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紺碧の採掘師2

第17章 03

2023.04.28 12:00

翌朝9時。

ブルー、レッド、シトリンの各船のタラップからメンバー達がダダダと一斉に駆け降りて来る。

同時に、何か面白そうだと感知した妖精達が次々と姿を現しメンバー達の中に混じる。

斧を持ったサイタンが先頭切って「採るぜ採るぜ昨日の柱ぁ!」と柱の所に駆け寄る。

アッシュ「ついでにこの周辺に生えてる柱、全部叩き切ってやーる!」

進一「いざ勝負、柱ども、覚悟せい!」

満「お前達!石柱には敬意を払わねば妖精達が悲しむではないか!」

ターナー「…ブルーの奴らっていつも無駄にテンション高い気が。」

陸「うむ。」

麻袋を抱えたウィンザーがサイタンの所に追いついて、袋の中からイェソド鉱石の塊を取り出して手渡す「監督、鉱石を!」

サイタンはそれを受け取ると鉱石で源泉石柱をコンコンと叩く。暫し叩くと鉱石が割れる。

サイタン「決まった!…いっくぜぇ!」と斧を振り被り、ガキンと一気に石柱を叩き切る。

一同「!!」驚愕

サイタン「切ったぁぁ!」と叫びつつ、倒れる源泉石柱を支える。

一同も妖精も大喜びで「切ったぁ!」

ターナー「い、一撃で!」

陸「すげー…。」目を丸くする。

アッシュ「流石は野生児…。」

サイタン「とりあえずこれ、レッドのタラップ前に置くぞ!」

ウィンザーとクラリセージが石柱をサイタンから受け取りつつ「これは俺らが運びます!監督は次の柱へ!」

サイタン「おぅ!」

アッシュ「待たれい待たれい!次はブルーの出番よ!」

進一「この青き軍団の力を見せてやろう!目指すはあの柱じゃあー!」とアッシュ達の斜め左前方に生えている源泉石柱を指差す。

アッシュ「いざ!」と柱の所へ走って行く。

陸「次ってシトリンの出番かな…。でもキチンと鉱石を割れるのは爆破の要と一応怪力の聖司だけなんだよな…。」

ターナー「とりあえずガツンと主張して出番を取って!」

陸「くっ…」と呟いてブルーメンバー達の所へ走る。

アッシュ達は、やや太い源泉石柱の所に到着する。

進一がサッと選考採掘用のカメラを出して写真を撮り、「写真OK!」

と同時に満が麻袋からイェソド鉱石を出してアッシュに渡し「頼む!」

アッシュは鉱石でコンコンと柱を叩き始める。

そこへサイタンが「それさっきのより太いから、一撃は無理じゃね?」

アッシュ「一撃なんてアンタ位ですよ!」

サイタン「まぁ俺もその柱は一撃の自信ねぇけど!」

ガンガン叩いているうちにアッシュの持つ鉱石がパキンと割れる。

アッシュ、思わず「うわ。」と呟いて「この柱、すんごい硬いぞ…!」

サイタン「なにぃ」

アッシュ「これは採り甲斐のあるコンテンツ!」と言うと斧を振り被って「いざ勝負!」と叫び、力を溜めてガツンと石柱に斧の刃を食い込ませる。ガンガンと何回も斧で叩いて柱の一面に楔形の切り込みを作ると「…進一、反対側やる?」

進一「お? おお!」と言うと、満からイェソド鉱石を受け取って、アッシュの入れた切り込みの反対側をガンガンと叩く。

アッシュ「かなり強く叩かないと」と言った時、進一の持つ鉱石にビシッとヒビが入る。

進一「ほんと硬いな。」と言うと斧を持って振り被り、息を吸って「ハッ!」という気合と共にガンッと柱に斧を食い込ませ、何度も斧で叩いて柱に切り込みを入れる。

柱は左右から切り込みが入れられ、真ん中で繋がって立っている状態になる。

進一「…この状態でも自力で立ち続けるこの柱、気合入り過ぎでは…。」

アッシュ「バランス感覚に優れている。…が!」瞬間、真ん中がパキッと折れて柱がグラリと進一側に傾く。

満と進一が慌てて柱を抑えつつ「気合を抜いてはいかーん!」

サイタン「採れりゃいいんだ、じゃー次の柱にいこーぜー!」

すると陸が「ま、待たれい!次はシトリンの出番だ!」と言うと前方の細い柱を指差し「あれだ!いざ行きます!」

アッシュ「微妙にテンションが足りないっ!」

陸「えっ」

アッシュ「次はシトリンの出番だぁぁ!いざ、あの柱に向かって、行っけぇぇ!」と柱を指差す。

その気迫に釣られて思わず走り出す陸やターナー達。

アッシュ「…みたいな、って言おうとしたのに行っちまった…。」

満「何と素直な…。」

サイタン「あれはやっぱり道連れにする船だな。」



その頃、シトリンのブリッジでは、船長席の横で綱紀がジュニパーの他に礼一とクォーツも加えて同調探知のテストをしていた。

綱紀、目を閉じたまま「…皆さん、俺のエネルギー感じます?」

礼一「全然。」

クォーツ「全然。」

ジュニパー「アタシは感じるわよ。」

綱紀ちょっとガックリして「…やっぱり複数人は無理か…。」

礼一「…そうかなぁ?」

ジュニパー、綱紀に「ねぇ、やっぱり身体に触れた方がいいんじゃない?」

綱紀「いや…聖司の時は身体に触らないと出来なかったけど、今は逆に触ると訳分からなくなる。」と言って「まぁでも一人だけなら同調出来る事が分かっただけでも良いです。」

礼一「同調できる人数増やそうよ、せっかくのチャンスだし。」

綱紀「んー…。」と困り顔をして「でも、どうやれば…。」

礼一「思ったんだけど、俺達から綱紀君に意識向ければいいかなって。」

綱紀「でもいつも俺から、聖司に対して」

礼一「でもカルロスさんの時ってカルロスさんから、だろ?」

綱紀「…です、けど。」

礼一「君から3人に意識向けるのは焦点が分散するから難しいよ。俺達3人から君に集中した方が。」

すると綱紀は「んー…。」と唸って「せめて最初は2人から…。だって、恐いんです。」

礼一「…探知妨害に弱いしな。」

ジュニパー「じゃあ、こうしましょ。2人ともちょっと相談するからこっち来て。」と言いクォーツと礼一に手招きしてブリッジの外の通路へと誘う。「綱紀ちゃん、少し待っててね。」

礼一は「なんですか。」と言いつつジュニパー、クォーツと共に通路に出る。

ジュニパーはブリッジのドアを閉めると何やらヒソヒソ声で2人と相談を始める。それから3人で目を閉じて、何かに意識を集中し始める。

暫くすると、ゆっくりとブリッジのドアが開いて深刻な顔をした綱紀が出て来る。後ろ手にドアを閉めてそのままドアにもたれ掛かるようにその場に座り込みつつ「…なんか洗濯機の中に居るようだー…。3つのエネルギーが自分の中でグルグルする…。」

クォーツ「誰が何を探知してるか分かる?」

綱紀はクォーツ、ジュニパー、礼一の順に指差しつつ「…丸いのと、ゴツゴツした奴と、四角い妖精…。」

礼一「君も何か探知するんだ!」

綱紀「えー…。」と頭を抱える。

ジュニパー「アタシ達、同調探知ってよく分からないけど、多分恐らく皆の意識をまとめる事だと思うのよ。」

クォーツ「しかも君はただの同調じゃなくて同調増幅探知だから、3人の力を自分のものに出来ると思う。」

綱紀「…。」顔を上げて頭をゆっくりと振りながら、目を閉じたまま「丸い妖精…丸い妖精…」とうわ言のように呟く。

礼一、ふと「あ。」と何かに気づく。

クォーツも「お?」

ジュニパー「なんか、アタシの探知の焦点が勝手に変わったわ!丸い妖精のイメージが」

クォーツ「それ俺が探知してる奴かな。鉱石を食ってる妖精」

ジュニパー「それよ!」

礼一「それだ!」と言うと綱紀に「凄いよ綱紀君!同調出来たよ!」

綱紀「丸くてメシ食ってて…。だめだーもう、疲れた…。」

ジュニパー「凄いわ綱紀ちゃん!貴方は出来るのよ!」

綱紀「もぅ俺に意識向けるのやめて…。」

クォーツ「俺はもう探知してないぞ?」

礼一「俺も探知やめたよ」

ジュニパー「アタシもよ、綱紀ちゃんが止めればいいの。」

綱紀「そうなの?…あー…。」と言うと「終わった…。」と言ってクッタリと項垂れて大きな溜息をつく。

礼一「良く頑張ったー!」

綱紀は顔を上げるとゆっくりと立ち上がって「でもこんなクッタクタになるんじゃ話にならない…。」

クォーツ「何言ってんだ、4人で同調出来たなんて初めてだし凄い事じゃないか!」

綱紀「俺、あのドゥリーさんって有翼種の人に指導してもらいたい…。」

クォーツ「いつか必ず実現出来る!」

ジュニパー「そうよ!その時にはアタシもご一緒したいわ!」

礼一「保護者ですか。」

ジュニパー「違うわよ、マジの同調探知ってどんなのか気になるのよ!」

クォーツ「とりあえず綱紀さんは休んで。」

綱紀「ちょっと船室行ってきます…。」と通路を歩き出す。

ジュニパー「んじゃアタシ達は次の源泉石の現場の探知しましょ…って次はアタシだったわね。」

礼一「ブルー、レッド、シトリンの順で探知ローテーションしてるから次ジュニパーさん!」

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