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資料室

アザゼル

2018.06.01 09:34

アザゼル(Azael)アザエル ( Azzael)アシエル (Asiel, Assiel)アゼル (Azel)

ヘブライ語のアザゼル (עֲזָאזֵל) は「強い、ごつごつした」を意味するアズ (עז) と「強大」を意味するエル (אל) の「神の如き強者」という合成語で、タルムード釈義では荒野の峻嶮な岩山か断崖を指すとされる。

このアザゼルの名は何らかの超自然的存在や魔神、あるいは荒野の悪霊を指すとも解釈される。もとはセム人の羊の群の神であったのが悪霊とされたものという説もある。


7番目の月の10日を贖罪の日として祝う時、イスラエルの人々から贖罪のささげものとして2匹の雄山羊を受け取り、これを引いてきてくじを引き、一匹を主のものにし、もう一匹をアザゼルのものにする。ここでアザゼルのものとされた山羊を屠らずに生かしおき、これにて贖いの儀式を行う。こうして民の罪を負わされた山羊は、荒れ野のアザゼルのもとへ放逐される。


堕天使としてのアザゼル

アザゼル は『第一エノク書』などの黙示文学やラビ文学において堕天使として登場する。『アブラハムの黙示録(英語版)』では7つの蛇頭、14の顔に6対の翼をもつとされる。


アザゼルは人間の女性と交わる誓いを立ててヘルモン山に集まった200人の天使たちの一人で、その統率者の一人であった(第6章)。

200人の天使たちは女性と関係をもち、女たちに医療、呪いなどを教え、女性たちは巨人を産んだ(第7章)。

アザゼルは人間たちに剣や盾など武具の作り方、金属の加工や眉毛の手入れ、染料についての知識を授けた(第8章)。

神の目から見れば、アザゼルのしたことは「地上で不法を教え、天上におこなわれる永遠の秘密を明かした」ことであった(第9章)。

神はラファエルにアザゼルを縛って荒野の穴に放り込んで石を置くよう命じた(第10章)。

エノクは縛られて審判を待つアザゼルを見て声をかける(第13章)。

天使の言葉のなかでアザゼルが堕天使の頭目として言及される。第69章では堕天使たちのリストの10番目にその名が挙げられている(第54・55章)。


堕天使としてのアザゼルはもともとは神に命ぜられて地上の人間を監視する「見張りの者たち」(エグレーゴロイ)の一人であった。アザゼルら見張りの天使の首長たちは、人間を監視する役割であるはずが、人間の娘の美しさに魅惑され、妻に娶るという禁を犯す。アザゼルらとともに200人ほどの見張りの天使たちが地上に降り、人間の女性と夫婦となった。『第二エノク書』では、この堕天使の一団はスラブ語でグリゴリ(Grigori=見張り)と呼ばれる。こうした物語は、“「神の子ら」(ベネ・ハ=エロヒム)が人間の娘と交わった”とする創世記の記述を後世の黙示文学の作者たちが発展させたものと考えられている。


『エノク書』の伝説においてはアザゼルらグリゴリの行動は人間の文化向上に貢献したが、結局のところ、神の機嫌を損ね、神は地上に大洪水を引き起こし、大虐殺を行った。

アザゼルが堕天使となった経緯についてはいくつか説があるが、そのひとつに、神の創り出した人間アダムに仕えるように命じられるも、「天使が人間などに屈すべきにあらず」と頭を下げなかったという伝説がある。このアザゼルの行いは神を否定するに等しい行為で、結果、天界を追放されたとされる。

前身は砂漠の神で、カナン人(古代パレスチナの住民)の神アシズ (Asiz) がルーツであると言われる。この神は太陽を激しく燃やすことを使命としたとされる。