってツルハシを置くと、壁にピッタリと身体をつけて抱き付き「何がどうでも感じるしかー!愛してるぜ源泉石ー!」
満「…。」
その隣の進一も両手とおでこを壁に付けて「感じる…感じる!冷たさを感じる…。」
ターナー「石だしな。」
アッシュ「頼む源泉石、何かを教えてくれー!」
満「何かと言われても源泉石も困るだろう!もっと具体的に聞かねば!」
アッシュ「…あそこの人がどうやって採ってるのか教えてくれぇ!」と叫んで、やや離れた所の石壁をツルハシでガンガン崩して大量の源泉石の塊を産出しているサイタンの方を見る。
そのサイタンの後ろで、ウィンザー達レッドメンバーが崩した源泉石の塊をスコップでコンテナに詰めている。
ウィンザー「監督、一体どういう力の使い方してんですか!」
サイタン「どうもこうもねぇ!逆におめーら何で出来ねぇんだよ!」
ウィンザー「監督がおかしいんです!何で出来るんですか!」
サイタン、めんどくさそうに「知るか!フィーリングだ!気分だ、雰囲気だ、感じろ!何となくだ!」
その言葉に思わず輪太やカイトがクスクス笑う。
クラリセージ「全然わかんねー…。」
満、そんなサイタンを見ながら「…あれは一体どういう…。」
アッシュ「どっか壊れてんじゃね?」
陸「あれこそ正に野生の勘というものでは…。」
満、大きく頷いて「確かに。」と言うと「仕方がない、我々は筋力勝負で行こう。」
陸「んでも筋力でやると、変な割れ方しますよね…。でも採れないよりはいいかぁ…。」
一方、アンバーは死然雲海の濃霧の中を飛んでいた。
ブリッジではマリアが操縦席のバイオレットに「このまま真っ直ぐ!あんまり木も生えてないし、安心してぶっ飛ばして!」
バイオレット、喜々として「おっけぇーい!全速力!」
マリア「黒船とどっちが先に現場に着くか…!」と言いつつ左手に持っていたタブレットに描いた図をブリッジの一同に見せつつ「谷の丁度真ん中に柱が生えてて、二隻が入り口と出口から同じとこ目指すなんてー!探知妨害も出来ないし!」
剣菱「正面衝突したら困るしな。」
穣、笑いつつ「黒船とアンバーが正面衝突で自滅ってアホ過ぎて笑えねぇ!」
マリア「なんで同じタイミングで向こうから来るのよー!上総君!」
穣「絶対向こうも同じ事叫んでる!」
剣菱「レーダーに黒船が出たら減速してくれよバイオレットさん。安全第一だ。」
バイオレット「はい!航空法は遵守します!」
穣「そこからが勝負なんだよなぁ…。考える事は向こうも同じだろうし、黒船は風使いが2人、ちょっと分が悪いな…。バリアでぶっ飛ばしちゃおうかなー!」
剣菱「お手柔らかに。」
穣「んじゃそろそろ採掘準備室に行きます。」
真っ白な視界ゼロの雲海の中を飛ぶアンバーは少しずつ速度を緩めると、やがて船底の採掘口が開いて透と穣が下を覗き込む。
透「真っ白!なーんにも見えない!」と言うと耳に着けたインカムに「マリアさん、進路決まった?」
船内放送スピーカーからマリアの声が返って来る『今、決まったけど黒船に有利になっちゃった!…航空法でギリギリすれ違える船間距離を取るルートだから仕方ないけど…。とりあえず、黒船が柱の真上、アンバーが柱の9時側ですれ違います。』
穣「ルートが右に寄っちまったか。」
そこへ剣菱の声で『向こうはアンバーが右に寄らざるを得ないルートを先読みしつつ飛んで来た。こりゃネイビーさんにやられたな。まぁあの船長の案かもしれないが!あと3分で柱、黒船とすれ違う。高度は全く一緒。』
穣は透を見て「透、降りて雲海を晴らした瞬間にバリアするからな。」
透「オッケー。」
穣「あとはもう運次第、どこで降りるかマリアさんの直感頼み!…泣いても笑っても人生奇想天外ってな!」
マリア『はい!』
若干緊張の面持ちで採掘口の下の雲海を見る透、楽し気に笑みを浮かべつつマリアの合図を待つ穣、そんな2人を採掘メンバー達がワクワクの面持ちで見守っている。
暫く待っているとマリアが『そろそろ行きます、降りたら柱10時、3、2、1、GO!』
と同時に穣と透が採掘口から落ちつつ透はバッと雲海の霧を晴らすが、全ては晴れず薄曇りになる。アンバーの左斜め前方に背の高い源泉石柱のクラスターのような塊と、黒船の船体がぼんやり見える。
穣はそれを視認した瞬間「ブッ飛べぇぇぇぇ!」という絶叫と共にバン!とバリアを撃ち出すように張って透を柱方向に思いっきり弾き飛ばすと同時に透も風を集めて加速を強めてあっという間に源泉石柱の真上に達するが、同時に黒船が柱の真上に到達し、丁度船底の採掘口から飛び降りたメリッサと夏樹と、透が鉢合わせする形になる。
風使い3人「!」驚く
メリッサ「ちょっ…!」
透は落下速度を速めて源泉石柱に触れつつ地面に着地すると同時にメリッサと夏樹も着地する。
夏樹、透を指差して「なんで、嘘だろどうやってー!」
透ニコニコ笑って「すんまっせーん!穣のバリアで弾かれてブッ飛んできました!」と言うとインカムに「船長、作戦成功です、採掘権ゲットしました!」
石柱上空ですれ違い、そのまま飛び去った二隻の採掘船は、それぞれ少し行った所で停止すると、その場で方向転換を始める。
夏樹、皮肉な笑みを浮かべて「バリアで飛んで来るとは…。」と言うと、耳に着けたインカムに「聞こえてますか、船長…。アンバーに負けちゃいました…。」
メリッサ「真上取ったから、採掘権バトル勝ったと思ったのにー!」と空に向かって叫ぶ。
そこへ穣がやって来ると「ハッハッハッ!バリアラーをナメちゃいけませんな!採掘権は頂いたぜ!」
メリッサ「タイミングが神過ぎる…。だって視界ゼロだったのよ、バリアで弾いて私達とドンピシャって一体?」
透「それは俺も驚いたー!マリアさんの直感が神技だったんだよ!」
メリッサ「直感?」
穣「うむ!」
夏樹「勘かよ…。それ聞いたら上総君が泣くな…。頑張ってたから…。あれっ?」と周囲を見回す。
気付くといつの間にか一同の周りに妖精達が集ってきている。
夏樹「…なんか妖精が集まって来たぞ…?」
メリッサ「これはもしかして、採掘権の審査?」
透「え!俺ちゃんと、先に触ったよ!」
メリッサ「バリアで人をぶっ飛ばすのは禁止だとか!」
穣「そんなー!」
方向転換を終えた二隻は再び石柱の所へ戻って来ると、石柱を挟んで向き合うように空いている場所に着陸する。
各船から採掘メンバー達が降りて来て、周囲の妖精達を怪訝そうに見回す。
悠斗「うぉ…。妖精様の大軍が!」
ジェッソ「もしかして採っちゃダメとかいう事か…?」
マゼンタ「えー!遊んで欲しいんだよ、きっと!」と言って足元の一匹を抱え上げると「ん?」
ジェッソも「ん?」と足元の妖精を見る。
透「なんか言ってる。…ヌシ?」
メリッサ「ヌシって言ってる!」
夏樹「皆、ヌシって…あっ、雲海の霧が」と言って雲海を払おうとした途端、妖精が夏樹に体当たりを始める。
透も妖精に体当たりを食らって「なんか、雲海を払うなって!」
夏樹は自分にポコポコ体当たりする妖精をなだめつつ「わかったわかった何もしないよ!」
マゼンタ「ヌシ…?」
穣「…護が言ってたデカイ妖精?」
一瞬、辺りが濃霧に包まれて真っ白になるが、すぐに視界が戻って来る。そして雲海の霧が晴れると同時に…。
穣が「…!」無言で、とある方向を指差す。
それにつられて透や、他のメンバーも、呆然とした顔で無言で穣と同じ方向を指差す。
そこには、人の背丈ほどの大きな、白くて丸い妖精が鎮座していた。
一同が、まるで魅入られたかのようにボーっとヌシを見ていると、ヌシはゆっくりと立ち上がってノシノシと穣の所へ歩いて来る。
穣「…な、何か…?」
ヌシは穣の左隣に来ると、隣に座って大きな長い耳で穣を抱くように自分の傍に寄せる。
穣、困ったような笑顔になって「凄いフワフワ…。」と言い自分も左腕でヌシの背中を抱くと、ふとヌシの顔を見て「はい、何でしょう?」
ヌシは穏やかなニコニコ笑顔で穣に何かを伝える。
穣「真ん中の背の高い源泉石柱以外は採ってはダメだと。…真ん中の源泉石柱は…根元近くから採るんですか、わかりました、ヌシ!」
するとヌシは耳で穣の頭をナデナデする。
穣、笑いつつ「…気持ちいいー!」
ジェッソ、そんな穣を見つつ「写真に撮っておきたい…。」
マゼンタ「これは絶対、写真に撮っておくべきだ!」
悠斗「記念写真が欲しい…。」
穣、ヌシに「…ヌシの写真を撮ってもいいでしょうか?」と言うと、一同に「少しならいいって!写真撮りたい人はスマホ持ってこーい!」と言い、「透、お前のスマホで俺を撮ってくれー!」
透「よっしゃ!」と言って船の方に走って行く。続けてマゼンタ達も走る。
ジェッソ「黒船も同じだー写真撮りたい人はスマホ持ってこーい!」と言いつつ自分も船の方に走る。
暫く後。スマホを持ったメンバー達が穣とヌシの写真を撮っていると、アメジストやシトロネラ、剣菱やアキ等、二隻の船内にいたメンバーが全員出て来て珍し気にヌシを囲む。
剣菱「デカイな…。」
ネイビー「本当にヌシだわ!」
セルリアン「ヌシですね…。これ、妖精の親なのかな…?」
リキテクス「長老みたいなものじゃないか?」
総司「何だか不思議な安心感…。」
剣宮「見てるだけでリラックスしますよね…。」
良太「これが霧の中から現れたのか…。」
ジュリア「触ってみたい…。」
穣「触ってもいいってヌシが言ってる。」
ジュリア「ホント?」
一同、ヌシに触り始める。
ジュリア、ヌシの身体に触って、嬉しそうに「すっごいモフモフー!」
シトロネラも「ほんとモフモフ!」
ネイビーも「鉱石の妖精なのにモフモフ!」
マリアも「毛が無いのにモフモフ!」
上総「ほんとだモフモフする!気持ちいい!」
レンブラント「モフモフー!」
総司「なんか、全員居るから…、何なら全員入れた写真でも撮りますか。」
剣菱「おっ!」
総司「いつか写真を駿河さんに渡して、あのブログに載せてもらおうかなと。」
剣菱「いいねぇ!妖精は削除されないしな!」
穣「よし撮ろう!」
ジェッソ「適当にヌシを囲んで!自分が写るとこに。」
穣「て、誰が撮るんだー!」
総司「俺。」
剣菱「いや、じゃんけんで決めるべ!」
するとセルリアンが「俺が撮りまーす!元、ブルーですから!」
剣菱「んじゃ集合写真を撮ってくれたセルリアン君のヌシとの個人写真もブログに載せるって事で、頼もう。」
穣「ナイスアイディア!」
総司はセルリアンに自分のスマホを渡す。
そこへ透が「上手く撮れる設定、教えてあげる」とセルリアンの所へ。撮り方をセルリアンにレクチャーする。
その間に一同はヌシを囲むように集まってポーズを決める。透もその中に戻る。妖精達も一同の頭や肩に乗る。
セルリアン「じゃあ撮りますよ!」
穣「321、GOで撮ってなー!」
セルリアン「はーい。では、3、2、1、GO!」
パシャリ!
すぐに透がセルリアンの所に駆け寄り、スマホを受け取って写真をチェックする。
透「上手く撮れた。」と言いつつ総司にスマホを返す。
セルリアン「もう一枚、俺のスマホでも撮っていいですか!」
一同「いいよー!」「オッケー!」「りょうかーい」と言いつつ再びポーズをとる。
セルリアン「では撮りまーす、3、2、1、GO!」
パシャリ!
透「じゃあ俺がセルリアン君とヌシのツーショット撮るね。」
セルリアン「お願いします。」と言ってスマホを透に渡してヌシの所へ行く。
総司「俺も撮る。ブログ用に。」とスマホを構える。
マゼンタ「俺も入ってしまえ!」とヌシに抱き付く
オーキッド「僕も」
セルリアン「写りたい人、ご自由に!」
透「撮るぞー!」
マゼンタ「へーい」
透と総司がシャッターを切る。パシャリ!
総司は撮った写真を確認しつつニヤリと笑って「面白いの撮った。」
透「なになに?」
総司「ブログに載った時のお楽しみ!」とスマホをポケットにしまう。
穣「よっしゃー!じゃあ採掘作業を始めるかー!」
ジェッソ「よーし!…ってウチの船は関係無かったぁ!」頭を抱える。
穣「残念!」と言いつつヌシから離れる。
上総「マリアさんの勘に負けた…。」
剣菱、総司に「スマンね、あの源泉石は頂くよ!」
総司「どうぞご自由に!」
穣「って自由じゃないんだな!ヌシとの約束で、真ん中の柱しか採れないんだ。…あっ、選考採掘用の写真も撮らないと」と言ってカメラを出し、クラスター状に密集して生えている源泉石柱群に近づき写真を撮る。
ジェッソも選考用カメラで写真を撮り、「でもあの柱、等級7だろ?アンバーだけで採れるか?」
穣「え。これ6じゃないの?」と近くの柱を指差す。
ジェッソ「その周囲の柱は6だと思うけど、ヌシが採ってもいいと言った真ん中の背の高い奴は、7だと思う。」
穣「ほぉ」
すると悠斗も「俺も、なんとなくそんな気がするなぁ。まぁ見てみよう。」と言って斧を持って周囲の柱を避けつつ真ん中の柱の所へ行くと「しかしこれ、根元から採れって、難しいな…。」
穣「周りの柱がなー。…爆破のオリオン君に頑張ってもらうしか。」
ジェッソ「出来るかなー。」
昴「出来るかなー。」
オリオンは悠斗や健と一緒に真ん中の柱を調べ始める。そんな一同の周囲を、妖精達が面白そうにポコポコと飛び回る。
レンブラント「ちなみにアンバーさんは7を採ったご経験は?」
穣「黒船さんは?」
ジェッソ、胸を張って「7を、崩壊させて5に落とした経験ならある!」
穣「ええ!」と驚く。
悠斗も「ホントに?」
マゼンタ「失敗すると、そんなに落ちるの?」
レンブラント、苦笑して「落ちたなー…。」
昴「でも、経験は大事、やってみないとわからない。」
穣「どんな風にやったの?」
昴「小さな結晶が密集してるとこ、出来るだけ壊さず母岩ごと採れるかなって思ったら失敗した。亀裂が母岩まで到達しなくて、表面だけガラガラと崩れた。」
レンブラント「ツルハシで叩いても表面を破壊するだけで。」
ジェッソ「きちんとエネルギーを合わせられれば、結晶を壊さず採れるんだが。…あれがちゃんと採れたら相当な高評価だったなー…。」
穣「んー、…実の所、オリオン君の発破もなぁ…。」
オリオン、柱を調べながら「6の壁に亀裂は入れられたんだけど、余計なヒビが入って…。」
昴「で、崩れる。綺麗にスパッと割れない。」
オリオン「うん。でも一応、評価は6のままでした。」
レンブラント「それ、もし綺麗に採れてたら7だったのかも?」
昴「下手に採って7から6に落ちたに一票。」
穣「それは否定できないなー!」
柱を調べていたオリオンは困り顔で「この柱は…、ちょっと…。」と言うと、溜息ついて「無理です。」
昴、ここぞとばかりに「恐くて発破したくないに一票!」
オリオン「です!…船長とか皆が見てるとこで失敗したくない!」
剣菱「え。まぁこんなに居るからな。」とヌシや妖精達と共に採掘作業を見学している二隻のメンバー達を見る。
総司「黒船の全員が見てますからね!」
穣「確かにやりづれぇわ…。」と苦笑する。
悠斗、柱を触りながら「これ見た目は同じようでも、6とは全然感じが違う、絶対7だー!」
ジェッソ「そうなんだよ!6と7の間には結構な違いがある!」
オリオン「前に発破したのは壁だったからまだいいけど、柱だと下手に壊せない!」
昴「すると前に発破した壁は7だったのを、下手に発破して6に落としたで確定!」
オリオン「そんな気がしてきたぁぁ!」と頭を抱える。
悠斗「ならばエネルギーの感じを何とか合わせて叩き切るしかなーい!」
マゼンタ、持っていた妖精を頭上に掲げて「頑張れー!俺は応援しかできなーい!」
マリア「頑張ってー!」
穣「俺も応援しかできねー!」
悠斗「応援ありがとー!…でも周りの柱が邪魔で力入れづらい…。」
穣「周りの柱も採れたらいいんだけど、ヌシのお言葉だ…。」
悠斗は何とか体勢を整えて、思い切ってガンと斧で柱を叩く。何度か柱を叩いて、柱の一部に少し切り込みを入れる。
そこで悠斗はふー、と溜息をついて立ち上がると「こんな神経を使う仕事は嫌だぁー!」
マゼンタ「頑張れ!」
悠斗「んー…。」と困ったような顔で「ちょっとでも力の入れ加減がズレると変に割れそうになる。」と言うと「ぶっちゃけ、この切り方でいいのか、どっかの誰かに確認したいー!」
ジェッソ「誰かな?」
穣「この辺に黒いヒマ人が多々いる。」とジェッソ達を指差す。
レンブラント「助っ人する?」
悠斗「出来ればー!」
穣「まー、採掘権はウチの船にあるし、助っ人頼もうかな!」
ジェッソ「よし!」と言って斧を持って真ん中の柱の所へ行く。レンブラントや昴も一緒にそこへ行く。
ジェッソ、悠斗の切った切り込みを見て「おお。上手く切ってるけど、もう少し斜めに切った方がいいんでは。」
悠斗「どんな風に?」
そこへ昴が「あっ!いい事考えた!」と言うと「この切り込みを活かしてちょっとだけ爆破すると採り易くなる!」と言うと根元の柱の側面を指差しつつ「ここから下は破砕してもいい訳だから、ここを壊すと…っていうか、ヌシは根元から採れと言ったんだから、ここで切り倒す事は無いかも。」
ジェッソ「そうか。つまり下に向ければ」
昴「そう!母岩のイェソド鉱石か何かに向けて発破かける!」
悠斗「そんな根元から?!」
昴、ヌシに向かって「ヌシ様!母岩に向かって発破してもいいですか!」
ヌシは昴を見てちょっと耳を振る。
昴「…母岩の、手前までですか!難しい!」と言うと「そこの茶色の人、手伝って!柱挟んで俺の反対に行って。」とオリオンを呼ぶ。
オリオン「はい。」
ジェッソ、上総に「上総、この下ってイェソド鉱石?それともケテル石?」
上総「え。うーんと」と探知をかける。
すかさずマリアが「黒石剣です!」
上総「えっ?」とマリアを見る。
マリア「イェソド鉱石の変種っぽい感じ、感覚的にカルロスさんが持ってたのに近いから黒石剣みたいなやつかなって。」
ジェッソ「ほー!」と驚いて「だからヌシは母岩は壊すなと言うのか。」
昴「なーる!じゃあオリオン君、下で交差するとこまで一緒に壊すぞ!」と柱の根元に手を当てると「爆破以外の人は退避…あ、万が一、柱が倒れた時の為にバリア職人、待機して。」
穣「へい。」と言い、柱の近くに立つ。その穣の背後にジェッソや悠斗も待機する。
悠斗「オッケーです!」
昴「じゃー行くぞ、3、2、1、GO!」
途端にボゴン!という地響きのような音と共に、真ん中の柱の根元から白い煙が上がり、細かい源泉石の欠片が二人が身に着けているバリア石のバリアに当たって落ちると同時に柱がゆっくりと昴側に傾く。
昴「きゃー!」と退避しようとした瞬間、ジェッソ達がバッと駆け寄り柱を支える。
昴「悠斗君の切ったとこから、こっち側メッチャ壊れた!」
悠斗「でも倒れた!」と言ってジェッソやレンブラントと一緒に源泉石柱を横にして抱え上げると、メンバー達の前に柱を運んで降ろす。
穣たちは拍手しつつ「採れた!」
総司「おめでとう!凄いな、等級7の柱をまるごとだぞ?」
穣「でもこれウチの船だけだったら絶対壊してた。だから二隻の成果だよ。」
剣菱も「うん。」と頷く。
そこへ昴が来て「等級7難しい、壊れ方を読めなかった、だって柱を倒すつもり無かったし!」
ジェッソ「えっ」と昴を見る。
昴「割れ目だけ入れて、あとは怪力の人が何とかする予定が!…俺の側がちょっと砕けた。オリオン君の方は上手く出来てた。」
オリオン「…そうですか?」
昴「うん。」
悠斗「…まぁ怪力がちゃんと石のエネルギーに合わせられるなら、爆破しなくても採れるんだけど!」
レンブラント「その通り!」
ジェッソ「我々の修行が足りない!」
その時、ヌシがノシノシと歩き始めると、石柱を採った跡の穴の上に、まるで穴を塞ぐように腰を下ろす。
マゼンタ、笑いながらそれを指差し「穴埋めした!」
剣菱も「おお!まるで傷口を塞いでるような!」
総司「ああやって環境を護ってるんですよ!」
穣「なーる!じゃあそろそろ撤収するか、黒船さん助っ人ありがとー!」
総司「いつか今度はウチの船に助っ人して下さいね!」
剣菱「ほいほい。」
上総「マリアさん!次どこ行くの!」
マリア「えー。」と言って「黒船はどこ行くの?」
上総「じゃあこうしよう、黒船はコッチ行くから、アンバーはアッチの方に行くって事で!」と自分の前後を指差しつつマリアに言う。
マリア「そうね!了解!」
穣「…って次の場所でも鉢合わせしたら笑う。」
剣菱、寛いでいるヌシに向かって「ヌシ様ありがとう!」と手を振る。
総司も「ありがとうー!」
穣「ヌシ様ありがとー!」
マリア「またね、ヌシ様!」
一同それぞれヌシに挨拶しつつ、悠斗と健は源泉石柱を担いでアンバーへ、他のメンバーもそれぞれの船へと戻る。
各船、メンバーが戻ったのを確認するとタラップを上げ船底の採掘口を閉じて上昇し、アンバーと黒船はすれ違いつつお互い離れるように反対方向へと飛び去る。